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オンライン中古車マーケットプレイスのCarvana(カーバナ)は、Kar Global(カーグローバル)の米国オークション子会社Adesa(アデサ)を現金22億ドル(約2530億円)で買収することで合意した。買収は、新たな収益源の獲得と、事業強化に役立つ実店舗のネットワーク拡大を目的としている。

第4四半期の決算報告とともに発表されたこの買収は、純粋なオンラインビジネスから、より伝統的な実店舗を持つ自動車ディーラーへの移行を意味する。

現在、Carvanaの顧客は、同社のモバイルまたはウェブアプリでクルマの検討、購入、借入を行うことができる。購入したクルマは、30台ある立体自動販売機で受け取るか、顧客の自宅まで直接配送される。また、同社は15カ所の検査・整備センターを運営し、販売前にクルマの査定と整備を行っている。顧客は所有するクルマを同社に売ることもできる。

米Adesaがもたらす追加の売り上げと物理的な拠点は、Carvanaにとって無視できないほど魅力的で大きな機会のようだ。また、絶好のタイミングでもある。

Carvanaは第4四半期に11万3016台を販売した。売上高は37億5000万ドル(約4313億円)で、前年同期比57%の増加となった。だがその成長率は、2021年末に向かうにつれ成長が先細りとなった事実を覆い隠している。第3四半期の小売販売台数は11万1949台、売上高は35億ドル(約4025億円)だった。

同社はまだGAAPベースで黒字に到達していない。第4四半期の損失は1億8200万ドル(209億円)となり、前年同期の1億5400万ドル(約177億円)から拡大した。しかし、通年では赤字幅はかなり縮小した。2021年の純損失は2億8700万ドル(約330億円)で、前年の4億6200万ドル(531億円)から改善した。

Adesaは56カ所に実店舗を持つ。Carvanaはオンライン販売する車両の検査や整備にAdesaの実店舗を利用できるようになる。Carvanaは、米国Adesaのオークションを引き続き運営すると同時に、Carvanaの標準的な小売検査、整備、物流機能を備えた施設を開発すると、同社は株主宛ての書簡で述べている。

Carvanaによると、米国Adesaの整備事業がCarvanaの生産能力を年間200万台から300万台以上へと押し上げる。

56カ所のネットワークとCarvanaの既存インフラにより、米国人口の78%が検査・整備センターから100マイル(約161キロメートル)圏内に入ることになる。

Carvanaはまた、オークション機能を強化し「自動車業界の多くの大規模かつ重要なプレイヤーとの関係を開始または深化させる」機会を見据えていると株主宛ての書簡で述べた。

さらに、パンデミックによって高騰した中古車販売が下火になった同社にとって、潜在的な収益も重要な要素である。米国Adesaの事業では、同社のサイトを通じて100万件以上の取引を仲介し、2021年に8億ドル(約920億円)以上の売り上げをもたらした。

もちろん、この潜在的な見返りには、Carvanaの運営費用が利益以上に膨らむリスクもある。

Carvanaは、JPMorgan Chase Bank N.A.とCitiから受けた32億7500万ドル(約3766億円)の融資の一部を、今回の買収資金に充当する。残りの10億ドル(約1150億円)は、コミットメント型デットファイナンスを通じて、米国Adesaの56拠点全体の改善に使う。

Adesaの米国におけるオークション卸売事業は、既存のブランド名で運営を継続する。本取引の完了後、米国AdesaのJohn Hammer(ジョン・ハマー)社長とその他の上級幹部は、Carvanaに移籍する。

画像クレジット:Carvana

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(文・Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi