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300万ユーロ(4億円弱)のフェラーリ エンツォがクラッシュ。高価な事故。オランダで、わずか400台しか製造されなかったフェラーリ「エンツォ」の1台が壊された。660馬力のフェラーリにメカニックが乗っていた可能性も!

この事故は、フェラーリファンならずとも涙を誘うものだ。
オランダのバーンという自治体で、わずか400台しか製造されなかった「フェラーリ エンツォ」が大クラッシュした。
特に苦いのは、660馬力の「フェラーリ エンツォ」のハンドルをメカニックが握っていたかもしれないことだ!?

事故は2022年1月18日(火)の朝、アムステルダム近郊のバールンで起こった。
目撃者によれば、運転手は濡れた道路で、現在約300万ユーロ(4億円弱)の価値がある「エンツォ」のコントロールを失い、助手席側が木に激突した。
「Jeffrey de Ruiter(@jeffrey_de_ruiter_photography)」のInstagramアカウントにある高解像度の詳細写真が証明しているように、その被害は残酷なものだ。
助手席側では、両輪がちぎれ、ヘッドライトが欠け、エンツォのカーボン製ボディが大きく破損している。
また、エアバッグが作動し、展開したことも確認できる。
シートは汚れから守るため、ワークショップ(修理工場)のカバーで覆われていた。

また、事故直後に撮影されたと思われるSNS上の短い動画では、「フェラーリ エンツォ」が緑色のナンバープレートで走行していたことが確認できる。
オランダでは、ドイツの赤色プレートに匹敵する「ディーラープレート」だ。
この事実は、事故当時、660馬力のエンツォのステアリングを握っていたのは、オーナーではなく、メカニックだった可能性があるという、まだ確定していない説を支持することになる。

当初349台しか計画されていなかったフェラーリ エンツォ

「フェラーリ エンツォ」は、「ラ フェラーリ」の前身で、2002年から2004年にかけて製造されたモデルだ。
F1の特徴である角張ったノーズに加え、最高出力660馬力、最大トルク657Nmの6リッター自然吸気V12エンジンを搭載したことが、エンツォの大きな特徴である。
わずか1,365kgの軽い車重により、「エンツォ」は、0から100km/hまで3.9秒で加速し、最高速度は355km/hだ。
当初は349台が生産される予定だったが、需要の高さから、フェラーリはさらに50台のエンツォを生産することを決定した。
そして、2005年、フェラーリは400台目の「エンツォ」を製造することを発表した。
このエンツォはローマ法王ヨハネ・パウロ2世に献上され、同年にオークションにかけられた。
その収益金、105万5千ユーロ(約1億4千万円)は、2004年にインド洋沿岸で発生した津波災害の被災者に寄付された。

クラッシュした「エンツォ」が個人の所有車だったのか、ディーラーの販売用の車だったのかは、現時点では不明だ。
確かなのは、このスーパースポーツカーが再び世に出るのは、しばらく先のことだということだ。
しかし、世界で400台しか製造されていないこと(そのうちのいくつかはすでに近年クラッシュしている)、現在の市場価格が約300万ユーロ(4億円弱)であることを考えると、専門家によるリビルドは、絶対に価値があるはずだ。

Text: Jan Götze
Photo: Instagram/jeffrey_de_ruiter_photography