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カリフォルニア州の裁判所は米国時間2月22日、Alphabet(アルファベット)の自律走行部門のWaymo(​​ウェイモ)はAV技術に関する特定の詳細を秘密にしておくことができると判決し、同社は勝訴した。

同社は1月下旬、自律走行車の展開許可に関する一部の情報、およびカリフォルニア州車両管理局と同社との間の電子メールの一部を、身元非公開の第三者によって提出された公文書請求から削除するために、同局を提訴していた。

カリフォルニア州上級裁判所サクラメント支部による今回の判決は、少なくとも自律走行車業界においては、公共の安全に関わるが企業が企業秘密を含むと主張する情報への一般公開に関して、より広範な企業秘密保護の前例となる可能性がある。

Waymoは訴訟の中で、企業秘密の開示を迫られれば、自動運転技術への投資が損なわれ、車両管理局はもはや企業が自社の技術に関する情報を透明性を持って共有する安全な相手ではなくなるという「業界全体での冷え込み効果」があると主張した。

「Waymoがカリフォルニア州車両管理局に提出した許可申請書に含まれていた競争上重要な企業秘密の開示を除外する仮処分申請を裁判所が認めるという、正しい判断が下されたことをうれしく思います」と、Waymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「当局と共有する詳細な技術情報は、必ずしも一般と共有することが適切ではないと認識している一方で、当社の自律走行技術と運用に関する安全性およびその他のデータをオープンに共有し続けます」と述べた。

カリフォルニア州でテストや展開を考えている他の自律走行技術企業と同様、Waymoもその安全対策や技術に関する情報を車両管理局に提出しなければならず、その後、車両管理局はより具体的な質問でフォローアップしていた。車両管理局はWaymoの許可申請情報の公文書請求を受けた際、企業秘密が漏れる可能性があると判断したカ所を検閲する機会をWaymoに与えた。Waymoはそれを実行し、車両管理局は主要部分を黒塗りにした状態で第三者にパッケージを送付した。Waymoによると、依頼者はこの黒塗りに異議を唱え、巻き込まれたくない車両管理局はWaymoに車両管理局に対して一時的な差止命令を求めるよう助言したという。その後、裁判官は2月2日に差止命令を出し、これによりWaymoは編集されていない形での資料の開示を永遠に禁止する差止命令を求めるための時間を稼いだ。

Waymoが訴訟を起こしたのは、同社のAVが特定の条件を識別して走行する方法、AVが人間のドライバーに制御を戻す状況を判断する方法、AV車両へのサポートを提供するタイミング、離脱事故や衝突事故への対処方法などの詳細を保護したいためだ。

「これらの研究開発には何年もかかり、莫大な資金を伴います」と、裁判所に共有されたWaymoの宣言文にはある。「WaymoのAV開発は、Waymoが2016年に独立する前、2009年にGoogleの一部として始まり、したがってWaymoのAV開発は12年以上にわたります。Waymoは、AV製品の研究開発に実に多大な投資を行ってきました」。

しかし、実際に企業秘密が含まれているかどうかは、その情報を一切見ることができないため、判断が難しい。

「問題は、その情報を他者と共有しないことによって純粋に経済的価値を得られるかどうかです」と、nuTonomy(Aptivが買収)の元顧問で、ニューヨークのイェシバ大学カルドゾ法科大学院の法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズレー)氏はTechCrunchに語った。

例えば、物体を知覚する問題や、他の要因がどのように極端なものになるかを予測する問題を詳細に説明するソフトウェアの不具合は、技術の仕組みに関する情報が明らかになり、競合他社がそれを真似るか、特定のビジネスに対する自社の相対的な位置を評価する可能性があるため、非常に機密性が高いとワンズレー氏は指摘する。したがって、企業がそのような情報を公にしたくないのは理に適っている。しかし同氏は、当局がこの技術が完璧ではないことを知っていて、リスクをゼロにすることより、むしろリスクを減らすことに関心があると確信している。もし規制当局が守秘義務のもとにさらなる情報を求めたら、自身は情報共有に傾くだろうとも述べた。

「Waymoが提出した訴状に目を通しましたが、同社が話している情報のカテゴリはかなり広いです」とワンズレー氏は話した。「同社が送った情報の中に企業秘密があるのでしょうか ?おそらく、いくつかあるはずです。送った情報のすべてが含まれているのでしょうか? おそらく、ほとんどではないでしょう。ただ1つ驚くのは、同社が企業秘密だと言っているものが、実際にすべて企業秘密であった場合です。しかし、同社が当局と共有する具体的な情報を知らない限り、知ることは困難です」。

そして今、市民は知る由もない。ビジネス界はこの結果を成功だと思うかもしれないが、カリフォルニア州や一般市民は自律走行車に関して正当な公共安全の懸念を抱いているかもしれないし、当局が自分たちの代わりに判断してくれるとは思っていないかもしれない。

AV技術は非常に複雑で高度なものであり、また当局の多くの職員は必ずしも技術者ではない。市民は、公聴会や学術研究などを通じて、重要で社会に直結する決定が適切に行われているかどうかを検証する権利があると主張する人もいる。

「ある面では、これが単なるブラックボックスである場合、公共の乗り物に対する社会の信頼をどのように醸成するかという核心に触れるものだと思います」とAlston & Birdのパートナーで知的財産権訴訟を専門とする弁護士のRyan Koppelman(ライアン・コッペルマン)氏はTechCrunchに語った。「そして、これは自律走行車の根本的な問題で、データを入力し、データを出力し、その結果が安全であることを示しているだけなのです。ですので企業は、ブラックボックスで何が起こっているか、あなたは知る必要はない、ただ安全だと認識し、我々を信頼してくれ、というでしょう。そして、ブラックボックスを覗き見して署名した車両管理局を信用しなさい、それで社会にとっては十分でしょう、ともいうでしょう」。

Waymo側は、自社の技術に対する不安を解消するために、一般市民と共有している情報の幅を指摘した。例えば、AV安全報告書を発行し、米運輸省に安全自己評価を提出し、法執行機関との対話ガイドと安全手法の詳細な説明を公表している。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi