新型コロナウイルス感染拡大によって、公共交通機関での移動を避けるため、クルマの需要が高まっている。新車は半導体不足などの影響もあり、2021年の登録車(小型車+普通車)と軽自動車の販売台数は、2020年比96.7%となった。
しかし、中古車はすでに完成しているクルマなので、半導体不足の影響はほとんどなく、中古乗用車(普通+小型車)は約97.1%、軽自動車は約98.8%とほぼ横這いで推移している。
また、就職や転勤などライフスタイルの変わる4月を控えて、3月は一年を通じて最も中古車の販売台数が多くなるタイミングだ。
そこで、ココでは中古車を初めて購入するという人に向けて、抑えておきたいポイントを紹介する。
文/萩原文博
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中古車&中古車市場の基本的な事項を確認しよう!
まず、第1のポイントは、新車は生産された工場から輸送され、新車ディーラーで受け取るためコンディションは一定である。しかし、中古車はたとえ同じ年式、車種であっても、前オーナーの使い方やメンテナンスの頻度によってクルマのコンディションは変わるものということだ。
したがって、新車は車両本体価格という定価がある。対して中古車は全く同じコンディションのクルマは世のなかに1台もないという観点から定価がなく相場というものが形成されるのだ。
しかも、中古車の価格は需要と供給のバランスによって上下するのが特長だ。例えば、人気の高いミニバンであるアルファードは、多くの人が欲しい! と思っているため、中古車相場は高くなる。いっぽう、同じカテゴリーのエルグランドの新車時価格はアルファードとそれほど変わらないものの、中古車相場は安くなる。
それは中古車では“人気”という要素が価格に大きな影響を与えるからだ。新車の場合、人気だから納車までの期間が長くなったり、値引きが少なかったりということはあるが、車両本体価格が上がるということはない。
しかも、中古車の場合は“人気”によって相場が変わる。この人気の影響は車種だけではなく、ボディカラー、装備、そして購入する時期にも影響がある。したがって、多くの人が中古車を購入する3月は販売店側もやや強気な価格設定をすることもある。
また、中古車相場は自身のフルモデルチェンジやライバル車のモデルチェンジなどでも変動する。例えば、コンパクトSUVのなかでも人気のホンダヴェゼル。2021年にフルモデルチェンジを行い、世代交代を行っている。旧型となった初代ヴェゼルは中古車の流通台数が豊富で、絶好の買い時を迎えていた。
しかし年明けから中古車の流通台数が、ピーク時の約4600台から現在は約4000台に減少。その動きに平均価格は約180万円から現在は約183万円まで値上がりしているのだ。
このように、中古車の価格は時間の経過とともに下がっていくものだが、時には値上がりすることがあることは覚えておきたい。
成功するポイントは「中古車選びは販売店選び」
第2のポイントは、「中古車選びは販売店選び」ということ。中古車といっても数十万円~数百万円、なかには数千万円という高い買い物。それほど高い買い物をするのに、何も知識を持たずに買う人はいないはず。
したがって、中古車は信頼できる販売店で購入することが大切となる。最も信頼できるのはメーカー系の中古車販売店だが、価格が高いと言われることが多い。しかし、しっかりと中古車のコンディションがチェックされ、さらに保証まで付いていることを考えると決して高くない。
初めて、中古車を購入するというのであれば、メーカー系販売店で購入することをオススメしたい。ディーラー系販売店以外で、信頼できる販売店の条件は、同じ土地で長く営業しているかどうかということが挙げられる。店舗の規模が小さくても、長く営業しているということは、それだけリピーターが多いということ。もしトラブルが多い販売店ならば、リピーターが多いということは考えにくく、地元の人に信頼されているという証なのだ。
そのほかにも展示されている中古車がキレイになっているか。それは見た目がキレイなことではなく、しっかりと整備や傷などが修理されて、いつでもユーザーの手元に納車できる状態であるかどうかということ。
展示している中古車は商品。その商品が汚れていたり、雑に扱われていたりする店はまず信用しないほうがいい。さらに、納車する前に傷を治すよという口約束をする販売店は最も疑うべき。このようなケースは、最もあとで揉めることが多い。そして、見積もり書などでもその店の信用度が測れる。諸費用の部分に聞いたことのない費用がたくさん羅列されている販売店での購入は見送った方がいいだろう。
第3のポイントは、購入する中古車のチェックする部分について。中古車検索サイトなどで探したクルマを、実際に販売店でチェックするポイントは、まず車種そしてボディカラー、グレードが合っているかどうか。そして、年式、走行距離、修復歴、装着されているオプション装備。そしてキズなどだ。
このチェックは、自分がほしいと思ったクルマと同一のものであるかどうかを確認する作業だ。特定の車種を扱う専門店などでは同じ仕様の中古車を多数展示していることもあるので、本当に自分が探したクルマかどうかを確認する必要がある。
また、最近では年式によって運転支援システムの有無や機能に違いがあるので、同じ年式でも自分のほしいクルマがどの機能が付いているモデルなのかは確認しておきたい。
そして、チェックする項目で最も重要なのが、整備点検記録簿。これは人間でいうとカルテのようなもので、その車がこれまでどのようなメンテナンスや修理などをどこで行ってきたかがわかる書類。
この整備点検記録簿はクルマに積んでおく必要があり、もしないという場合は購入を見送ったほうがいい。この記録簿はクルマの履歴を証明してくれる唯一のものなので、これがないと、どのように前オーナーが扱っていたのかがわからないので、購入後トラブルが発生する確率が高くなるからだ。
ここまで自分でチェックしたら、あとは販売店のスタッフに気になることは質問しよう。よく中古車購入時は、エンジンを掛けようとかミッションを動かそうというが、シロウトでは、何が正常なのか、異常なのかわかるわけがない。
販売店のスタッフは中古車のプロのはずなので、気になることは質問してみよう。この答えが、曖昧な場合は別の店に行ったほうが良いだろう。中古車の購入は購入して終わりではなく、本当の意味でのカーライフの始まり。長く付き合って行けそうな販売店を見つけるためにも、販売店は何軒もまわって見た方が良い。
2022年4月から18歳以上も可能! 購入する前に準備しておくこと
そして、中古車を購入する際に用意しておくべき書類や物がある。中古車を購入する場合は、実印と印鑑証明書、自動車保管場所証明書(車庫証明書)、委任状、自動車検査証、自賠責保険証明書が必要となる。
このなかで委任状、自動車検査証、自賠責保険証明書は販売店が用意してくれるので、自分が用意するのは、実印と印鑑証明書、自動車保管場所証明書(車庫証明書)だ。印鑑証明書は発行から3カ月以内が有効となる。また自動車保管場所証明書は、駐車場を借りている場合、管理会社や大家さんから署名、捺印してもらう必要があるので、少々時間が掛かることもある。
中古車を購入しようと思ったら、まず役所に行って実印を登録し、印鑑証明書を発行してもらう。そして、自動車保管場所証明書を発行しておけば、購入後スムーズに手続きが進み、納車までの期間が短くなる。
また、3月に高校を卒業するので中古車を購入しようという人もいるはず。現金一括で購入するのであれば問題ないが、ローンを利用する場合は、一定の収入がないため保証人が必要となる。つまり親の承認がないとローンで購入することはできないということ。
初めて購入するクルマの多くは中古車という人が多いはず。そういった人に「やっぱりクルマを買って良かった」と思ってもらえるために、中古車はしっかりとした販売店で購入してもらいたい。
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