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実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは

 クルマ好きはもちろんのこと、クルマにあまり興味がない人でも「テスラって電気自動車ですよね」・・・といった具合に認識されつつあるに思う。

 事実、都市部を中心に街中でも見かける機会が増えてきた。少しずつ、確実に市民権を得つつあることは確かだ。

 日本自動車輸入組合(JAIA)は、去る2021年11月25日に初の試みとして、輸入電動車に特化した試乗会を報道機関向けに実施した。10社/22台の輸入電動車が参加し、テスラももちろんエントリー。

 テスラの試乗を希望するメディアが多かったため、試乗車が追加されたほどの人気を博した。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
ご夫婦でそれぞれテスラを所有する、岡本英伸さんと愛さんご夫妻

 テスラ社が1月26日に発表したリリースによると、2021年の売上高および純利益が過去最高を記録。販売台数も93万6222台と、2020年の49万9647台と比較してほぼ倍増しているという(半導体不足の影響により、2022年はこれほどの伸び率は期待できないとの見方もある)。

 では、実際にテスラを購入し、すでに「愛車」として所有しているオーナーの方たちは、テスラのどこに魅力を感じ、維持するうえでどのような苦労をしているのか? 今回、5名のテスラオーナーにご協力いただき、取材を試みた。

文/松村透
写真/テスラオーナーの皆さま(エゴさん、ふくすけさん、SLKさん、岡本英伸さん&愛さん)、松村透

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■テスラはクルマ以上の存在であり、ライフスタイルです

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
自動車業界において豊富なキャリアを持つエゴさん。テスラにはその道のプロフェッショナルをも魅了するパワーが秘められているようだ(撮影用にナンバーを外してあります)

Q:プロフィール
◎お名前またはHN名:エゴさん
◎ご年齢:42歳
◎所有しているテスラ:2020年式 Model S Dual Motor Performance
◎購入時期:2020年
◎所有年数:1年ちょっと
◎現在の走行距離:41,955km
◎年間の走行距離:36,000km
◎年間の維持費(電気代・保険代なども含めて概算で)
・保険料:161,880円、電気代はかかっていない(生涯無料スーパーチャージ契約)
・購入時の金額:1,400万円程度

Q:テスラに興味を持ったきっかけを教えてください
A:自動車業界で16年以上働いていて、クルマの性能や技術などよく理解しているつもりです。

 2013年にテスラの存在を知り、ソフトウェアやバッテリーおよびモーターの技術がとても革新的であると感じました。それまではレクサスを5台乗り継いできましたが、この時からテスラに興味を持つようになりました。

Q:テスラを購入する際、比較したモデルはありましたか?
A:勉強のために、ポルシェタイカンなど、他のEVも試乗しました。レンジ・パフォーマンス・技術・性能を含めて、競合になり得るクルマはないと考えた結果、他の選択肢はありませんでした。

Q:テスラの気に入っている点を教えてください
A:パフォーマンスです。それと、クルマのベースの考え方をはじめ、他のメーカーにはありえないたくさんのユニークな機能がある点です。

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写真が趣味だと語るエゴさん。テスラの窓ガラスに映り込む桜並木が美しい(撮影用にナンバーを外してあります)

Q:テスラの不満に思う点を教えてください
A:もっとも不満なことは、テスラに関してではないんです。日本の政府がテスラの機能に制限をかけ、能力を最大限に発揮できないようになっている点です。
 
 ある意味、日本の他のメーカーとの差が開かないように、政府も守りに入っているのでは?とすら思います。

Q:おおよその航続距離を教えていただけますか?
A:私の場合はいつも「ルダクリスモード(0〜100km/hの加速が3秒!)」で走っています。毎日通勤などで利用していて、街乗りは計算したことないのですが、1週間に一度チャージするイメージです。高速では580キロ前後かと思います。

Q:充電の状況についてはいかがですか?
A:自宅はマンションのため、充電設備はありません。毎回スーパーチャージャー(テスラ専用の急速充電インフラが日本を含めて世界各地に点在している)で充電しています。

 今のところ日本国内、32か所ほどのスーパーチャージャーを訪問しましたが、混んでいて待ち時間が発生したのは、大阪のみでした。基本的にスーパーチャージャーしか利用しないので、他の充電器はわかりません。

 85%まで充電する場合の所要時間は45分ほどです。スーパーチャージャーのバージョンによってさらに速い場合もあります。

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富士山をバックに。ホイールキャップの刻まれたテスラのロゴが地面に対して水平に位置するよう、細部にいたるまでていねいに撮影されたことが伝わってくるショットだ

Q:テスラを所有していて苦労したエピソードをお聞かせください
A:日本の駐車場の幅が小さすぎることです。最近できた施設でも幅が狭いと感じます(とくに機械式駐車場)。表示上は駐車可能でも、そこの従業員によって断られることが多いです(テスラへの理解不足? )。

Q:いま、テスラ以外に気になっているEVはありますか?その理由も含めて教えてください
A:ありません。なぜなら他社との技術の差が開くばかりだと感じているからです。EVピックアップモデルの「サイバートラック」も予約しています。

Q:あなたにとってテスラとはどんな存在ですか?
A:クルマ以上の存在であり、ライフスタイルだと思っています。

■将来への期待とテスラの性能に興味がありました

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宿泊先の温泉旅館でチャージ中。こうして眺めていると、純和風の背景にも自然と馴染んでいるように思える

Q:プロフィール
◎お名前またはHN名:ふくすけさん
◎ご年齢:60代
◎所有しているテスラ:2019年式 モデル3 パフォーマンス フルセルフドライビングパッケージつき
◎購入時期:2020年4月
◎所有年数:2年
◎現在の走行距離:19841km
◎年間の走行距離:6000km
◎年間の維持費:不明(法人所有のため)
◎購入時の金額:713万円

Q:テスラに興味を持ったきっかけを教えてください
A:自動車の近未来を体験したかったからです。テスラはEVのなかでももっとも先進的な志向があると感じられました。

Q:テスラを購入する際、比較したモデルはありましたか?
A:ジャガーi-Paceも試乗しましたが、旧来の「自動車」の域を出ていないという印象を持ち、テスラを選びました。

Q:テスラの気に入っている点を教えてください
A:徹底的に従来の概念を否定し、動く家電を実現していることです。ソフトウェアのアップデートで昨日できなかったことが、今日になったらできるようになることでしょうか。

 私のクルマは完全自動運転可能のソフトを契約していますが、現状でできることは少ないです。使える機能といえば「オートパーキング・オートレーンチェンジ・サモン(携帯電話で車を動かす機能)」しかありませんが、アップデートのたびに未来を夢見させてくれる進化が実感できるのは楽しいですね。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
驚くほどシンプルなテスラの内装。ふくすけさん曰く「便利な家電(携帯電話? )」とのことだ

Q:テスラの不満に思う点を教えてください
A:従来の「自動車」の基準からすると、乗り心地や遮音性が悪く、内装がチープでとても人に勧められません。

 ソフトウェアも現状では不完全で、フリーズすることも時々あります(ただし運転はできます)。ひとことでいえば「不完全な欠陥品」ですが、それらも含めて「より良い未来が来ると信じられる」ならお勧めします。

Q:おおよその航続距離を教えていただけますか?
A:街乗りおよび高速いずれも400kmくらいでしょうか?長距離はあまり走らないので十分です。ただ、往復300km以上走るなら充電計画が必要です。

Q:充電の状況についてはいかがですか?
A:自宅での充電がほぼ100%ですが、2回ほど温泉旅館に宿泊した際に普通充電してもらったことがあります。今後EVが増えたら充電施設が足りなくなって困るでしょうね。

Q:テスラを所有していて苦労したエピソードをお聞かせください
A:静かに走るので歩行者に気づいてもらえないことです。あと、メジャーアップデートのたびに操作パネルを覚えなおす必要がある点です。

クルマの通信速度(4Gです)と、搭載されているソフトが遅いため、イライラすることも多いです。あと、オートパーキングは本当にへたくそ(笑)で、自分で駐車した方が速くて安全だと思います。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
街中でテスラを見かける機会は増えたが、ガソリンスタンドで洗車している風景はまだまだレアかも

Q:いま、テスラ以外に気になっているEVはありますか?その理由も含めて教えてください
A:ソニーのEVか、トヨタの固形電池モデルが先進的で興味があります。逆に、従来の自動車メーカーが作るEVにはあまり魅力を感じません。現状では、日産のe-PowerなどのEV+レンジエクステンダー車が現実的だと思います。

Q:あなたにとってテスラとはどんな存在ですか?  
A:便利な移動できる家電ですが、不完全なので育成ゲームの感覚ですね。実際は違っていても、周囲から「環境問題に関心を持つ人」的なイメージを持たれているのもEVのずるいところかもしれないですよね(笑)。

■牽引できるEVは今のところテスラくらいしか存在しません

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広島県福山市を中心にタコス料理店「Slow Life Kitchen/スローライフキッチン」という店名を掲げ、テスラ&キッチントレーラーで営業しているというSLKさん

Q:プロフィール
◎お名前またはHN名:SLKさん
◎ご年齢:30代
◎所有しているテスラ:2020年式 モデルX ロングレンジ Raven
◎購入時期:2020年
◎所有年数:1年6ヶ月
◎現在の走行距離:32000km
◎年間の走行距離:約20000km
◎年間の維持費:保険代+税金で11万円。基本は自宅で充電ですが電気代は分かりません
◎購入時の金額:ヒミツ

Q:テスラに興味を持ったきっかけを教えてください
A:自動車販売業を経営しているなか、国産車および輸入車、新車・旧車を問わずいろいろなクルマに乗ってきました。しかしテスラだけは自分でハンドルを握るまで分からない領域の特別なクルマだというイメージを持っていました。

 また、周囲の人が乗っていないので、自分で所有してみなければどんなクルマなのかと分からないと思い、興味を持つようになりました。その他、デザインやパフォーマンスについても従来のクルマとは桁違いなものがあると感じました。

Q:テスラを購入する際、比較したモデルはありましたか?
A:テスラを購入する前に考えていた車種はランクル300です。以前、ランクル200系に乗っていたので、国産車でもっとも安全で丈夫なクルマ(牽引しても)を考えていました。

Q:テスラの気に入っている点を教えてください
A:他のクルマにはないデザイン性、とくにモデルXは大きなフロントガラスから天井にかけてと、リアから見たフェンダーとボディのラインが好きです。

 SUVでありながら高速道路でGT-Rとバトルしても負けない走行性は気に入っています(笑)。

 その他、ソフトウェアアップデートでさまざまな機能や使い勝手がよくなる点ですね。「常に進化しづけているクルマ」という点がすごいなと思います。

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キッチントレーラーをテスラで牽引しているだけに注目度120%! もしかしたら日本で唯一かも。これは目立つゾ

Q:テスラの不満に思う点を教えてください
A:しいていえば、やはりアメ車かなと思うところでしょうか。以前よりもアフターフォローが改善されてきていますし、今後に期待です!

Q:おおよその航続距離を教えていただけますか?
A:街乗り:480km、高速:400kmです

Q:充電の状況についてはいかがですか?
A:テスラのインフラで言うと、SC(スーパーチャージャー)での充電時間はすごく速いので、待ち時間のあいだに用事を済ますのも問題ないですが、チャデモ(EVの急速充電方法のスタンダードのひとつ)になると出力もまちまちなんですね。

 日産のEVがこれからもっともっと普及するにあたり、インフラが整備されることにも期待しています!

テスラは国内にある充電機は変換機などを使ってほぼすべてをカバーしているので安心です。

Q:テスラを所有していて苦労したエピソードをお聞かせください
A:近くに修理工場がないので、年に数回は大阪まで運んでいます(笑)。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
Slow Life Kitchen/スローライフキッチンの詳細についてはInstagramで情報を発信しているという。アカウントは「@slow__life__kitchen」とのこと

Q:いま、テスラ以外に気になっているEVはありますか?その理由も含めて教えてください
A:たまに見かけるポルシェタイカンターボはカッコいいので気になっています。しかし、パフォーマンスはテスラが上ですし、やはり牽引できるEVは今のところテスラくらいしか存在しませんし・・・。

 しいていえばテスラ モデルSが欲しいです(笑)。

Q:あなたにとってテスラとはどんな存在ですか?  
A:「走る家電」といわれていますが、iPhoneやApple Watchと同じ「ガジェットのひとつ」だと思っています。

 テスラ=イーロンマスクの存在感が一番強いのではないかと思いますね。イーロン信者はみなテスラに乗っているのと同じです。

■テスラと同じように、未来に向かって常に考え方をアップデートしていきたい

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テスラに「ドハマり中」の岡本英伸さん。所有年数4年6ヶ月で走行距離が65000kmとは、日本国内にあるテスラのなかでも結構いいペースで走っている方だろう

Q:プロフィール
◎お名前またはHN名:岡本 英伸さん
◎ご年齢:37歳
◎所有しているテスラ:2017年式 モデルX 90D
◎購入時期:2017年
◎所有年数:4年6ヶ月
◎現在の走行距離:65000km
◎年間の走行距離:14000km
◎年間の維持費:約32万円(電気代はほぼ0円。購入時のキャンペーンでテスラのスーパーチャージャー利用が無料。あとは保険代・税金・ガラスコーティングのメンテナンス費用・2年に一度の車検代とタイヤ代を1年分に分割)
◎購入時の金額:約1300万円

Q:テスラに興味を持ったきっかけを教えてください
A:ニコラ・テスラ(天才発明家)に関心があったので「テスラ」というクルマがデビューした時から興味がありました。

 「走るスマホ」と呼ばれていたので、iPhoneが発売された時のようなワクワク感を思い出し、試乗した時点で購入する意思が固まりましたね。

Q:テスラを購入する際、比較したモデルはありましたか?
A:元々アウトドアやサーフィンによく行っていたので、日産キャラバンに乗ってました。もしもテスラの存在を知らなかったら新しいキャラバンを買っていたと思います。

 私にとって、それだけテスラが衝撃的かつ革命的だったんです。よって、比較対象となるクルマはありませんでした。

Q:テスラの気に入っている点を教えてください
A:ファルコンウイングで圧倒的な存在感を含めて、Xのデザインが好きです。テスラ社のソフトウェアアップデート機能も本当にすごいと思います。この4年間でたくさんの機能が増えました。

 購入時になかった機能のひとつとして、今ではモデルXが踊るようになりましたから(笑)。

 テスラはクルマではなく、スマホにタイヤがついたようなものだと表現されることが多いのですが、まさにそのとおりだと思います。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
ファルコンウイングの利点を活かしてこんなパフォーマンスも。岡本さんの遊びゴコロが感じられる

Q:テスラの不満に思う点を教えてください
A:日本では初期のタイプになるので、現行モデルよりも航続距離が少ないのが気になります。それと、これは個体差かもしれませんが、納車直後は割と壊れる箇所が多かったです。

 その都度、長期間工場に預けるので根気はいりましたが、保証で全部修理したので現在は故障もなくなりました。

 EVはガソリン車のようにエンジンが搭載されていない分、圧倒的に部品点数が少ないので、それだけ壊れる箇所も少ないんです。

 現行モデルも不具合はあるかもしれませんが、遠隔操作で改善できたり、モバイルサービス(整備士)が修理に来てくれるようになりました。

 テスラのオリジナルカスタマイズパーツも手がける「ハートアップワールド」さんにも大変お世話になっていますし、私自身、以前ほどの苦労はなくなってくると感じています。

 現在、テスラは少数のスタッフで対応しているので時間がかかることがありますが、今後は増員すると思うのでこの点は安心かなと思います。EVは発展途上ですし、まだまだこれからかなと思っています。

Q:おおよその航続距離を教えていただけますか?
A:街乗り:約300km、高速:約350km

走り方によって航続距離が変わります。冬はバッテリー保護のためかなりロスも大きいのですが、今後はより良いバッテリーが開発されるとはずなので期待しています。

Q:充電の状況についてはいかがですか?
A:チャデモ規格の充電スポットは全国に数えきれないくらいあります。

 その一方で、テスラ専用のスーパーチャージャー(急速充電)は全国に30か所以上、ディスティネーションチャージャー(普通充電)は各地の施設にありますし、どちらも台数は増え続けています。

スーパーチャージャーでの充電時間はデイリーの20%〜80%までのチャージが40分くらい、トリップで100%までのフル充電になると60分くらいかかります。

 職場から10分圏内に4基設置されていてアクセスが良く、普段はジム帰りの遅い時間に寄るので、使用中で埋まることはなく待ち時間はありません。

 私はめったに使いませんが、我が家のウォールコネクター(自宅用充電器)は20Aで設置しています。出力があまり高くないので時間がかかるため、モデル3は寝ている間に充電するという感じで利用しています。

Q:テスラを所有していて苦労したエピソードをお聞かせください
A:テスラあるあるなのですが、ナビを使った案内は割ととんでもない道に案内されますよ(苦笑)。たぶん距離を優先しているのでしょうね。

 過去には車幅ギリギリの地獄のドライブ(しかも約1時間・・・)を体験したこともありますし。これはどうにか改善してほしいです。

 あとは、今のような寒い時期にエアコンが故障したことがあり、スーパーチャージャーで充電中に(当時は賃貸アパートに住んでいたため自宅用充電器なし)寒くて凍えそうでした。

 シートヒーターが使用できたのと、買い物帰りの妻がエアコンの効いたクルマで救助に寄ってくれたので無事に充電完了を待つことができましたが、これもなかなか地獄でした(笑)。

 他にも苦労はあったはずですが、それよりもテスラの魅力が勝ってしまったのか、今となってはあまり覚えていません。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
Slow Life Kitchen/スローライフキッチンのSLKさんと初対面時には、タコス料理店に引っかけてこんなサプライズ&パフォーマンスも

Q:いま、テスラ以外に気になっているEVはありますか?その理由も含めて教えてください
A:いろいろあります。カヌー社のMPDV、アップルカー、ソニーのヴィジョンS。ポルシェのタイカン。その他、ベトナムの自動車メーカー、ビンファスト社やアメリカのファラデー・フューチャー社およびルーシッド・モーターズ社、中国のNIO社およびXpeng社など、各メーカーのEVに注目しています。

 その理由として、どこがテスラのライバルになるか、もしくはテスラとは違う道で成功するか興味があるからです。実をいうとすべてのEVに興味があります。

Q:あなたにとってテスラとはどんな存在ですか?
A:相棒であり家族であり、ワクワクさせてくれて、未来に連れてってくれる存在です。

 テスラに乗りはじめてから、クルマ以外の物事でも考え方がいろいろ変わりました。いくら歳を重ねて経験値を積み上げても、時代も変化しています。

 最近はその流れがさらに加速していることを実感します。もはや、人間の想像できる範囲のことはすべて実現可能なんだろうなと思うほどです。

 いくつになっても新しいモノを素直に受け入れる気持ちが持てるのはとてもいいことだな、と、テスラを通じて改めて実感している日々です。

 これからも私自身、テスラと同じように、未来に向かって常に考え方をアップデートしていきたいです。

■テスラは「家族の一員」です

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
ご主人である岡本さんの影響を受け、さらに担当セールスの方の人柄もあり、奥さまの愛さんもテスラデビューが実現したという

Q:プロフィール
◎お名前またはHN名:岡本 愛さん
・ご年齢:40歳
・所有しているテスラ:モデル3 スタンダードレンジプラス
・購入時期:2020年
・所有年数:1年1か月
・現在の走行距離:10,000km
・年間の走行距離:9000km
・年間の維持費:約15万円(電気代・保険代・税金・ガラスコーティングのメンテナンス費用)
・購入時の金額:約520万円

Q:テスラに興味を持ったきっかけを教えてください
A:主人の影響でテスラに興味を持ち、2015年および2016年の試乗イベントに参加しました。当時はまだまだ雲の上の存在。でもいつか必ず手に入れたいと心に決めていました。

 2017年に心斎橋ストアを見学中に、後に契約することとなる担当セールスの方に試乗の案内をお声かけいただいたことやさまざまなできごとが重なり、モデルX購入を決意。運命的に夢を叶えることになりました。

 モデルXの技術や運転の楽しみを実感していくうちに、私も「次に買い替えるならテスラしかない!」と決めており、海外でのテスラの動向に感化されこととコロナ禍を明るく過ごすためモデル3の購入に至りました。

Q:テスラを購入する際、比較したモデルはありましたか?
A:モデルX購入前は旧車(国産かアメリカ車)に興味がありましたが、テスラを味わってからは「テスラオンリー」です。

Q:テスラの気に入っている点を教えてください
A:フロントグリルのないデザインや存在感バツグンのタッチパネル、ボタン・スイッチ類がほとんど何もないシンプルすぎて戸惑うインテリアです。

 はじめのうちは馴染めなかったのですが、今となっては斬新で特徴的なテスラならではの発想なのだと気づき、お気に入りとなりました。

 あとはなんといっても一体感のある「走る楽しさ」でしょうか。座り心地のよいシートとハンドル、ペダル操作が思ったとおりにダイレクトに響く走りは「運転しているな」と実感ができて楽しいです。

 とくに、モーター駆動ならではの回生ブレーキを活かしたワンペダルドライブはとっても快適で自分好みです。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
愛車であるモデル3スタンダードレンジプラスの内装。スイッチ類が見当たらない、おどろくほどシンプルなデザインが魅力だ

Q:テスラの不満に思う点を教えてください
A:思いもよらぬアップデートや仕様変更ですね。ソフトウェアのみならず、車体のデザインや航続距離、価格にも変動があります。

 私の場合は、ウィンドウフレーム等の材質、トランクが手動から自動へ変更になったこと、バッテリーの改良などがグッドタイミングで行われました。

 すべて自分好みで納車されたことに大喜びしたのも束の間、新たに納車される個体は大幅な値下げを行うと発表されたのです。さすがにこの時はかなりビックリしました(これはもう運でしかないですね)。

 もうひとつは主人もいっていたように、カーナビのとんでもない道案内です。モデルXでの地獄のドライブは冷や汗もので、その教訓を活かし、モデル3でも怪しい道に入りそうになったら即回避するようにしています。

 道を覚えるのは得意な方なので、頭の中に地図があるのですが、はじめて走る道や知らぬ土地で2度と地獄のドライブはしたくないです。

Q:おおよその航続距離を教えていただけますか?
A:街乗り300km。高速は不明ですが350kmくらい走ればいいなと思っています。ガソリン車でもテスラでも、常にエネルギー効率のよい走りを意識した運転を心がけています。

Q:充電の状況についてはいかがですか?
A:購入後からまだ県外など遠方へは出かけていないので自宅のみの充電です。充電時間は電気代が安い21時から開始するように設定していて、20%〜90%までを夜間10時間くらいかけて充電しています。

 休日はスーパーチャージャーの無料チャージをフル活用するためモデルXを優先して走らせることが多く、モデル3は約1週間に一度程のペースでの充電になります。

 モデル3にも未使用の無料チャージのクレジットがあるので、コロナが落ち着いたら大型連休を使って、思う存分スーパーチャージャーを利用した長距離ドライブの旅行をしたいという野望が膨らんでいます。

Q:テスラを所有していて苦労したエピソードをお聞かせください
A:モデル3では今のところあまり苦労はありません。モデルXでは故障と修理に多くの期間を費やしたので辛抱強くなっているかもしれません。

 テスラはディーラーを持っていないので店舗に駆け込んだりメーカー担当者の方が引き取りに来てくれるようなことがなく、サービスセンターに依頼して県外の工場に積載車で搬送するのが主な形でした。

 今は近隣に認定工場やテスラを取り扱う店舗もありますし、テスラも「モバイルサービス」という、全国各地に整備士を配置した出張修理サービスがはじまりました。

 私のテスラはカメラとドアノブの不具合が発生しましたが、どちらもカスタマーサービスに連絡するとモバイルサービスを派遣してくれ、職場で仕事をしているあいだに修理を済ませてくれました。

 なるべくオーナー自らが足を運ばなくて済むように、移動や時間、さらには費用の負担を軽減させるというテスラの方針が全面に出たとても画期的なサービスで本当にありがたくて助かっています。

 あと、これは余談ですが、主人のテスラ愛が強すぎます(苦笑)。

 今までは手を抜いていた洗車が、モデルXに乗りはじめてから月2回・2時間の手洗い洗車に。車内でのゲーム、動画、ポッドキャストなどを楽しみすぎてガレージから戻ってきません(タッチパネルで各種エンターテイメントが利用できるのです)。

 テスラ関連のグッズ、SNS、YouTubeにハマりすぎて忙しいようです。また、サプライズデコレーションに人生をかけていて・・・私のことよりもテスラが大好きみたいです。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
ご自宅にテスラのパワーウォール(家庭用蓄電池)が設置されている。テスラオーナー向けのインフラであるスーパーチャージャーを利用しつつ、夜間や災害時にはここで充電しているという

Q:いま、テスラ以外に気になっているEVはありますか?その理由も含めて教えてください
A:発表されたEVはすべて気になります。父がメルセデスベンツ、主人のご両親が日産のクルマを乗り継いでいるので、この2社のEVはとくに関心があります。

 私が三菱iを購入した12年前にi-MIEVが生産され、検討した経験があるので(充電設備と航続距離が現実的ではなく断念)、三菱が今後K-EV以降のモデルを発表しないか気になっています。

 あとはクルマ好きの従兄弟がおしえてくれたリマックネヴェーラや、お洒落なマトリクスLEDランプを装備したアウディe-tornなども気になる存在です。

テスラは電気自動車の開発技術の特許を公開しています。そのことがEV普及に繋がっていると思うので、テスラの技術が活かされたものだったり、メーカーそれぞれの得意な分野を提供したものだったり・・・と各社がどんなカラーを打ち出してくるのか?

 これからいろいろなEVが発表されるであろう近未来がとても楽しみです。

Q:あなたにとってテスラとはどんな存在ですか?
A:家族です。大切にしている家族と同じような存在だと思っています。

 最近は一心同体で自分自身でもあるなと感じはじめました。テスラは私たちの視野や世界を広げてくれる存在でもあり、オフ会やイベントでも沢山の人に出会えたり、従兄弟や家族ともクルマの話題に会話が広がり、とても有意義な時間を過ごせています。

 夢を叶えて自分たちの望んでいた景色が目の前に広がって本当に嬉しいです。テスラも他社メーカーの培ってきた内燃機関車の開発技術から学び、現在の形があると思います。時代の進化が感じられるテスラの成長が楽しみですし、自分自身もテスラと一緒にこれからも成長&進化していきたいです。

■まとめ:「考えるな、感じろ!」こそがテスラを知る本質なのかもしれない

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
6年ほど前、はじめてテスラを運転した時の模様。理屈抜きに感激したことを今でも強烈に覚えている

 何を隠そう、かつては筆者もEV否定派だった。拒絶していた・・・といってもいいかもしれない。EVが普及するということは、同時に内燃機関のクルマの立ち位置が危うくなるわけじゃないか! 余計なことをするな、そう考えていたほどだ。

 しかし、今から6年ほど前、ある仕事を通じてテスラを運転する機会に恵まれた。正直、期待していたわけではなかったのだが、なんだかんだいってテスラが運転できることは正直嬉しかったと記憶している。

 いざアクセルペダルを踏み込み、私有地から街中に出た瞬間「これまでのクルマとはまったくの別モノだ!」という、未知なる体験ができている感情を抑えることができなかった。

 それは単に加速が鋭いとか、ステアリングのフィーリングが云々といった次元ではなく、運転免許を取得してはじめて自分の運転で街中を走った時のような・・・。何ともゲンキンな話だが、この日からEV肯定派に鞍替えせざるを得ないほどまったく新しいステージに自分が立ったような、そんな感情を抱いたことを強烈に覚えている。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
当時、モニターの画面サイズの大きさに面食らった記憶がある。しかしその後、日本車でもテスラのようなデザインの内装が増えたような・・・

 今回、5人のテスラオーナーさんを取材させていただき、その熱量に驚いた。

 皆さん本当にテスラのことが大好きで、ライフスタイルすら変わってしまったというオーナーさんもいらっしゃったことに驚いた。

 クラシックミニやユーノスロードスターや、ハチロク、スカイラインGT-Rなど、名だたる名車には熱心な愛好家が全国にいるように、テスラにもこれに近いムーブメントが起こっているのだ。

 それは前述のクルマたちと同様に、テスラが人を虜にするほどの魅力的なクルマであることを裏付ける何よりも証拠といえるだろう。

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クラシックカーや国産スポーツカーとの異文化交流? にも自然と馴染んでしまうテスラ。クルマ好きであれば、EVもクラシックカーも関係なしということだろう

 まったく新しい概念や技術が世の中に普及しつつある時、拒否反応を示す層がいるのはいつの時代も同じなのかもしれない。しかし、多くの自動車メーカーEVシフトへと舵を切ったのは知ってのとおりだ。

 今後、テスラのような新規参入組も増えていくだろう。なかには「俺(私)はぜったいにEVには乗らない」というポリシーを貫く人がいるかもしれないが、食わず嫌いではなく、まずとりあえずはテスラをはじめとするEVを試乗してみてから現時点での答えを導き出しても遅くはないと思う。

 決して内燃機関のクルマを否定しているわけではない。共存共栄しつつ、ちょっとEVに触れるみるもありかも・・・という意味合いだ。

実録! オーナーが赤裸々に語った「テスラが持つ魅力と不満」とは
どんなクルマでもそうだが、乗らないと分からないことがあるように思う。テスラをはじめとする「EV食わず嫌いな方」ほど、実体験してみてから答えを出しても遅くはないはずだ

 これまでのクルマは、いちど手に入れた個体の経年劣化を感じることはあっても、単に所有しているだけで(チューニング等の作業を行わない限り)性能や機能が向上したことを実感することは皆無といっていい。

 しかし、テスラの場合、クルマの見た目は変わりないが、ソフトウェアアップデートを通じてテスラそのものの性能や機能が日々向上することを実感できる。これは画期的なことかもしれない。これが病みつきになってしまったら他のクルマには乗れなくなるだろう。

 日々、自身の愛車であるテスラが進化していることを、映画「燃えよドラゴン」の劇中でブルース・リーが発した名台詞に例えるなら「Don’t think. FEEL!(考えるな、感じろ!)」を実感できる喜び、だろうか。これこそがテスラを所有する喜びであり、本質なのかもしれない。

 今回、そのことを5人のテスラオーナーさんから教えていただいたような気がする。

 最後に、お忙しいなか、時間を割いていただいたオーナーさんに対して、この場を借りて改めてお礼申し上げます。

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