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トヨタは新型ランドクルーザーJ300の生産が追いつかず、日本では現在、納車まで最大で長ければ4年(!)かかるという。

2021年夏、「トヨタ ランドクルーザー」の大型豪華版である新型車「J300」が日本、ロシア、アラブ首長国連邦で販売開始された。
全長5メートルを超えるこのSUVは注文が殺到し、トヨタが文字通り参っているという噂は以前からあった。
そしてその仮説は、今回正式に確認された。
日本のトヨタ自動車のホームページでは、納車まで非常に長い時間がかかると説明されている。
新型「ランドクルーザー」は購入者の手元に届くまで、最長で4年(!)かかるのだ
これは、同じく最長4年待ちの「メルセデスGクラス」と同列のオフロードSUVということになる。

ドイツでは、2009年から製造されている小型版「J15」のみが販売されている。
非常に残念なことだが、今のところ、「J300」はドイツ(&欧州)に来る予定はない。
ドイツを含むヨーロッパで今後提供されるSUVは、おそらく数年のうちに、トヨタが2021年末に、他の14のスタディモデルとともに公表した全電動バージョンのSUVに取って代わられることだろう。
「TNGA」プラットフォームを採用した新世代の「ランドクルーザー」は、シャープなデザインと最大12.3インチのインフォテインメントを備えたモダンなインテリアだけでなく、ダカールラリーをイメージしたスパイク付きの「GRスポーツバージョン」もあるのだから、実に残念な話だ。
その「GRスポーツバージョン」は、専用グリルや改良型スカートなどのビジュアル的な変更に加え、高いバンク角、ディファレンシャルロック、電子制御式サスペンションを備えている。
そして、トヨタは高級車である「ランドクルーザー」を、いまだに大型エンジンに頼っている。
V8こそなくなったものの、「J300」には、ディーゼルとガソリンのV6エンジンが用意されている。

そんな「ランドクルーザー300」新型が売れる理由、僕にはよくわかる。さすがに4年待ちになるほどの人気には驚くけれど、それでも人気が出る理由は簡単に思いつく。
まず価格だが、たしかに一番魅力的なディーゼルエンジンのモデルを購入するとなるとなんだかんだで、800万円は必要だが、それでも他のヨーロッパなどのSUVと比較すると割安だし、「アルファード」やレクサスのラインナップの価格と比べて見ても、それほど高価に過ぎるということはない。
絶対的な信頼性とリセールバリュー、そして大きさを除けば安楽で快適な走行性能、という面でも「ランドクルーザー」はかなりの高ポイントを稼ぐし、日本向けは年間5,000台(ということはひと月400台程度)というところも供給が追い付かない理由だろう(世界の他の場所へは、言うまでもなくこの10倍以上が輸出される)。4年という時間をじっくり待つユーザーがいるかどうかは別として、納車までに時間がかかるというのはある程度仕方ないのではないか、とそう思うほどの内容とコストパフォーマンスの良さだと思う。
車が来るまでの間にマイナーチェンジがあるのでは(きっとある)とか、「ランドクルーザー プラド」も新型になる(はず)とか、レクサス版だったら納車は早いのか、などなどネットは大騒ぎだが、やや納期は短くなることも予想はするが、即納状態になるかというと、それはいつまでたっても無理な相談だろう。そういう類の車ではないし、本来、自分の好きなスペックをじっくり待つようなクルマなのだから。
なんだかんだで、「ランドクルーザー」と「ハイエース」は、もともと世界で信頼のあるトヨタ車の中でも、もっともその存在を頼られているモデルだろう。ひとつだけ気になるのは盗難の多さだが、さすがにこの点だけはどうやっても絶対に大丈夫という対策はないので、くれぐれもオーナーは気を付けて欲しい。

Text: Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Toyota