ロシアがウクライナに対して起こした戦争に端を発して、主に西側諸国からロシアに対して強烈な経済制裁が取られている。こうした中、天然ガスで40%、原油の約27%をロシアに依存してきたEU各国はエネルギー政策の見直しを迫られている。中でも、天然ガス輸入量の55.2%、原油の33.9%をロシアに依存してきたドイツのエネルギー政策の転換は急務で、ドイツ国内では、「脱原発・石炭」の見直し論が浮上している。
そんな中、米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏のツイートが話題を呼んでいる。マスク氏は7日(日本時間)、次のようにツイートし欧州各国における原発再稼働の必要性を指摘した。
「Hopefully, it is now extremely obvious that Europe should restart dormant nuclear power stations and increase power output of existing ones. This is *critical* to national and international security.(ヨーロッパが休眠中の原子力発電所を再開し、既存の原子力発電所の出力を増やすべきであることは今や非常に明白です。これは、国内および国際的な安全保障にとって重要です。)」
Hopefully, it is now extremely obvious that Europe should restart dormant nuclear power stations and increase power output of existing ones.
This is *critical* to national and international security.
— Elon Musk (@elonmusk) March 6, 2022
EU加盟27カ国で今も原発を維持するのは13カ国だけで、ヨーロッパ全体で廃炉あるいは稼働停止となった原発の数は昨年1月時点で、100基を超えている。中でもドイツは脱原発に大きく舵を切った国として有名で、2011年にEUで初めて「原発ゼロ政策」を打ち出した。2011年に17基あったドイツ国内の原発は、14基が停止されており、残る3基も今年年末までに停止される予定だった。
そんなドイツでさえ、ロシアへの経済制裁を受けて「脱原発政策」の見直しが図られようとしている。ドイツの政府関係者の一人は、地元紙のインタビューに「脱原発、脱石炭を含め、すべてを再検討する必要がある」と回答した。
「そこに旅行し、地元産を食べます」
マスク氏は続くツイートで、原発再稼働反対派が懸念する放射能漏れなどのリスクについて、次のように持論を展開した。
For those who (mistakenly) think this is a radiation risk, pick what you think is the worst location. I will travel there & eat locally grown food on TV. I did this in Japan many years ago, shortly after Fukushima. Radiation risk is much, much lower than most people believe.(放射能のリスクがあると誤って考えている人は最悪の場所だと思う場所を選んでください。私はそこに旅行し、地元産の食べ物を食べます。私は何年も前、福島の直後に日本でこれをしました。放射線リスクは、ほとんどの人が信じているよりもはるかに低いです。)
マスク氏は、「世界最悪の原発事故」とも評される福島第一原発の事故からわずか4カ月しか経っていない時期に、被災地である福島県相馬市を訪れている。ツイートの意図は、「原発事故直後の福島県に行き、福島県産の食べ物を食べたけれど、健康に何の問題もない」といったところだろうか。
マスク氏のツイートには、
このツイート、嬉しかったです
事故後に来て『放射線のリスクは皆が考えてるよりずっと、ずっと低い』ってマジで感動!ありがとう!
イーロン・マスク福島に来てたんですね。ありがとう
イーロン・マスク氏がこうやって福島について語ることで、少しでも風評被害が減ってくれるといいな
といった声が寄せられていた。