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 日本の商用バンや小型コミューターの定番モデル「ハイエース」。登場から実に18年が経過するがまだまだ売れている。実はそのハイエースには、「200系」と「300系」が存在するのをご存じだろうか?グローバル的には2019年に発売された「300系」に販売が移行しつつある。
 そんな中、南アフリカでは日本と同じ「200系」をベースとするモデルが昨年末に改良されて発売されたという。世界で愛され、活躍するハイエース、今回は日本と南アフリカの仕様の違いを比べながらはるか遠い国、南アフリカを感じてみよう!

文/永田恵一写真/トヨタ

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■南アでは標準モデルとSES’SFIKLEを設定

 日本では登場から18年目となってもいまだコンスタントに売れ続けている現行型200系ハイエースだが、海外ではフルサイズミニバンとなるグランエースの商用バンとなる300系ハイエースへの移行が進んでいる。

こちらはフィリピン仕様の300系ハイエースコミューター。安全性を考慮しノーズが長くなるとともによりスクエアなボディ形状により、より居住性も向上している。ちなみに17人乗りだ

 それでも現行型200系ハイエースは日本だけでなく、アジア圏やアフリカ圏では現役で、南アフリカ共和国ではSES’SFIKLEというモデルがあり、最近改良されたという。ここではハイエースSES’SFIKLEとその改良の内容を紹介していく。

対する南アフリカで改良発売された200系ハイエースSES’SFIKLE。日本のワイドバン/ワゴン/コミューターと共通の顔であるうえ、右ハンドル車につき日本で走っていても違和感は無い?

 まず、南アフリカ共和国で販売されるハイエースは「ハイエース」と呼ばれる標準モデルとSES’SFIKLEに分かれる。

大きく見えるボディは日本のコミューターと同サイズ。南ア仕様は16人乗り!!

 標準モデルは全長5380×全幅1880×全高2285mm、ホイールベース3110mm、シート配列は2-2-3-3-4の5列14人と、つまり日本でも販売される2ナンバーミニバスのコミューターである。

南アフリカで発見され、いまや感染の主流 となってしまったオミクロン株。その新型コロナの感染対策として運転席は防護シート(壁?)を備えている
客席側から運転席を見る。防護シートやコロナ対策の注意事項の表示など、世界的な緊急事態であることを感じざるを得ない。同時に消火器やハンマーが装着されている点にも目がいってしまう

 搭載されるエンジンは、ハイエースの日本仕様で2007年まで搭載され、日本仕様のハイエースでは廃止になった5速MTのみと組み合わされる2KD型2.5Lディーゼルターボ(102ps&26.5kgm、現在日本仕様のディーゼルは設計の新しい2.8Lを搭載)で、価格は62万9500ランド(日本円で約457万9000円)だ。

 SES’SFIKLEは日本仕様のコミューターと同じボディを使い、シート配列を2-4-3-3-4の5列16人乗りとしたモデルだ。エンジンはそれぞれ5速MTのみと組み合わされる前述の2.5Lディーゼルターボと、現在の日本仕様にもある2.7Lガソリン(151ps&26.5kgm)を搭載する。

トヨタの商用車やSUVに搭載される2.7L 2TR-FE。タフでトルクフルなエンジンは大人数乗車でもものともせず世界の道を駆け抜ける!

 珍しい装備としては車内の通路が狭いためもあるのか、イザという時用にルーフに付く非常口を持ち、意外にもエアコンは装備されないというスパルタンなモデルだ。

ハイルーフ車にオシャレなサンルーフ??じつは非常口なのだ。スペースぎりぎりにシートが配置されているため、ルーフに脱出口がある。表示は英語/オランダ語の併記となっている

 価格は2.7Lガソリンが47万8500ランド(約348万1000円)、2.5Lディーゼルターボが50万8300ランド(約369万1000円)と、標準モデルに対してエアコンは装備されないが、2人多く乗れる点を考えれば安いとも言える。

今回の改良は安全デバイスの強化を実施。世界でより安全・安心なクルマを提供する

 SES’SFIKLEの改良内容は今までABSだけだったアクティブセーフティ(事故を起こさないための能動的安全性)に関する装備に「ブレーキアシスト」、「トラクションコントロール」、急ブレーキを後続車に知らせる「エマージェンシーブレーキランプ」、坂道発進の際にブレーキを残して後退しないようにする「ヒルアシストコントロール」が加わったことだ。

南アフリカ仕様はアナログのスピードメーターのみとシンプル。エアコン、ラジオ、パワーウィンドウもない。それでも今回の改良によりトランクションコントロール他安全デバイスが強化された
日本仕様を同じ角度から見てみる(バンスーパーGL)。ステアリングにはスイッチ類、衝突安全デバイス表示の都合でオプティトロンメーター、ナビ、オートエアコン等々装備てんこ盛りだ

 こういった装備は日本では10数年前から当たり前で、「商用バンを含めた日本仕様のハイエースに付くVSC(横滑り防止装置)や自動ブレーキは付いていないのか」とも感じてしまう。しかし、これは地球上にはクルマにかぎらず先進機能が法規などもあって求められない地域というのも少なくないという象徴でもあり、こういった国にもシッカリ対応しているのはハイエースらしいところだ。

 SES’SFIKLEの存在を知ったついでに、何カ国かの200系ハイエースをネットサーフィンしてみると、アフリカ圏やアジア圏では日本の4ナンバー商用バンのボディ(つまり乗用車なら5ナンバーサイズ)に3人がけ×5列で15人を乗せるという仕様もあった。

ハイエースSES’SFIKLEのリアスタイル。SUVらしく?カラフルなステッカーがポップさを与えている。日本でも南国をテーマとしたリゾート施設で送迎に使われればウケるかもしれない?
日本仕様のコミューター(GL)。基本は全く同一である事が分かる。ただ面イチとなったプライバシーガラスや一切の加飾がない無機質さにビジネスライクな冷たさを感じてしまう
300系コミューター。300系ロングのボディサイズは5915㎜×1950㎜×2280㎜とドでかい。この巨体を動かすためエンジンも大型化し、ディーゼルは1GD(3.0L)、ガソリンは7GR(3.5L)となる

 こういったことを見ていると、ハイエースは巨大な300系が登場しても、日本を含めて全長に対する空間などのメリットが大きい200系もいまだ重要な存在であり、200系ハイエースの現役時代はまだまだ続きそうだ。

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