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霧の中に、ベオグラードの朝は沈んでいる。乳白色の窓に、遠い冬の記憶がよみがえる……。地下道を通りぬけてゼレニ・ベーナッツ市場の前に出ると、千夜一夜物語のような屋根が波打ち、冷気のなかに野菜や果物が香り、花屋にバラが並び、歩道はバスを待つ人で混雑していた。路上に車が停(と)められ、…