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 中国の商用車両メーカー、Yutong Bus Co., Ltd.は2021年に売上高0.17%増という自社目標を達成したようだ。同社は昨年、前年比0.2%の小幅増の4万2065台のバスを製造したが、バス販売台数は4万1828台と前年比0.17%を記録し、2021年の純利益は787万ドルから2361万ドルに増加すると予測されている。

 日本には導入実績はなさそうだが、中国製バスはEV車を中心に徐々に日本市場に入りつつある。詳細を見てみよう。

文:古川智規(バスマガジン編集部)


アジア市場向けのバス

 Yutongの海外市場開拓では、これまでに8万台以上を輸出し、欧州、米州、アジア太平洋、CIS(独立国家共同体)、中東、アフリカをカバーするグローバルな販売・サービスネットワークを構築してきた。同社のバスは世界に向けて各種仕様があるようだが、本稿ではアジア市場向けの代表的な車両を紹介する。

Yutongの路線バス

 ZK6128Hは12mコーチで、6速マニュアルのエアサス車だ。定員は正座席53名。最高速度は100km/h。

ZK6128H

 ZK6118BEVGは路線バス用のEV車だ。全長は11.2mでバッテリー容量は350.07kWh。路線車なので正座席は31。

ZK6118BEVG

 ZK6852HGは日本でいうと中型車より少し小さく小型車より大きいという、大規模コミュニティバス相当の車両だ。全長は8.5メートル。5速マニュアルで最高速度は85km/h。設定は左ハンドルのみなので日本での導入は難しそうだが、日本でポンチョ以上、エルガミオ以下の車両需要があればというところか。

ZK6852HG

ダブルデッカーという選択は?

 ZK6116HGSは路線バス用の6速ATダブルデッカー車だ。全長は11.3m、全幅2.55m、全高は4.2mなので、このままでは日本では導入できそうにない。しかしダブルデッカー路線バスは乗降に時間がかかるので運行時間が延びるが、座席定員を含めた乗車定員は大幅に増加するため速達性を捨ててでも1台での輸送力を確保できるメリットがある。

ZK6116HGS

 最近の日本では連節車が運転士不足と輸送力確保の切り札になりそうな雰囲気だが、輸入車の信頼性と日本の基準に合致する車両があればダブルデッカー路線バスの導入を検討するのも方法のひとつだろう。

日本市場の壁は高いものの…

 バスは安いからという理由だけで導入することは難しい。自家用車のように1台というわけにはいかず、大量導入する必要があり仮に輸入車を導入した場合のメインテナンスや部品供給体制、エンジン・シャシーや電装系の信頼性も重要だ。そうした懸念材料を払しょくできて初めて路線バスに投入できる。

ZK6116HGSの2階席

 その意味では日本で導入が進む連節車のメルセデスベンツ・シターロGやダブルデッカー車でスカニア・ボルグレンのInterCityDD、観光車や高速車としてのヒュンダイ・ユニバースなどは日本の事業者や供給元が連携して日本仕様(一部は基準を超えるため特認扱いで導入)の供給に成功した事例だ。

 海外勢の日本市場攻勢が強まると日本のメーカーも奮起して新型車を誕生させるので、競争の原理が働き良い車両が市場に出る。結果的には乗客にも利益がもたらされるので、バスファン的な要素が含まれているのは承知の上だが、海外勢も日本勢も頑張ってほしいものである。

投稿 中国のバスメーカーが好調!!  日本市場導入の可能性は?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。