もっと詳しく

 2021年は数多くのニューモデルがデビューした。そのニューモデルには新規モデルのほかにフルモデルチェンジした新型車もあるわけだが、そのフルモデルチェンジ車は旧型から新型になって、どこがどれだけよくなったのだろうか?

 ここ1年ほどでフルモデルチェンジした最新10モデルの旧型から新型への「進化度」をチェックしていく!

※本稿は2022年2月のものです
文/片岡英明
写真/スズキ
初出:『ベストカー』2022年3月10日号

【画像ギャラリー】ここ1年ほどでFMCした最新10モデルをチェック!(11枚)画像ギャラリー
ベストカー 2022年 3/26 号 [雑誌] ベストカー 2022年 3/26 号 [雑誌]

■話題のスポーツクーペ&スポーツセダンの進化度をチェック!

【 新型トヨタ GR86/スバルBRZの進化度は? 】

2021年10月モデルチェンジ/先代モデルから9年10カ月ぶりに一新。ボディはフルインナーフレーム構造などの採用で剛性アップ

 低重心の水平対向4気筒エンジンにリア駆動のFRスポーツクーペで、痛快な走りを楽しませてくれる。その2代目は、アルミや高張力鋼板を多用して先代と変わらない1200kg台の軽量ボディを実現した。しかもエンジンを排気量アップしている。先代は2Lだった。新型が搭載するのは2.4Lだ。

 先代はパンチが足りなかった。これに対し新型は、パワーもトルクも増えている。だから気持ちいい加速を引き出すことが可能だ。

 6速MTの変速フィーリングもよくなっている。ATは6速のままだが、制御が賢くなり、動力性能も余裕を増したので実力を引き出しやすくなった。

 ボディ剛性が高められ、サスペンションの動きもよくなっている。狙ったラインに無理なく乗せることができ、ハンドリングも軽やかだ。GR86は回頭性がよく、グイグイとノーズが入る。リアを流すのもたやすい。BRZはGR86よりリアを落ち着かせた素直な旋回姿勢が自慢だ。

 AT車にはアイサイトを装備するなど、進化の度合いは大きい。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:130点、操縦性:135点、快適性:110点、燃費性能:95点、居住性能:115点、総合評価:125点

【 新型スバル WRX S4の進化度は? 】

2021年11月モデルチェンジ/先代で2Lターボだった水平対向エンジンは新型では2.4Lターボに変わり、ボディサイズや室内空間も拡大

 自慢の水平対向4気筒DOHC直噴ターボに4WDシステムを組み合わせたハイパフォーマンススポーツセダンだ。第5世代は排気量を2Lから2.4Lに増大。高度運転支援システムのアイサイトXも搭載する。

 2.4Lの直噴ターボ(275ps/38.2kgm)は先代より数値は低い。だが、過給レスポンスは鋭いし、実用域のトルクも太いから力強い加速を披露する。「スポーツ+」モードを選べば高回転まで気持ちよく回り、CVTの変速スピードも速い。加速時のGは先代を凌ぐほど強烈だ。

 電子制御可変ダンパーを装着したSTIスポーツRは、減衰力を走りに合わせて最適制御するから懐が深いし、乗り心地も悪くない。シャシーが強じんだから少ない舵角で狙ったラインに乗せることができ、運転するのが楽しい。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:125点、操縦性:145点、快適性:120点、燃費性能:105点、居住性能:110点、総合評価:135点

■大ヒット中の最新SUVの進化度はどうなのか?

【 新型トヨタ ランドクルーザーの進化度は? 】

2021年8月モデルチェンジ/14年ぶりのフルモデルチェンジで、エンジンからプラットフォームまで刷新。3.5Lターボ、3.3Lディーゼルターボを搭載

 クロスカントリー4WDの代名詞的な存在で、14年ぶりにモデルチェンジした。エンジンを4.6LのV8から3.5LのV6ツインターボに換え、3.3Lのディーゼルターボも加えている。

 レクサスにも使われているV6エンジンを得て、低回転域からパンチの効いた加速を手に入れた。また、ディーゼルターボはオフロードなどの低速域でフレキシブルな走りを見せ、扱いやすい。静粛性などの快適性能も、先代のV8と遜色ない実力だ。

 車重が200kgも軽くなり、重量配分もよくなったから高速走行から悪路まで余裕でこなす。フルタイム4WDの実力は非凡だ。E-KDSSなどを装備して悪路走破性を高めたGRスポーツは、悪路だけでなく舗装路でも気持ちいい走りを披露する。また、乗り心地がいいのも美点だ。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:120点、操縦性:120点、快適性:120点、燃費性能:120点、居住性能:115点、総合評価:120点

【 新型三菱 アウトランダーの進化度は? 】

2021年10月モデルチェンジ/パワーユニットのPHEVシステムを刷新し、EV走行距離は先代の1.5倍の約87kmまで延ばしている。3列シート7人乗りも設定

 三菱が培ってきた4WDの制御技術に電動化技術を加えて走破性と快適性を高めたクロスオーバーSUVだ。新型はPHEVだけに絞り、バッテリーの出力と容量も増やしている。また、パッケージングを工夫することにより、5人乗りに加え、3列シートの7人乗り仕様を設定した。

 PHEVシステムは新世代になり、モーターをパワーアップするとともにEV航続距離も伸ばしている。発進直後からモーターの後押しによって力強い加速を見せ、EVでの走行領域も増えたから静粛性と上質感も高められた。

走行用モーターを前後輪に配したツインモーター4WDは、ブレーキAYC機能を追加したS-AWCと相まって先代を大きくしのぐ軽やかな走りを実現している。優れた回頭性を披露し、悪路でも驚くほどコントローラブルだ。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:125点、操縦性:150点、快適性:130点、燃費性能:120点、居住性能:125点、総合評価:140点

【 新型ホンダ ヴェゼルの進化度は? 】

2021年4月モデルチェンジ/1.5Lハイブリッドのe:HEVは多くの走行シーンでEV感覚の走りが味わえる

 独創的なセンタータンクによって優れたパッケージングを実現したコンパクトクラスのクロスオーバーSUV。大ヒットした先代から2代目はエクステリアを大胆に変え、存在感を増した。水平基調のインパネからの見晴らしもいい。パッケージングを工夫し、快適性も高まった。

 1.5Lエンジン搭載車は軽快感があり、コストパフォーマンスも高いが、Gグレードだけの設定なのは残念。主役のe:HEVは先代より走りは力強いし、EV感覚も強められたから静粛性などの快適性も向上している。ハンドリングの洗練度も高まった。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:125点、操縦性:120点、快適性:115点、燃費性能:110点、居住性能:115点、総合評価:120点

■あのミニバンやハッチバック、クロスオーバーはどこが進化した?

【 新型トヨタ ノア/ヴォクシーの進化度は? 】

2022年1月モデルチェンジ/新型は快適性を向上。バックドア開閉時、任意の角度で保持できる機能も搭載

 ミドルクラスを代表するミニバンだ。8年ぶりにモデルチェンジを行い、第4世代が登場した。資料を見ると多くの部分を刷新していることがわかる。特にパッケージングは大きく進化し、3列目でも快適に座れそうだ。超ロングシートやアシスト機構、からくりテールゲートなどにより利便性も向上した。

 ハイブリッドシステムは変わっていないが、最新作だからドライバビリティと快適性に加え、燃費も向上しているはず。また、ハイブリッド車に加わった4WDのE-Fourも実力派だろう。進化の度合いはかなり大きい。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
総合評価:130点(ベストカー3月10日号掲載時、新型は未試乗のため資料による機能性の差での評価)

【 新型トヨタ アクアの進化度は? 】

2021年7月モデルチェンジ/10年ぶりのフルモデルチェンジで登場した新型は新世代プラットフォームを採用

 ハイブリッド専用モデルの売れっ子で、3年間もベストセラーカーの座にあった。その第2世代はホイールベースを50m延ばし、背も30mm高くしている。後席は広く、居心地がよくなった。スイッチの操作性やナビの視認性も向上し、使い勝手がいい。

 1.5Lの直列3気筒エンジンにモーターのハイブリッドシステムは、モーターアシストの領域が増え、軽やかな加速を見せる。EV走行できる領域も広がった。

 また、新たに加わったワンペダル制御は違和感なく使え、慣れると便利だ。エンジンがかかるとノイズは高まるが、クルージング時の静粛性は向上した。

 新世代プラットフォームの効果は絶大だ。特に上級のZは素直なハンドリングに加え、フラット感のある上質な乗り心地を実現。4WDのE-Fourの上質な走りも印象に残る。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:110点、操縦性:115点、快適性:115点、燃費性能:105点、居住性能:115点、総合評価:115点

【 新型ホンダ シビックの進化度は? 】

2021年8月モデルチェンジ/新型は先代よりホイールベースが30mm拡大。視界が広く運転しやすいのも特徴

 先代は4ドアセダンを設定していたが、11代目は日本市場にクーペフォルムの5ドアハッチバックを投入。パワーユニットもタイプRが遅れて登場するから1.5Lの直列4気筒ターボだけとなっている。が、キャビンは広く、後席も満足できる広さだ。先代より車両感覚をつかみやすいので運転もしやすい。

 1.5Lのターボエンジンは先代と大きく変わる印象ではないが、高回転まで軽やかに回り、加速も冴えている。6速MTの洗練度も増した。サスペンションの動きもよくなっている。本当の評価はタイプRが加わってからか!?

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:105点、操縦性:115点、快適性:105点、燃費性能:100点、居住性能:115点、総合評価:110点

【 新型レクサス NXの進化度は? 】

2021年10月モデルチェンジ/新型はレクサス初のPHVが設定され、パワーユニットは4機種まで拡充

 RXの下のポジションに送り出されたクロスオーバーSUVで、4つのパワーユニットを設定。プラグインハイブリッドも登場した。2.4Lのターボは先代より400cc大きいから余裕の走りを披露する。2.5Lエンジン搭載車は素直なパワーフィールだ。

 ATが8速になったから加速の軽快感が増し、静粛性などの快適性も向上した。

 ハイブリッド車は重さを意識させない。シャシーを一新したため、ハンドリングも欧州車並みに軽やか。4WDもスポーティな味わいだ。取り回し性以外は大きく進化した。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:115点、操縦性:115点、快適性:115点、燃費性能:110点、居住性能:115点、総合評価:115点

【 新型スバル レガシィアウトバックの進化度は? 】

2021年10月モデルチェンジ/水平対向エンジンは先代の2.5LのNAから1.8Lターボにダウンサイジング。アイサイトはレヴォーグと同じ最新版「X」を装備

 ワゴンとSUVのいいとこ取りをしたクロスオーバー4WDだ。北米より2年遅れて登場。

 心臓は1.8Lの水平対向4気筒DOHC直噴ターボとした。流す走りではジェントル。だが、アクセルを踏み込むと低回転域からターボが後押しして冴えた加速を見せる。レギュラーガソリン仕様なのもいい。振動とノイズも上手に抑え込んだ。

 フルインナーフレーム構造や構造用接着剤などを採用したことによってボディは驚くほどシャキッとした。これが気持ちいい操舵フィールと意のままの走りに大きく貢献。速い走りでも悪路でも絶大な安心感が得られている。

 キャビンは先代にも増して広く快適だ。シートも大きめだから気持ちよく座れる。運転支援のアイサイトXは標準で装備されるが、大柄だから運転にはちょっと気を使う。

※先代モデルを100点とした場合の進化度
動力性能:120点、操縦性:120点、快適性:110点、燃費性能:105点、居住性能:110点、総合評価:115点


【画像ギャラリー】ここ1年ほどでFMCした最新10モデルをチェック!(11枚)画像ギャラリー

投稿 トヨタGR86やWRX S4など注目車ズラリ!! 最新10モデルは旧型からどれだけ進化したのか!!?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。