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活気づくミニバン市場!! ノア/ヴォク・ステップワゴンのディーラー最新情報!!

 

 2022年1月7日に新型ホンダステップワゴンが発表され、2022年1月にトヨタからノア/ヴォクシーが発売されたことで、ワンボックスミニバン市場が活気づいている。セレナも2021年11月に特別仕様車を発売するなどテコ入れを行った。

 そこで気になるのは、ノア/ヴォクシー、そして春に発売となるステップワゴンの納期だ。その最新情報をディーラーで調査した。

文/小林敦志、写真/ベストカー編集部

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■登場そうそう納期に悩まされるノア/ヴォクシー

2022年1月登場のトヨタ新型ノア/ヴォクシー。ノア&ヴォクシーいずれも6カ月は待たなければならないようだ(写真はノア)

 2022年1月13日に正式発売された、新型トヨタ ノア&ヴォクシーだが、発売早々納期遅延に販売現場は悩まされている。

 トヨタのウエブサイトにある、2月25日時点での工場出荷目途時期をベースに納期目安を換算(工場出荷目途時期に1カ月を加算)すると、ノアはガソリン車が4カ月、ハイブリッドは7カ月程度。ヴォクシーはガソリン車が5カ月、ハイブリッド車は7カ月程度となっている。

 発売開始からしばらくして販売現場で話を聞くと、「お客様へ具体的な納期目途をお伝えすることができないほど混乱しております。私どもではノア、ヴォクシーいずれも6カ月はお待ちいただくことになりますとご案内しております」とセールスマンAは説明してくれた。

 1月26日段階での、トヨタのウエブサイト上にある工場出荷目途時期では、ノアもヴォクシーも同じとなっていたが、2月4日現在ではノアのほうが若干納期は早めとなっていた。ただ、2月25日時点では再びノア&ヴォクシーともにほとんど同じに戻っている。しかし、結果的に納期遅延は深刻なものとなっている。

 前出のセールスマンAは「私どもの店舗ではヴォクシーのほうが人気はありますので、ヴォクシーのほうが納期はかかるようです」と語ってくれた。

 しかし、別のトヨタ系ディーラーのセールスマンBは、「ノアのほうが若干ですが人気があるようです」とのことなので、店舗周辺の環境(ニュータウンといった比較的居住年齢層の若い地域か否かなど)によって、どちらに人気があるかはわかれているようである。

■選択したオプションによっても納期が変わる

スマホを使ったリモート操作で降車後に駐車できるなどの機能を備えたアドバンストパーク。使用するICチップの関係で納期が伸びるという

 ただ複数のトヨタ系ディーラーで話を聞くと、“37J”というコードナンバーのメーカーオプションを選択すると、納期は一気に遅延するということは共通して聞くことができた。この37Jのオプションに含まれるアドバンストパークが納期を引き延ばしてしまうようである。

 「安全運転支援デバイス関係のICチップがアドバンストパークを選ぶと別のものになるようなのですが、このチップの供給遅延が目立っているようです」とは事情通。

 セールスマンAは、「37Jを選択した場合の予定納期が2022年10月以降(話を聞いた時点)まで遅延しております。このままいけば、早晩新型ノア&ヴォクシーの納期が年を越し(つまり2023年になるということ)になるのを覚悟しなければなりません」とも語ってくれた。

 すでに一部ディーラーではウエブサイト上に、37Jを選ぶと納期がかなり遅れることが掲載されていた。

 セールスマンAはさらに、

 「オプションに注意してください。例えばヴォクシーでは、表紙に掲載されている外観写真を見て、『これいいなあ』と思っても、その写真で装着されているプロジェクターLEDヘッドランプや、バンパー下部のランプなどはメーカーオプションとなります。しかも、最上級のS-Zのみしか選択できません」

 と説明してくれた。

■押し出しの強いヴォクシーは好みが分かれる

ノアとはフェイスデザインを大きく変えたヴォクシー。強烈な顔立ちは好き嫌いがハッキリと分かれるところだ

 かなり押し出しの強いヴォクシーの顔つきであるが、標準装備のヘッドランプではオプションのヘッドランプに比べると、かなりおとなしくなってしまうので、是非装着したいオプションであるが、上級グレードしか選べないので、新型ヴォクシーは事実上のモノ(単一)グレードではないかともいわれている。

 オプション設定されていないS-Gグレードをベースに、このオプションとなるヘッドランプを特別装備した特別仕様車が将来的に用意されるのかもしれない。

 しかし、押し出しイメージが強すぎるヴォクシーは、アルファードとヴェルファイアのようないまの現状(ヴェルファイアはアルファードと比較してほとんど売れていない)になっていくのではないかとし、「将来的にノア一本化へ進む動きの一歩ではないか」との声もある。

 セールスマンBの店舗ではノアの方が売れ行きが良いようだが、その理由として「ノアは標準仕様もありますので、ヴォクシーに比べると選択肢が多いこともあるようです」と説明したあと興味深い話をはじめた。

 「ヴォクシーの顔つきが少々行き過ぎに感じるお客様も目立ちますね。旦那様がお気に入りでも奥様が拒否反応を示すといったケースもありました」とのことである。

■ボクシースタイルで原点回帰を目指したステップワゴン

2022年1月に発表されたホンダ新型ステップワゴン。シンプルなスタイルは長く乗っていても飽きがこない

 ノア&ヴォクシーのライバルである、ホンダ ステップワゴンは2022年1月7日に新型のジャパンプレミアを行った。標準仕様ともいえるAIRと、エアロ系となるスパーダが用意されているが、ノア&ヴォクシーとの真っ向勝負を避けるかのようなシンプルなボクシースタイルを両タイプで採用している。

 ホンダディーラーで、「メーカーからは原点回帰といった話も聞いております」と聞くと、確かに初代のシンプルなボクシースタイルを継承しているような印象を受ける。セールスマンはさらに「長く乗っていても飽きのこないデザインとなっております」とも説明してくれた。

 新型ステップワゴンの発売は、メーカーウエブサイトなどでは2022年春となっているが、すでにスケジュールが延びる可能性が出てきているようで、話を聞いたセールスマンは2022年5月ごろになるのではないかと話してくれた。

 気になる納期は「ざっくり6カ月は最低待ってもらうことになりそうだ」とのこと。新型ステップワゴンの予約受注は2月上旬から始まっているので、早めに予約して納車が比較的早めであっても、予約から4~5カ月は待つことになりそうである。

■短納期というアドバンテージを持つセレナ

2022年内のモデルチェンジが噂される日産 セレナ。日産は納期遅延の影響をさほど受けていないので納車待ちが短いのが強み

 ノア&ヴォクシー、そしてステップワゴンのライバルとなるのが日産セレナ。セレナは2022年内といわれているが、モデルチェンジが比較的近い末期モデルとなっている。

 日産はそもそも他メーカーのように極端な納期遅延となっているモデルもあまりなく、人気車でも売れ筋を外さなければ、納車待ちにストレスを感じることは少ないといっていい状況となっている。

 セレナは2月上旬現在で仮に契約し、発注車両が受注生産車となり、受注してから工場での生産開始となっても、売れ筋仕様ならば3月中には工場出荷されるというので、現状では驚くほど納期は短くなっている。

 ハイウェイスターのパールホワイトといった、“超売れ筋”ではディーラー在庫や見込み発注車があるようで、さらに納期は短縮されるようである。

 納期の短さと、末期モデルでもあるので値引きの拡大も期待できるので、“漁夫の利”というのが正しい表現なのかは微妙だが、ノア&ヴォクシーとステップワゴンが新型で注目されるなか、セレナの販売が今後好調に推移していく可能性が十分高い。

 そのセレナだが、2021年11月に“XVエアロ”という特別仕様車を発売している。標準仕様のXVをベースに専用フロントバンパーやリアエアロバンパー、LEDリアコンビネーションランプを採用し、“標準車以上、ハイウェイスター以下”というキャラクターがウリとなっている。

 「ハイウェイスターの顔つきはギラギラ感が目立つが、標準仕様の顔はおとなしすぎるといった話が販売現場で目立ったようです」とは事情通。

 コンセプトが近く、いまどきではめずらし“ガチンコ”状態でライバルとなり販売競争を展開してきた、ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナ。

 いわゆる“エアロシリーズ”をそれぞれ拡充して、それが販売のメインになってきたのだが、最近のギラギラ感の演出アップについていけないユーザーが目立ってきたことが、新型ステップワゴンやセレナのXVエアロの存在から受け取ることができる。

 前述したように販売現場ではすでに新型ヴォクシーの顔つきを行き過ぎと感じ、ノアを選ぶお客さんが目立ってきている。

■ミニバンは『顔』で選ぶ時代

思い切ったフェイスデザインのトヨタ ヴォクシー。この顔は吉と出るのか

 自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計で、2021暦年締め年間販売台数をみると、ノア&ヴォクシーは11万4296台なのに対し、セレナは5万8954台、ステップワゴン3万9247台となる。

 ノア&ヴォクシーとセレナ、ステップワゴンではダブルスコア並みもしくはそれ以上の差がついており、このクラスの販売規模はトヨタが圧倒的に多い。

 ただ販売規模が大きいだけに、比較的おとなしめなノアとギラギラ感を追求するヴォクシーの2台を用意しないと、ユーザーをライバル車へ逃がしてしまう“隙”ができてしまうのである。

 アルファードしかり、トヨタは“ギラギラ”や、やや表現はよくないかもしれないが“オラオラ系”といった押し出しの強い顔つきについて、行き過ぎない程度に抑制してまとめるというのが得意であるのは確か。

 この手の顔つきは行き過ぎれば拒否反応を示されてしまう。中国メーカーがアルファード系に影響され、アルファード系を上回るギラギラフェイスを採用したミニバンを多くラインナップしているが、日本人から見れば行き過ぎイメージが優先してしまうものとなっている。

 今回新型ヴォクシーの顔つきについては、業界内からも「トヨタにしてはかなり踏み込んだ」ともいわれるアグレッシブな顔つきを採用している。

 アルファードという日本車では唯一無二の存在があり、トヨタの販売力、そしてノアとの2枚看板で売っていくので、極端なヴォクシーの販売不振は意図的にノアへ販売シフトしない限りはまずないだろう。

 ちなみに、今回ノアとヴォクシーがモデルチェンジし、先代比で価格アップになった。残価設定ローンを組むと、値引きや残価率の差により、月々の支払額ではアルファードとほぼ同額になるケースもあり、納期遅延を嫌い新型ノア&ヴォクシーを希望していたお客さんがアルファードに流れているケースも目立っていたのだが…。

 「法規対応のための一部改良でアルファード系はオーダーストップとなりました。そのため、法規対応後のモデルは9月以降の納車予定となったので、納期が短いというメリットは薄れてしまいました」とは事情通。

 ステップワゴンの新型がシンプルなボックス型デザインを採用し、セレナがハイウェイスターよりギラギラ感を抑えた特別仕様車を投入する動きは、エアロ系もしくはギラギラ系ともいえるミニバン販売によるトヨタの独走に追いつけないがゆえの“隙間商品”的存在のモデルへの販売強化へ動いたのだろうか。

 それともユーザーの行き過ぎたギラギラフェイスへのアレルギー反応が目立ってきているのか、あるいはこのクラスがギラギラ一辺倒ではなくなってきていることを物語っているのか、それは新型ステップワゴンやセレナの特別仕様車の今後の販売動向を見れば明らかになっていくことになるだろう。

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