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田辺聖子さんが亡くなられて2年半、彼女の作品は今もよく読む。その中で別格なのが『夕ごはんたべた?』である。大阪弁の軽妙な語り口は他の田辺作品と共通する特色だが、この小説にはとりたてて物語がない。主人公、尼崎の開業医、吉水三太郎氏の、一見なんでもない毎日が語られているだけなのだ。三…