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これは…売れるっ!! トヨタ本気度MAXのSUV「bZ4Xプロト」の走りに思わず感動!

 衝撃とも言われた昨年12月に発表されたトヨタのBEV戦略だが、いよいよその先陣となるbZ4X(ビーズィーフォーエックス)をショートサーキットで試乗する機会に恵まれた。プロトタイプとは銘打っているが、まずはその実力の高さに驚いた。

文/高山正寛 写真/萩原文博

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BEVで新しい価値を提案する

bZ4Xプロトタイプの走行シーン

 これまでも前述した昨年の記者発表会、また今年に入ってからの東京オートサロンなどbZ4X自体は実車として確認する機会はあった。それでも太陽の下(屋外)に置かれた車両はやはり印象が大きく異なる。言い換えれば非常にカッコイイ。

 bZ4XはSUBARUとの共同開発によって生まれたBEVだ。TNGAの考えには基づいてはいるが、BEV専用に開発されたプラットフォーム(e-TNGA)により、クラスとしては近いRAV4との比較では全長4690mm×全幅1860mm×全高1600mmとそれぞれ+95mm/+20mm/-60mmとロー&ワイドボディであることがわかる。

 大容量のバッテリーを床下に搭載しつつ、最低地上高はRAV4と同等を確保。そして圧巻なのはホイールベースがRAV4比で+160mmと拡大されていること。これにより前後席は+55mmとすべての席で快適性を向上させている。

 実際、前席はもちろんだが、後席に座るとフラットかつ広い足元だけでなく、空間の拡がりはしっかり感じる。全高が下がっているが、圧迫感自体もほぼ感じることがなく全ての席で快適である。

 エクステリアデザインはBEVらしい先進感と前述したように全高を下げることでスポーティ感、さらにSUVの力強さを両立させている。特にホイールべースが拡大されリアのオーバーハングが65mmも短い(RAV4比)のに全体のバランスの良い点は都市部やオフロードでもマッチする新鮮な感覚だ。

先進感はインテリアにも

bZ4Xプロトタイプのインテリア

 ドアを開けて乗り込むとインテリアからも新しさを感じる。「トップマウントメーター」と呼ばれる新形状のメーターがその代表的なものだが、簡単に言えばメーターフードが無いことで前方の視界や独特の拡がり感を演出している。

 フードが無いことで太陽光や窓への映り込みが懸念されたが、これに関してもフロントウインドウの一部にフィルムを組み込むことでそれらを防止している。考え方として携帯電話やタブレットなどに使われるアンチグレアフィルムに近い。

 ただ映り込み自体はうまく防げているし、焦点調整はしやすいのだが、シートの着座位置によってはメーター下部の表示がステアリングホイール上部により隠れてしまう点が気になった。

 シートのハイト調整機能を使えば改善できるというが、後述するAWD車に搭載されている前後左右の駆動力を表示するメーターの下部(後輪周辺)の表示は自分の適切なドライビングポジションではやはり見えない。この部分は正直残念だった。

 インフォテインメントシステムに関してはセンターコンソールに大画面のディスプレイを搭載。良いなと感じたのはユニット自体が前席側に近いのでタッチパネルによる操作が楽という点だ。

 プロトタイプゆえに詳細は未定だが、最近で言えばレクサスNX同様の新世代型のようで、T-Connectはもちろん、OTAによる各種ソフトウエアのアップデートにも対応しているようだ。また音声認識も機能拡大しているようでエアコンなども発話により操作できた。

4WDと2WD、単純な重量差だけではない違い

bZ4Xのフロントスタイル

 試乗は4WD車(20インチ)、と2WD車(18インチ)の2台、車両重量は85kg以上4WD車が重くなる。モーター出力は2WD車はフロントに150kW、4WD車は前後に80kWずつトータルでシステム出力は160kWとなる。加速タイムも社内テスト値で0-100km/hで8.4秒(2WD)と7.7秒(4WD)となっている。

 今回試乗前にトヨタの開発から「あくまでもプロトタイプなのでNV性能に関してはまだ開発中であることは了承してほしい」という旨のコメントが出されたが、実際の剛性感などは十分な印象を受けた。

 重箱の隅をつつくように全域で神経を研ぎ澄ませれば確かに微振動を感じる速度域はあるし、ステアリングの応答性、特に操舵量の変化や中立時の甘さなどはあるかもしれないが、この辺は個体差もある。逆にbZ4Xがそれだけ市販時のモデルに近い完成度を有していることの証明とも感じたのだ。

 試乗した印象は20インチの4WD車の方が好みである。接地感の高さやロールの少なさなど共通の味付けは持っているが、重量配分なども考慮すると4WD車のほうが素直な印象を受けた。サーキットのコーナーで操舵遅れが発生しても4WDならば後輪への駆動力配分を行い、旋回力を増やすことでコーナーからの脱出も容易である。

 2WD車に関しても車体中央に設置されたバッテリーなど重量配分は普通のガソリン車よりは優れているのだろうが、18インチタイヤの影響もあり、軽快さはあるが走りの質感という点では4WD車の方に軍配が上がる。

 加減速に関してはEVらしい静かでスムーズな加速が可能なのは言うまでもないが、ポイントとしては搭載するワンペダルで加減速を可能にするスイッチを入れても従来までのEVにありがちな強い回生Gを感じない。つまり街中でもギクシャクした感じのないスムーズな走りを可能にしてくれるはずだ。

 ドライビングモードはエコ/ノーマルの2つ、サーキットゆえにコーナーに入る手前でより強い回生力が欲しかったのも本音。共同開発のSUBARUソルテラにはパドルシフトが装着されているそうだが、bZ4Xにも搭載はぜひ検討してほしい。

進化したソーラー充電や販売方法にも注目

bZ4Xプロトタイプのリアスタイル

 この他にも現行プリウスPHVに搭載されているソーラー充電システムをレベルアップして設定している点に注目している。もちろんこれで全てがまかなえるわけではないが、定格出力も235W(設計値)とプリウスPHVより遥かに高く、1年間で約1800kmの走行距離に相当する発電量、そしてデザインにマッチする設計などBEVだからこそ選びたい装備である。

 また販売に関しては最終的ではないが、開発陣によればサブスクサービスとして徐々に認知させてきている「KINTO」やリース販売がメインとなるようだ。リースなどであれば、ユーザーの購入障壁はグッと下がるはず。昨今の半導体不足により、発売を開始してから実際の納期がどうなるか見えない部分も多いが、トヨタが今後展開する急速充電器の設置、つまりインフラ整備も注目すべき項目。いずれにせよ、bZ4Xの登場が起爆剤になることは間違いないだろう。

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