もっと詳しく

ウクライナ情勢が緊迫するなか、イギリスのジョンソン首相は19日、ドイツ・ミュンヘンで行われた安全保障会議で「ウクライナが侵攻されれば、その衝撃は世界中に響き渡るだろう。東アジア、台湾にも影響を及ぼすだろう」と述べた。

Rich Townsend /iStock

アメリカがユーラシア大陸の東端に注意を向けている隙を狙って、中国が台湾に対して武力統一を図るのではないか--。このような見方をする有識者もいる。台湾のシンクタンク「台湾民主基金会」は「ウクライナ衝突 両岸危機と台湾の民主」をテーマに世論調査を実施。その結果を22日、発表した。「台湾民主基金会」は中華民国外交部が設置した財団法人で、公共性の組織の高い組織と言える。

調査は2月14日〜15日に20歳以上の成人を対象に電話で行われ、1079人から回答を得た。

「ロシアによるウクライナ侵攻の恐れが欧米で伝えられていますが、このニュースを知っていますか?」との質問については、以下の結果だった。

「聞いたことがある」76.8%
「聞いたことがない」23.2%

4人に3人はウクライナ情勢の緊迫を認識しており、世界的なニュースとなっていることがうかがえる。

「ロシアは今後1週間以内にウクライナを侵攻すると思うか?」との質問については、こうだった。

「非常にあり得る」4.5%
「あり得るかもしれない」17.5%
「あまりない」42.9%
「絶対にない」8.4%
「特に意見はない」11.1%
「分からない」15.6%

およそ2割の台湾人はウクライナ情勢に強い危機感を抱いているものの、大半の人々はそれほど現実味を抱いていない様子だった。

「台湾と中国の緊張関係は長期に渡っています。ウクライナで戦争が勃発した場合、中国が台湾に武力を発動することはあると思いますか?」と質問についても調査した。

「非常にあり得る」7.1%
「あるかもしれない」19.5%
「あまりない」42.7%
「絶対にない」20.2%
「意見はない、分からない」10.5%

ウクライナ紛争が引き金となって中国が台湾へ武力行使する可能性について、およそ4人に1人が懸念を示しているものの、6割は否定的。台湾海峡では中国軍空母などによる軍事演習が続いているものの、実際に武力行使される可能性はまだまだ低いと見られているようだ。また、国民党支持層と民進党支持層の間に、大きな差はなかったという。

大国に翻弄される政治的に不安定な地域という共通点から、台湾では「今日のウクライナは、明日の台湾だ」との見方もある。今後の情勢に注目したい。