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我々のレストランやイベント会場における行動は、新型コロナウイルスの影響からこの2年間で大きく変わったが、テーブルからスマートフォンで注文できたり、クレジットカードを出さずとも支払いさえできるようになったことの大きなメリットに気づいた人も多いだろう。2020年には存在すらしていなかったフランスのスタートアップ企業であるSunday(サンデイ)は、多額の資金を調達して、人々が簡単に支払いを済ませたり会計を共有できるようにすることで、店員を解放し、レストランの回転率を高めた。

この種のトレンドには、Toast(トースト)やGoodEats(グッドイーツ)など、他にも多くのスタートアップが飛びついている。

今回、ステルスを脱したQlub(クラブ)も、同様の分野に取り組んでいるが、しかし同社は米国以外の市場に目を向けている。この消費者向けレストラン決済ソリューションを提供する会社は、ベルリンのCherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)とドイツのPoint Nine Capital(ポイント・ナイン・キャピタル)が共同で主導したラウンドで、1700万ドル(約19億5000万円)のシード資金を調達した。このラウンドには、STV、Raed Ventures(レード・ベンチャーズ)、Heartcore(ヒートコア)、Shorooq Partners(ショルーク・パートナーズ)、FinTech Collective(フィンテック・コレクティブ)などの他のVCや、多くの起業家から転身したエンジェル投資家たちも参加した。

Qlubは、Sundayと同様に、携帯電話でQRコードをスキャンすることによって、レストランですばやく会計を済ませることができる。アプリや登録は不要だ。顧客は友人と一緒に請求額を割り勘にして、Apple Pay、クレジットカード、あるいはBNPLと同様に分割払いで支払うこともできる。

レストランにとってのメリットは、テーブルの潜在的な回転率が上がること、店員に対するチップの可能性が高まること、そしてシンプルな支払い体験を気に入ったリピーター客が増えることだ。また、Qlubによれば、その使い勝手の良さから、Qlubを導入したレストランが、口コミサイトで高い評価を受ける傾向もあるという。もちろん、店員との接触が減るので、ウイルスの感染予防や一般公衆衛生にも有効だ。

共同創業者のEyad Alkassar(アイアド・アルカッサー)氏は、次のように述べている。「複数のフードデリバリー企業を立ち上げた経験から、私は過去20年の間に、テクノロジーの進歩によって、外食体験がいかに改善されていなかったかということに当惑しました。クレジットカードが登場してから、ほとんど何も変わっていません。新型コロナウイルス感染流行がもたらした2つのメガトレンド、すなわちレストランのQRコードとキャッシュレス決済を組み合わせ、私たちは未来の決済機能を作り上げます」。アルカッサー氏は現在、Rocket Internet Middle East(ロケット・インターネット・ミドル・イースト)の共同創業者兼マネージングディレクターを務めているが、関与を段階的に減らしている最中である。

Qlubの創業チームは、アルカッサー氏の他、Arun Sharma(アルン・シャルマ)氏、Filiberto Pavan(フィリベルト・パヴァン)氏、Gizem Bodur(ギゼム・ボドゥル)氏、Jeff Matsuda(ジェフ・マツダ)氏、Jianggan Li(ジャンガン・リー)氏、John Mady(ジョン・マディ)氏、Mahmoud Fouz(マフムード。フーズ)氏、Oscar Bedoya(オスカー・ベドヤ)氏、Ramy Omar(ラミー・オマー)氏で構成されている。このチームは、Lazadaa(ラザダ)、Namshi(ナムシ)、Snapp(スナップ)など、さまざまな企業を設立し、規模を拡大してきた。

Cherry Venturesの創業パートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、次のように述べている。「オフラインでの支払いが回転率の障害となっているレストランにとって、セルフチェックアウト・ソリューションの採用は考えるまでもないことです」。

Point NineのパートナーであるRicardo Sequerra Amram(リカルド・セクエラ・アムラン)氏は、次のように述べている。「Qlubは、キャッシュレス決済の自由度とセルフチェックアウトの利便性を求める消費者と、新型コロナウイルス流行後の世界で、固定費を圧縮し、収益を生み出す仕事にスタッフを割り当てることを一層心掛けているレストランのオーナーの双方にとって、ウィンウィンのサービスを構築しています」。

QlubはこれまでにUAE、KSA、インドでサービスを開始しているが、今後数週間から数カ月の間に他の国際市場にも拡大していく予定だ。

画像クレジット:Eyad Alkassar

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)