VWの電動バン「ID.Buzz」の内装はこうなっている。
ID.Buzzは電気自動車ブリだが、マルチバンとトランスポーターは内燃機関を維持する。今回はじめてその内装がリークされた。新着情報!
価格と市場投入: ID.Buzzは2022年3月上旬に発表される予定
2022年、いよいよフォルクスワーゲンのアイコンである「ブリ」が電動化されて市場投入される予定で、2022年3月9日に発表される。そして、最初のモデルは、早ければ夏ごろにデリバリーされる予定となっている。価格面では、ベーシックな「ID.Buzz」は4万ユーロ(約528万円)前後からとなる模様だ。併せて、トランスポーターと内燃機関搭載の新型マルチバンは、当面の間、並行して提供される。
インテリア: 折りたたみ式リアベンチシート
VWの新型電動バス、「ID.Buzz」の画像がリークされた。「VW ID Talk」フォーラムに、市販版のインテリア写真がアップされた。1列目は、(黒い布でカモフラージュを試みたものの)コックピットが「ID.3」や「ID.4」とあまり変わらないのではないかという予想を裏付けるものだ。また、電動バスには、ステアリングコラムに、直接小型のデジタルコックピットが搭載されている。車両本体のコントロールは、他のIDモデルよりやや大きく見えるセンターモニターで行うようになっている。
1列目のデザインは、すでにプロトタイプから推測することができるが、今回のリーク画像によって、初めてフロントシートの裏側の印象を得ることができた。ここでは、VWは「T7マルチバン」のような個別シートや、スライド式センターコンソールなどの新しいインテリア思想を採用せず、古き良き(普通の)折りたたみ式リアシートを見ることができる。またラゲッジルームと合わせてフラットな荷室を作るために、ラゲッジルームに棚のようなものを設けている。シートをさらに下へと倒せないのは、後席の下にあると思われるバッテリーのせいかもしれない。
名前とバージョン: VW、キャンピングカーID.Californiaを発表
VWは、「ID.Buzz」のキャンピングカー版である「ID.California」も投入すると発表している。しかし、最初からそうだったわけではなく、開発はまだ始まったばかりだ。「電動キャンピングカーは、2020年代の後半に発売される予定です」と、市場投入予定の表示もまだ曖昧なものとなっている。「Carscoops」は、VWがIDにロングホイールベースの「MEB」プラットフォームを使用すると想定している。「カリフォルニア」では、ロングホイールベースのMEBプラットフォームを採用し、広い室内空間を実現する予定だ。また、111kWhの大容量バッテリーを搭載したモデルのみが提供される。そして、その力をキャンプ用品にも活用する。VWは、ポップアップルーフ、キッチン、食器棚などを標準装備する予定だ。
貨物型モデルも計画中
VWはすでに完全自律走行版の「ID.Buzz」を公開しており、2025年にカーシェア「MOIA」のサービスを開始する予定だ。数人乗りの窓付きバスのほか、後部に窓のない商用車も計画されている。マルチバンとトランスポーターは引き続き内燃機関を搭載しているが、貨物仕様の「ID.Buzz」は、市街地での移動を主とする企業向けに外観を重視した完全な電気自動車とすることを意図している。
VWはバスをサンバと命名する可能性もある
最初のオール電動「ブリ」が本当に「ID.Buzz」というモデル名になるのかどうかはまだ不明だ。フォルクスワーゲンの電気自動車のネーミングを継承することになるが、兄弟車にはこれまで常に数字が名前に含まれていたからだ。また、「サンバ」という歴史的な名称を復活させるという噂も流れている。この噂によれば、「ID.Buzz」の量産モデルは、現在クラシックカー市場で10万ユーロ(約1,320万円)を優に超える価格で取引されているため、「T1」にちなんで名づけられる可能性もあるそうだ。これについては、おそらく公式発表の少し前にしか明らかにならないだろう。
テクノロジーと航続距離: MEBにより柔軟に拡張可能なID.Buzz
また、VWは「ID.Buzz」で、新しい電気モジュールシステム(MEB)をベースにした、これまでで最大のモデルを開発した。「VW ID.3」や「アウディQ4 e-tron」のアンダーボディにもなっているフロアアッセンブリーは、電池を追加するスペースが確保されている。VWは車軸間のフレームに蓄電ユニットを配置するため、ホイールベースが長くなるとバッテリーセルの搭載可能数も多くなる。電動「ブリ」は、MEBの全モデルと同様に400ボルトを使用し、最大充電電力135kWの急速充電器を使用する。
現行モデルでは550km程度の航続距離が可能だが、シリーズ生産バージョンの「ID.Buzz」の航続距離がどのようなものになるかは未知数だ。「ID.Buzz」の基本仕様は後輪駆動のみで、これは祖先の「T1」がリアエンジン、後輪駆動であったことと共通である。オプションで全輪駆動も考えられるが、プラットフォームがモジュール式なので大きなハードルはないだろう。電動モーターのパワーは純粋な憶測だが、最もパワフルなMEBのモデルは、全輪駆動で最大306馬力を発揮する。
外観: ID.Buzzはオリジナルのブリに近づけたいと考えている
2017年、フォルクスワーゲンはそのIDバスの未来をスタディモデルで示した。「Buzz」のスタディモデルで、フォルクスワーゲンは未来の電動「ブリ」のあるべき姿を示した。デザインは、バスの初代「T1」を強く意識したものとなっている。V字型のくぼみを持つ特徴的なフロントシールドは、ここで最も印象的なデザイン要素のひとつであり、ニューエディションのテーマでもある。
また、「Buzz」スタディでは、アイコンであるツートンカラーの塗装を施す可能性もある。
プロトタイプの写真によれば、市販モデルは驚くほどコンセプトカーに近い。オーバーハングが短く、窓が大きく、カモフラージュフィルムが貼られているにもかかわらず、リアにも見本市用「Buzz」のデザイン言語が見て取れる。新しい電動「ブリ」は、視覚的に初代のカルトバスに限りなく近いものでなければならない、というミッションは明確だ。
VW ID.Buzz(2022): フォトギャラリー
いよいよ、出る出るといわれていたID.Buzzの登場までカウントダウンとなった。今回のスクープショットを見る限り、内装はインスツルメンツパネルとシート、両方とも「普通に」シンプルで、ものすごく特徴のあるものでもなく、ほかのID.シリーズと同じようなデザインのものであった。際立ってお洒落とか、かわいいというものではないらしい。
だが本来、フォルクスワーゲンというものはこういう質実剛健・実用本位のものでもあるし、ほかにも別なグレードも存在しているのかもしれない。それに、わざわざお洒落とか、あざとく可愛い部分をねらうデザインよりも、個人的には好感がもてる。
あとは外装がどんな感じなのか、だがこればっかりは出てみないと何とも言えないし、実車を見ないと本当の魅力はわからないものである。
いよいよ登場するフォルクスワーゲンのBEVバン、ちょっと楽しみな春のニューモデルである。
Text: Katharina Berndt and Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Volkswagen AG / Quelle: www.vwidtalk.com