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2月24日、ロシアは数カ月におよぶ国境での軍備増強を経て、隣国ウクライナへの侵攻を開始した。

インターネットトラフィックの氾濫とデータ消去マルウェアによる、ウクライナ政府機関を標的としたサイバー攻撃に始まり、その後、地上、海上、空からの侵攻を開始した。ウクライナの報道機関もサイバー攻撃による障害を報告しており、ウクライナ政府はこのサイバー攻撃はモスクワと「明確な関連」があると指摘している

米国、欧州連合、NATOの同盟国は侵攻を激しく非難し、ロシアに広範で前例のない金融・外交制裁を科そうとしている。この制裁は地域全体のビジネス、貿易、金融に影響を及ぼすと思われる。

侵攻の影響は、ウクライナのテックエコシステム全体にも及んでいることは間違いない。ウクライナには、何百ものスタートアップやテック大企業だけでなく、世界最大のテクノロジーブランドの研究開発オフィスもある。

今後数時間、数日の間に現地の状況が急速に変化する中、TechCrunchはこの紛争がテックやスタートアップのコミュニティにどう及ぶのか、ニュースや分析を提供し続ける予定だ。

ある大手テック企業の役員は、従業員の安全のために社名を伏せるよう要請しつつ、ウクライナにいる全スタッフを避難させる方法を検討している最中であることをTechCrunchに認めた。現在、全空域が立ち入り禁止になっており、公共交通機関もほとんど機能していないことが事態を困難にしている。現在の計画では、ハンガリーかポーランドのどちらかに国境を越えてスタッフを移動させる方法を考えている。

こうした状況は、ウクライナのスタートアップにも大きな経済的影響を与えそうだ。

PDFや電子メール、その他の生産性ツールを手がけているReaddleは、ウクライナで最も有名な自己資金で起業したスタートアップの1社だ。南部の都市オデッサを拠点とする同社の広報兼マネージングディレクターのDenys Zhadanov(デニス・ジャダノフ)氏は、現在処理しなければならない緊急事態が多すぎると述べ、この記事のための電話インタビューをキャンセルした。しかし、ジャダノフ氏はテキストメッセージでTechCrunchに語った。

「我々は少し前に事業継続計画を立て、今それを実行しています。Readdleのすべての製品とサービスは稼働しており、現時点ではチームの避難は行われていません」。

ジャダノフ氏は、Readdleが11カ国で従業員を抱える国際的な企業に成長したことを指摘した。チームの「大部分」は、今もウクライナを拠点にしているという。

「ウクライナには、優秀なエンジニアやデザイナーなど、技術系のプロフェッショナルが集まっています」とも付け加えた。「多くのテック企業のCEOが、ウクライナに留まることを意図的に選択しました。彼らの多くは、この国とその人々を助けるために、援助や寄付をしています」。

ウクライナでは、さらに多くの国産スタートアップが、その影響を感じている。家庭用無線セキュリティのAjax、AIベースの文法・文章作成エンジンGrammarly、顔交換アプリのReface、ペットカメラシステムのPetcube、販売・マーケティングインテリジェンスのスタートアップPeople AI、語学個別指導マーケットプレイスのPreplyなどだ。これらの企業は、世界最大級のVCのいくつかから資金を調達しており、今回の事態でそうした関係にどのような影響が出るのか、また出るのかが1つの疑問点だ。

Macのソフトウェアやユーティリティを開発するソフトウェア会社のMacPawは、本社はキエフにあるものの、インフラはAmazon Web Servicesでホストされており、物理的にはウクライナ国外にあるとブログへの投稿で明らかにした。同社の決済処理会社Paddleは英国に拠点を置いており、ユーザーにとって「何も変化はない」見込みだ。「現時点で、我々は強く、団結し、ウクライナの主権と領土保全を守る準備ができています」とMacPawはTechCrunchへの電子メールで述べた。

ウクライナに進出しているある企業は、現地の状況が急速に変化していることを理由に、TechCrunchとの会話を報道されることを拒否した。

スタートアップだけでなく、研究開発部門を国外に置いているテック大企業や、コンテンツから広告販売まで、より地域に密着したサービスを提供しているチームもある。

GoogleのYouTubeやByteDanceのTikTokのような消費者向けのプラットフォームを持つ企業にとっては、偽情報や、逆の検閲にどのように利用されているか、あるいは誤用されているか、またその種のトラフィックをどう処理しているかが問われることになる。その上で、サービス全体がどのように維持されているのか、制裁やインターネットサービスの中断によって停止するリスクはないのかも問われる。TechCrunchはAmazon、Apple、ByteDance、Facebook、Google、Meta、Snapにコメントを求めた。詳細が分かり次第、更新する。なお、Microsoftはコメントを却下した。

その他、伝える点がいくつかある。

Googleでは、その様子からして、グローバルサービスの研究開発と現地でのオペレーションを担当する約200人がウクライナで働いているようだ。同社は長年にわたり、ロシアにおけるYouTubeをめぐる検閲で多くの問題に直面してきたが、今のところウクライナではそのようなことはない。

2016年からウクライナで事業を展開し、9都市に進出しているUberは、同国内での事業を一時停止した。Uberはキエフ在住の従業員とその近親者に、ウクライナの他の地域や他国への一時的かつ自主的な移転を提案した。ギグワーキングのドライバーと彼らがサービスを提供するライダーにとって、Uberのアドバイスは家にいることだ。

「私たちは、Uberの乗客、ドライバー、従業員の安全を守るためにできる限りのことをすることに引き続き注力しています。「部門横断的なチームが状況を注意深く監視しており、安全が確認され次第、サービスを再開する予定です」とUberはTechCrunchに述べた。

Lyftもウクライナを拠点とする従業員に対して予防策を講じている。ロイター通信によると、Lyftは緊急物資や避難のための金銭的支援に加え、休暇も提供する予定だという。Lyftはウクライナに約60人の従業員を抱えているとされ、2021年12月のブログでは、同年4月に開設したキエフオフィスを拡張する計画があると書いている。Lyftの広報担当者はすぐにはコメントしなかった。

TikTokとその親会社のByteDanceは通常、国別の従業員数を公表していないため、ウクライナに何人いるかは不明だ。しかし、彼らは非常に人気のあるアプリを持っている。同国では2021年に30%のリーチがあったと推定され、前年の2倍となった。TechCrunchは2021年、TikTokがアレクセイ・ナワリヌイ氏を中心とした反プーチン活動をめぐる重要な戦場となった様子を紹介した

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TikTokの広報担当者は、TechCrunchに提供した声明の中で「当社のコミュニティと従業員の安全は最優先事項です」と述べた。「当社は、有害な誤情報を含むコンテンツを削除するなど、当社のプラットフォームの安全を脅かすコンテンツや動きに対して行動を起こし、状況が進展するなかで監視を続け、リソースを投入していきます」。

Facebookの安全保障ポリシー責任者Nathaniel Gleicher(ナサニエル・グレイチャー)氏は、ロシアのウクライナ侵攻に対応してプラットフォームが取る行動についてツイートした。グレイチャー氏によると、Facebookはネイティブスピーカーによる特別作戦センターを設置し「状況を注意深く監視し、可能な限り迅速に行動する」ことにしているという。また、同プラットフォームは、ユーザーが自分のアカウントをロックできる機能をウクライナに展開し、ユーザーの友人でない人は、プロフィール写真のダウンロードや共有、タイムライン上の投稿の閲覧ができないようにした。これは、Facebookが8月にアフガニスタンでユーザーを保護しようとしたときに使ったのと同じ戦略だ。Metaはまた、アフガニスタンのユーザーの「友達」リストの表示と検索機能を一時的に削除し、アカウント保護に関する指示を表示するポップアップの警告をInstagramで展開した。今のところ、この2つの措置はウクライナのアカウントには採用されていない。

Twitterはウクライナのユーザーに対し、多要素認証の使用やツイートの位置情報の無効化など、オンラインアカウントを保護するよう警告している。24時間前にTwitterが、侵攻前のロシアの軍事活動に関する詳細を共有しているアカウントを誤って停止したことを認めた時とは打って変わった事態になっている。

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また、インターネット大手CloudflareのCEO、Matthew Prince(マシュー・プリンス)氏は、データセンターが侵害された場合に顧客のデータと通信を保護する取り組みの一環として、侵攻開始の数時間後に「ウクライナのサーバーからすべてのCloudflare顧客の暗号資料を削除した」と述べた。同社は2016年にキエフのデータセンターを開設しており、同社のステータスページによると、現在も稼働している。Cloudflareは、組織や政府機関にコンテンツ配信とネットワークセキュリティを提供している。

画像クレジット:Daniel Leal / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、Ingrid Lunden、Carly Page、Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi