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 非常に高い完成度で評価がうなぎ登りの三菱アウトランダーPHEV。EVとしての航続距離が従来型よりも伸びたことにより、ツーリング性能も大きく進化していることも特筆事項だ。

 正確無比な操舵レスポンス、路面をグッと掴む足回りなど走行性能がグッと引き上げられた印象も受ける。そんな期待大の新型アウトランダーでロングドライブをする機会を得た。

 EVとハイブリッド車のいいとこどりのPHEVの魅力、そして性能を存分に味わってきました!!

文:鈴木直也/写真:池之平昌信【PR】

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■一般道でもキラリと光るバッテリー容量アップの余裕

サーキットでの試乗で高評価だったアウトランダーPHEV。でも真価はやっぱり公道じゃないとね!!

 昨年秋、袖ヶ浦フォレストでアウトランダーPHEVに初試乗して以来、楽しみにしていたのが一般公道上での走りだ。

 サーキットでは日産と共同開発になる新型プラットフォームがなかなか好感触で、正確でスムーズな操舵レスポンスや、しぶとく路面をとらえるサスペンションの動きなど、シャシーの進化が歴然。三菱ご自慢のS-AWCの制御とあわせて、限界域まできわめて高いスタビリティを維持するハンドリングに感心した。

 「コイツは大したもんだ!」と思って下回りを覗き込んでみれば、アームやナックルにアルミ材がふんだんに採用されていて、欧州プレミアムもびっくりの贅沢レイアウト。この気合の入った足回りが一般公道での乗り心地やドライバビリティをどういう風に演出しているのか。そのへんを早く試したかったというわけだ。

 諸般の事情で公道試乗の機会は年明けまでズレ込んじゃったのだが、待った甲斐はありました。音羽の編集部を起点に女神湖まで往復したロングツーリングの模様を報告しよう。

「この開放感もたまんないんだよね……」と鈴木氏

 さて、まず足回りやハンドリングをウンヌンする以前の、アウトランダーPHEV本来の実用性についてだが、注目すべきはバッテリー容量(=EV航続距離)が大幅アップしていること。搭載バッテリー容量20kWhは旧型の45%増しで、EV航続距離は87km(WLTC)に到達している。

 この20kWhという数字、バッテリーEVだと「ぜんぜん足りない!」になるのだが、人間の心理とは不思議なもので、電欠の恐れがないPHEVだと「実用上十分じゃね?」となる。

 経験者はご存知だと思うが、バッテリーEVで電池残量が少なくなると「早く充電スポットを探さなきゃ」と焦りがつのってくる。いっぽう、PHEVは「とりあえずEVモードで行けるとこまで行こう」とお気楽なもの。いつでもエンジン走行に切り替えられるから、ストレスなくバッテリーを使い切れるのだ。

■パワーユニットに加えMI-PILOTがドライバーの負荷を軽くする

冬の夕暮れに中央高速を走る。まさにグランドツーリングに映える!!!

 じっさい、音羽の編集部から中央高速談合坂SAあたりまではEVモードで余裕で到達可能というくらいアウトランダーPHEVのEV航続距離は伸びている。今回は急ぎ旅だったから、バッテリーを使い切った後はハイブリッド走行で目的地を目指したけれど、SAごとに30分急速充電しつつノンビリ行くのもお好み次第というわけだ。

 最近のバッテリーEVは100kWh近い大容量電池を搭載するクルマもあるが、そういうケースでは高出力充電器のインフラが整備されないと宝の持ち腐れだが、バッテリー容量20kWhならCHAdeMOの低出力充電器(MAX40kW)でも30分で8割程度はチャージ可能。

 バッテリーEVでカタログ航続距離を達成するには綿密な充電計画が必須だが、同じEV走行でもPHEVは「どこか次の充電スポットがあったら」とアバウトでOK。この「気ままに何処へでも」というのがクルマ本来の魅力だし、それを走行時CO2排出ゼロと両立できるのがPHEVの魅力だ。

 それにしても、EV走行中のアウトランダーPHEVの静粛なクルージングは、プレミアムSUVそのもの。エンジンノイズが無くなるぶん、電動車両はタイヤからのロードノイズや風切り音が目立つものだが、この辺りのノイズコントロールはお見事。静粛性に関しては旧型アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVもなかなかの優等生だったが、新型アウトランダーPHEVは明らかにその上を行っている。

 このモデルから、アウトランダーPHEVのADAS(先進運転支援システム)は日産と共通化。プロパイロットの三菱版であるマイパイロット(MI-PILOT)が装備されている。そこで、高速道路ではボタンひとつで設定できるレーンキープアシスト付きのACCに任せて、楽ちんクルージングに徹してみた。

 エンジンが回り出してハイブリッド走行に切り替わっても、そもそもクルージング状態ならそのノイズはほとんど気づかない程度。これが、アクセル操作が機械任せのACCだと、ますますエンジンの存在感が希薄で、正直いつエンジンがON/OFFしているのかほとんど判別不能。

 遅いトラックを追い越す時など、ドライバー自身がアクセルを深く踏み込んでエンジン回転が上昇した時だけは、ウァーンという内燃機関特有の唸りを発して「あ、エンジンが回ってる」と実感するのだが、それ以外ではもっともエンジンの存在を意識させないクルマ。そういっても過言ではない。

■一般道では2tの重量級SUVながら軽快さを見せつける

路面状況は決してよくはないがしっかりと路面をいなす。AWCと相まって季節を選ばず快適に、そして安心感タップリのツーリングができる

 諏訪南ICから女神湖までは、アップダウンの続く信州の峠道。路面は決してスムーズとはいえないが、アウトランダーPHEVはの走りは快調だ。

 乗り心地に関しては、サーキットでの第一印象より硬めと感じたが、路面の細かい凹凸をまず期待どおりに吸収してスムーズに走る。

 欲を言えば、車重2トンに達する重量級ボディのわりに、ザラザラ路面のノイズを伝えがちなのが惜しいが、そのぶんハンドリングは車重を意識させない軽快なもの。一般道をちょっと飛ばした程度でも低重心がもたらす安定したコーナリングフォームとS‐AWCによる安定した4輪トラクション制御がイイ仕事をしているのを感じ取ることができる。

 狙ったラインを正確にトレースしやすい軽やかなハンドリングと、モーター駆動ならではのトルクフルな走りがあいまって、ワインディングでは水を得た魚。ついついペースが上がって気がついたらはや目的に到着というファンな走りを楽しむことができた。

 結論として、アウトランダーPHEVはサーキットでの第一印象そのまま、プレミアムSUVならではの「イイもの感」にあふれた魅力的なクルマに仕上がっているといっていい。

 カーボンニュートラル への対応という意味でも、実用性とCO2削減の両立においてPHEVは現時点でのベストソリューション。その日本代表選手が、この新型アウトランダーPHEVと言ってイイんじゃないかな。

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