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TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

2021年9月29日から30日にかけて、ピッツバーグの製鉄所を改造したシードアクセラレーター施設で、バイデン政権の閣僚3名とEUの高官2名が集まり、米欧貿易・技術協議会(TTC)を設立した。TTCが定着すれば、インド太平洋のQuadに対する欧州・大西洋の応答となるかもしれない。これは発展途上の技術同盟であり、新しい民主的な技術協定の構成要素となるだろう。

政治中心のワシントンで技術と外交の結びつきを見ると、すべての注目がインド太平洋、特に中国に向けられているように見える。しかし、データ、ソフトウェア、ハードウェアの分野では、米欧関係も同様に、あるいはそれ以上に重要な技術回廊であり続けている。ちなみに、欧州・大西洋間のデータ転送量は、米国・アジア間のデータ転送量よりも55%多い。

TTCの設立により、欧州大西洋のパートナーシップは、この巨大な民主的デジタル回廊を活用するための戦略的な場を得た。特に米国、中国、EUの3つが主役となっている世界的な技術の地政学競争を考慮するとなおさらだ。

17ページにわたるピッツバーグTTCの声明には、今後の作業のためのロードマップと、技術基準、安全なサプライチェーン、データガバナンス、海外直接投資(FDI)の審査、グリーンテクノロジー、人権侵害におけるテクノロジーの悪用、開放経済などの重要な問題に取り組む一連のワーキンググループの概要が記されている。中国という言葉は一度も出てこなかったが、共同声明には「非市場経済」「軍民融合」「権威主義の政府」による「社会的スコアリング」の使用など、中国を表す言葉がふんだんに盛り込まれている。

3つの分野が際立っている。第一に、米国とEUは技術標準に対するアプローチを再考中だ。中国では「三流の企業が製品を作り、二流の企業が技術を作り、一流の企業が規格を作る」という言葉が流行っている。中国政府は9月に「標準化戦略」を発表した。これは中国の技術標準の国際化、規格の採用促進、規格開発における民間企業の取り組みの強化に焦点を置くものだ。

米国とEUは、どのようにして標準が地政学的な目的に利用されうるのかに注目している。米国とEUは、中国共産党と親しい企業が国際標準化機構(ISO)や国際電気通信連合(ITU)のような規格設定機関を植民地化してしまったことで、民間企業に標準を設定させるというモデルが地に落ちたという認識を深めている。このような中国の世界における攻撃的な動きを受けて、米国の技術標準担当機関であるNIST(アメリカ国立標準技術研究所)とEU当局との対話が復活した。両者はTTCを利用して、民間企業との連携を含めた標準化戦略を調整したいと考えている。

第二に、新型コロナウイルス感染症による混乱と米中の技術的緊張により、欧州・大西洋の技術サプライチェーンの脆弱性が明らかになった。特に半導体においては、エンティティリストによる制限、チップ王である台湾のTSMCが不安定な状況である影響を受けていた。世界のチップ製造における米国のシェアは、1990年の37%から2020年には12%にまで縮小している。また、EUでは1990年の44%から現在は8%と、さらに劇的に減少している。ワシントンとブリュッセルは、この傾向を変えようと尽力している。米国議会は先に、520億ドル(約5兆9639億円)規模のCHIPS法を可決したが、来るべき欧州半導体法では、930億ユーロ(約1兆2067億円)規模のHorizon Europe基金、EUの7500億ユーロ(約97兆3017億円)規模の新型コロナウイルス感染症復興基金、および各国の半導体産業の協調的な取り組みを活用できる。

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しかし、これまでは産業政策が競合するのではないかという懸念があったかもしれないが、欧州委員会のマルグレーテ・ベスタガー副委員長と米国商務長官のジーナ・レモンド氏は、ピッツバーグで技術面での「補助金競争を避けたい」点を強調した。実際、TTCが「中長期的」に「半導体に関する専用トラック」を設けていることは、ハイエンド半導体の生産における協力という、より野心的な共同アジェンダのための滑走路となる。すべての状況を勘案すると、両当局は調和するべきであり、ピッツバーグの声明では本件が「バランスのとれた、双方にとって同等の関心事」であることが強調されている。欧州最大の未開発地域のプロジェクトである「メガファブ」プロジェクトを核とした欧米のコンソーシアムの実現を想像するのは難しいことではない。

第三に、Huawei(ファーウェイ)の5G機器に対する規制、リトアニアでのXiaomi(シャオミ)の電話検閲機能に関する新たな事実、Tencent(テンセント)のような欧州各地での企業の買い占めなどを受け、双方は重要な技術の海外流出をどのように管理するかを厳しく検討している。輸出規制、FDIの審査、信頼できるベンダーなど、すべての要素が検討されている。これまでEUと米国は、核、化学、生物などの伝統的な分野に加え、サイバー分野でもデュアルユース品(軍事転用可能品)の輸出規制を実施してきた。

しかし最近の発展により、デジタル空間を管理する上で、特に投資審査や信頼できるベンダーについての新たな課題が生まれている。規制当局は、民主的なデータ空間をどのようにして維持し、AI、半導体、5G、ゲーム、AR/VR技術、そしておそらくはデジタルサービスやスマートフォンなどの分野における研究やIPをいかに保護するかについても悩まされている。産業安全保障局(BIS)や対米外国投資委員会(CFIUS)などの米国の機関にとっては、EU加盟国が審査や市場アクセス制限の機能を拡大していく中で、欧州の機関と情報を共有するチャンネルを作ることがますます重要になってくるだろう。

これが成功すれば、TTCは、米国とEUがテクノロジー企業を管理する世界的なルールブックを作成する装置となる可能性がある。近年、EUはデジタル技術の規制を単独で行わざるを得ないと感じ、データ保護、コンテンツの調整、オンラインプラットフォームの市場力などの分野で主導権を握っている。

ワシントンの一部の人々は、米国が意味のある規制を行わない中での欧州の努力を評価しているが(ワシントンは、トランプ政権下では技術外交政策にまったく関与しておらず、オバマ政権下ではビッグテックに捕われていたと認識されている)、このいわゆる「ブリュッセル効果」は、特にデータフローとデジタル独占禁止法の将来に関して緊張を生んでいる。

2020年の裁判所のGDPRに基づく判決により、欧州の個人情報を米国に持ち込むための主要な「パスポート」であるプライバシーシールドが無効になったため、大西洋間の自由なデータの流れは無視されたままだ。反トラストの面では、Meta(Facebook)、Amazon、Google、Appleなどの大手企業が、オンラインプラットフォームの市場支配を規制するEUの法律を緩和させようと激しく争っている。バイデン政権自体は、まだ明確な立場を決めていない。

さらに広く見れば、欧州の多くの人々は、パートナーとしての米国に懐疑的だ。スノーデン事件(欧州の指導者に対するNSAの広範なハッキングを公表した)、トランプ大統領の2016年の選挙、ケンブリッジ・アナリティカ事件、そして最近ではフェイスブック内部文書が、地政学的なものだけでなく、デジタル的なものも含めて、欧州と大西洋の関係を疎遠なものにしている。最近のドイツ外交問題評議会の調査では、クラウドコンピューティングでは92.7%、AIでは79.8%、ハイパフォーマンスコンピューティングでは54.1%のヨーロッパ人が米国企業に過度に依存していると考えていた。欧州関係者の54%は、米中の技術的対立の中で独立性を保ちたいと考えているのに対し、46%は米国に近づきたいと考えていた。

一方で、欧州の二大勢力であるフランスとドイツがTTCに力を貸すのかという問題がある。近年、フランスとドイツが「技術的主権」という考え方を支持していることから、欧州の大国がTTCの成功にどれだけ尽力するのかが疑問視されている。

欧米の関係は、石炭と鉄鋼の産業時代に築かれたものだが、半導体とAIのデジタル時代になった今、TTCは世界中で台頭する技術権威主義に欧州大西洋同盟が立ち向かえるようにするための橋渡し役だ。両者ともそれをわかっている。それが最も悩ましいことなのかもしれない。

編集部注:本稿の執筆者Tyson Barker(タイソン・バーカー)氏はドイツ外交問題評議会(DGAP)のテクノロジー&グローバル・アフェアーズ・プログラムの責任者。以前はAspen Germanyに勤務し、副所長兼フェローとして、同研究所のデジタルおよび大西洋横断プログラムを担当した。それ以前は、米国務省の欧州・ユーラシア局でシニアアドバイザーを務めるなど、数多くの役職を歴任している。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images(Image has been modified)

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(文:Tyson Barker、翻訳:Dragonfly)