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美しくてカッコよくて売れまくり…トヨタハリアー 元祖クロスオーバーSUVの魅力と実力

 現行型のハリアーが登場したのは、2020年6月のこと。発売から1年半が経った現在も、その販売は絶好調。2021年の年間販売ランキングでも7位にランクインしており、トヨタの中~上級モデルでは、アルファードの次に売れているヒットモデルだ。

 クロスオーバーSUVというジャンルが人気になって久しく、ライバルも多い中、なぜハリアーはこれほどの人気を維持できるのだろうか。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、ベストカーWEB編集部

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「スポーティと高級車の融合」でヒットした、初代ハリアー

 1997年に誕生した、初代ハリアー。「WILD but FORMAL」というキャッチフレーズのもと、スポーティで力強いスタイリングと高級車の融合という新しいコンセプトで登場した。ライオンのマスクを被ったタキシード姿の紳士がハリアーに乗る印象的なCMを覚えている方も多いだろう。この初代ハリアーの成功により、同じコンセプトのSUVが各自動車メーカーから誕生することになった。

 2代目は2003年に登場。2.4Lや3.0L V6エンジンに電子制御エアサスペンション、ミリ波レーダーを使用した乗用車初のプリクラッシュセーフティシステムなど、高級車にふさわしい先進的な装備を用意。2005年からはハイブリッド仕様も設定された。

 2013年には3代目が登場。これまでは、レクサスRXとモデル共用であったハリアーだが、この3代目より、RXを別のモデルとして作り分けたことで、国内専用モデルとなった。クーペスタイルをさらに洗練させ、スポーティでスタイリッシュなデザインに磨きがかかった3代目ハリアーは、2017年のマイナーチェンジで、2.0L 直噴ガソリンターボを追加し、また、トヨタの先進安全運転支援システム「Toyota Safety Sense」が全車標準装備となった。

 そして2020年6月に現行型となる4代目が登場。再びグローバルモデルとなり、都市型高級SUVに求められる上質感や高級感を向上させた。基本的なスタイリングやハリアーの特徴的なディテールは3代目から継承しつつ、細部までこだわりを感じさせる室内空間や先進装備の数々で、スペックだけでは計れない、感性に訴える新時代のSUVとして登場した。

1997年登場の初代ハリアー。斬新なコンセプトで成功し、他社が追随モデルを発売するようになった

基本性能からデザインまで、さらに魅力を昇華させた現行ハリアー

 現行型のプラットフォームは、RAV4やレクサスNXも使用する、TNGAの「GA-K」を採用。ボディの高剛性化と低重心化を図り、乗り心地と走行性能を基本から向上させている。この進化はハリアーのようなオンロード主体のSUVには重要なポイントで、明らかに乗り心地やハンドリングで先代との差を感じる部分だろう。

 エクステリアデザインは、先代よりも鋭い表情の細いLEDヘッドランプと、そこに組み込まれた二重のL字型に発光するデイタイムランニングランプが印象的だ。サイドビューは、シンプルな構成でありながらもダイナミックにボディ断面が変化することで筋肉質なフォルムに動きを加え、アスリートのような動感を感じさせる。

 キャビンスペースは、スタイリッシュでありながら、張り出したホイールアーチや立体的な造形のバンパーで逞しさを表現している。リアビューは横一文字に光るランプが配置され、先進性と存在感が感じられる。「ハリアーらしさ」はそのままに、どの角度からみても美しいと感じる、計算し尽くされたデザインだ。

 インテリアもすばらしい。個性の薄れがちなインパネデザインも、「馬の鞍」をイメージしたという幅の広いセンターコンソールと、それを挟み込むパネルの組み合わせで印象的な個性をもたせている。

 レザー調素材や「曲木(まげき)」技法に着想を得たというウッド加飾、パイピング加飾、障子越しのような柔らかい光が差し込む調光ガラスを用いたパノラマルーフなど、斬新なアイデアを盛り込みつつ、さりげない上質な空間をしつらえている。まさに日本の美意識に寄り添った高級感に仕上がっている。

今ならクーペSUVは珍しくなくなったが、ハリアーの洗練されたフォルムは他を一歩リードしている

ハリアー人気最大の要因は「絶妙な価格設定」

 とはいっても、ハリアーが他のクルマに比べて、ずば抜けて素晴らしいわけでもなく、メカニズムもハリアー独特のものではない。ではなぜ、ハリアーはここまで人気を維持できるのだろうか。

 その最大の要因は、「絶妙な価格設定」にあると筆者は考える。ガソリンモデルの価格は299万円〜443万円、ハイブリッドは358万円〜504万円で、それぞれに2WDと4WDが設定されている。価格と装備のバランスが良い中間グレードのG(2WD)でもガソリンで341万円、ハイブリッドで400万円だ。これは他のミドルクラスSUVと同価格帯かやや高めといったところで、高すぎるわけではない。

 ハリアーには、若い男性が憧れる質感とステータス性がある。デザインが若々しくてスポーティ、そして誰が見てもはっきりと分かる上質さがある。誰もがイメージできるような「いいクルマ」でありながら、「ちょっとがんばれば買える価格」。安すぎても憧れにはならない、高すぎても手が出ない。その隙間をハリアーは絶妙についているのだ。

 また、「高級すぎない」というのもポイントだろう。とにかくギラギラと高級感を出しまくるデザインではなく、加飾を抑えてカジュアルなニュアンスすら感じられる、嫌味にならない高級感がハリアーにはある。

 コンパクトSUVやミドルクラスミニバンから乗り換えたいとユーザーに思わせる魅力があるのではないだろうか。ハリアーは、どんな年齢、環境であってもスマートな選択肢になり得る、そんな広い受け皿となるモデルなのだ。

派手さを抑えたシンプルなデザインと随所にこだわりが感じられるハリアーのインテリア。このバランスこそハリアーの強力な武器である

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 ハリアーのような高級SUVはたくさんあるが、それらはハリアーよりもずっと高価であり、ハリアーのライバルとはいえない。国産モデルでミドルクラスのSUVだとエクストレイルやCX-5、CR-Vなどが挙げられるが、いずれもハリアーとは個性が異なるため、真っ向勝負にはなりにくい。ハリアーの独走は、今後も続きそうだ。

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