ロシアによるウクライナ侵略が、日本人に久々に核兵器の使用の現実味を思い起こさせる事態に直面しつつある。27日には朝から深夜までロシアによる核使用や日本としてどう対処するかを意識させる報道が相次ぎ、重苦しい日曜の1日となった。
朝から「核」が話題
この日の早朝、NHKの日曜討論でロシア研究の第一人者、小泉悠氏(東大先端研専任講師)が、欧米などのウクライナへの介入に対し、核兵器の使用を脅しの材料として使う可能性を指摘。NHKの看板番組で公然と提起されたことでネットは朝から騒然となった。
さらに民放でも裏番組のフジテレビ系「日曜討論」で、ゲストの安倍元首相が核兵器をアメリカと共有する「核シェアリング」について「議論をタブー視してはいけない」と述べ、ネットニュースでは賛否を呼んでいた。
そして極め付けは深夜のニュースだった。ロシアのプーチン大統領が27日午後(日本時間同日深夜)、欧米による経済制裁などに対抗し、核抑止部隊に対し、高度の警戒体勢に入るように命令。22時台にロイター通信がこの動きを速報すると、深夜の眠りにつき始めた日本のネット民に再び大きな衝撃を与えた。
ロイター通信の日本語版ツイッターには、
(プーチンが)とうとう血迷って来ています
これもまだ駆け引きのうちだといいが狂気の沙汰じゃない。
第二のヒトラーの誕生だな。気が狂った
などのリプライが続々と書き込まれた。
自民党の細野豪志衆院議員は、ロイター記事を引用しながら「核兵器を持つ大国が侵略と恫喝を行った時、世界は止めることができるのか。おそらく我々は歴史的に見て死活的に重要な局面を迎えている」と深刻に受け止めていた。
核兵器を持つ大国が侵略と恫喝を行った時、世界は止めることができるのか。おそらく我々は歴史的に見て死活的に重要な局面を迎えている。 https://t.co/GvzH5kru03
— 細野豪志 (@hosono_54) February 27, 2022
ネット民不満「なぜ特番やらないのか」
他方、「これだけ重要な局面で日本の地上波テレビでウクライナ危機をやってるところがない」(細野氏ツイート)のも実情で、プーチン氏の核抑止命令があった直後、災害などで特別報道番組を機動的に行うNHKですら平常通りの放映を続けていた。
NHKは、国民保護法により、武力攻撃や大規模テロなどの有事の際は政府の発令する警報などを放送することが義務付けられている。今回は同法の対象になるような、国内有事ではないが、ウクライナ危機に日本の主要テレビ局が特番が少ないことへの不満は多い。一般のネット民も
この状態って緊急報道特番とかするレベルじゃないのか?民放はアレだから仕方ないとしてNHKですら海外ドラマですか…
フォークランド紛争のときや、湾岸戦争のときは、民放テレビ局各局ゴールデンタイムに特番を組んでいた記憶があるのだけど、いまは吉本のお笑い芸人のバラエティ番組
テレ東が平常運転なのは良いとして、他の地上波もNHKでさえもウクライナ特番を流し続けない、って言うテレビ局の体制も異常だよな。
などの意見が続出。かつては「テレ東伝説」と言われるほど、湾岸戦争や米同時テロなどの歴史的有事で他局が特番を流す中でも、平常運転を続けたことがネットの話題になってきたが、この日のウクライナ情勢の核使用に関する動きについては、全局が“テレ東モード”だったようだ。