GPUの供給状況については2021年はNVIDIAやAMD共にあまり芳しくなかったですが、2022年には両社は供給は改善に向かうと発言を行われていますが、間もなく独自のGPUを発売するIntelは更に強気の供給姿勢を示しているようで、毎年に100万台以上のArc GPUを供給すると発言しています。
間もなく発売されるIntel製GPU、Arc Alchemist
Intelでは2022年中にArc Alchemistと呼ばれるグラフィックスカードを投入し、NVIDIAとAMDの2社がほぼ独占している市場に割って入る事を目指しています。
現時点で判明している事としては、はGPUダイ自体は最大512基のExecution Unit(EU)を搭載する、ハイエンドからミドルレンジまでをカバーするSoC1とエントリー向けに最大128基のEUを搭載するSoC2の2つが用意されています。
最上位モデルはNVIDIAのGeForce RTX 3070 TiかAMD Radeon RX 6700 XT相当の性能を持ちVRAM容量は16GBとなっており、アッパーミドルレンジに相当する性能となっています。
年100万台を出荷。GPU不測の救世主になれるか
GPUの供給や価格については、2021年は史上最悪と言える状況でGPU価格は一時的にとは言え定価の3倍を超えても在庫切れに、その後供給が安定し、価格も下がるもののそれでもエントリーモデルであるRTX 3050は5万円、ミドルレンジのRTX 3060は7万円、ハイエンドのRTX 3080などになると15万円越えなど世界のインフレ率を考慮しても異常なまでにGPU価格は値上がりしており、その状態が続いています。
2022年に関しては、GPUの供給が増える事が予測されているものの、物流費やTSMCの研究開発費などが上乗せされるため定価自体が上昇する可能性がありますが、供給量自体がまだまだ少ない一方で需要は高いため、卸売り業者または販売店側が販売価格を高めに設定するという状況が続くという見方もあります。
この事態に対して、PC Gamerが公開状をIntel CEOのPat氏に宛てて書きました。
内容としては、GPU市場の惨状と共に、Intelが新しい製品カテゴリーに参入する上で今の市場はIntelにとって大きなチャンスになる可能性を秘めており、IntelがGPUの惨状を救う最後の希望と述べています。
この公開状に対してIntelのディスクリートGPU部門長であるRaja Koduri氏が以下のように反応しています。
I am with you, @pcgamer. This is a huge issue for PC gamers and the industry at large. @IntelGraphics is working hard to find a path towards the mission – getting millions of Arc GPUs into the hands of PC gamers every year https://t.co/bknQOvUMti
— Raja Koduri (@Rajaontheedge) January 29, 2022
Raja氏によると、自作PC業界にとってGPUの状況は問題と言う認識は持っており、Intel Graphics部門は年間100万台以上のArc GPUをゲーマーの手元に届ける事を目標に励んでいると述べています。
I am with you, too @pcgamer. We are on it. https://t.co/i1BRRwrv6S
— Pat Gelsinger (@PGelsinger) January 29, 2022
このRaja氏の引用リツイートに対して、Intel CEOのPat氏も反応を示しており、全力を尽くすと返信をしています。
Intel Arcの第一世代製品、Alchemistは2022年春頃までには発売がされると見られており、既にGPUのシェアを寡占しているNVIDIAやAMDの間に割って入る事から挑戦的な価格での販売が行われてると見られています。また、OEM製のモバイルおよびデスクトップ向けにエントリーからミドルレンジモデルは多く採用されると見られています。
自社ファウンドリでは無いため実現できるかは未知数・・・
AMDのRyzen 5000シリーズについては世界的な半導体需要の増加でTSMCの供給能力が限界に達していた事から、2020年末から2021年初めにかけて供給があまり行われていませんでした。一方で、Intel製CPUは自社のファウンドリで製造される事から、供給状況は良好で、当時のIntel製CPUは性能面でRyzen 5000シリーズに劣後する状況にもかかわらず、2021年Q1では一時的にシェアを伸ばしていました。
IntelとしてはCPUのように良好な供給状況を基にシェアを大きく伸ばす作戦なのかもしれませんが、Intel Arc Alchemistに関しては、すべてAMDやNVIDIAと同じく外部のファウンドリであるTSMCで製造される事が決まっており、プロセスはAMDのRadeon RX 6500 XTやRyzen 6000シリーズで利用されているTSMC 6nmが採用されます。
IntelはTSMCに対して3nmプロセスでの生産枠の多くを予約済みとしているなど、先回りしてTSMC 6nmの生産枠を確保しているとは見られるものの、Intelの自社ファウンドリほど様々な問題のコントロールが出来ないため、Intelが計画する通り100万台の出荷が本当に叶うのかはまだまだ未知数と言えます。
GPUの価格は下がる疑惑と上がる疑惑の両方が出ている状況ですが、Intel Arc Alchemistのスペックがリークの通りRTX 3070相当で、供給量も潤沢に用意されればNVIDIAやAMDのGPU価格は下がる可能性は非常に高くなりますので、期待は非常に大きいです。ただ、マイニングに対する制限は課さないとIntel側は明言しているため、マイニング性能次第では供給量が多くてもあまり意味が無いという事態にもなるかもしれません。
Arc Alchemistは春前には登場予定で現在、グラフィックスドライバーの最終調整段階と見られています。
一体どれぐらいの価格で登場するのか、また供給は十分にされるのかこのGPUがPC Gamerが言う通り、自作PCユーザーにとっては最後の希望と言うのは事実で、何が何でも予定通り発売にたどり着いて、競争力のある価格帯かつ潤沢な供給をして欲しい所です。
投稿 Intel Arc Alchemist GPUは年100万台の出荷が目標。GPU不足の救世主に? は ギャズログ | Gaz:Log に最初に表示されました。