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 自動車や鉄道車両にも顔があるように、バスにもメーカーや車種独特の顔がある。普段、何気なく乗車しているバスの顔で何が分かるのか。そんな話題をお届けしよう。画像ギャラリーには多くの新旧バスの「顔」を収録したので眺めていただきたい。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


シャシーメーカーとは?

 バスはエンジンや骨組み(シャシー)と車体そのもの(ボディー)は違う会社が製造することがほとんどだ。最近は長い不況のあおりや海外との競争力や資本提携の強化等の理由で、特にボディーメーカーが集約されつつある。

日産ディーゼル・西日本車体工業/三菱ふそうエアロスター(都営バス)

 最近までシャシーメーカーは国内に4社あった。三菱ふそう・日野自動車・いすゞ自動車・日産ディーゼル(現・UDトラックス)だ。そのうち日産ディーゼルはバス製造から撤退してしまったので新車で登場することはもうない。

 ゆえに現在、国内メーカーは3社ということになる。もちろんバスの寿命は乗用車よりも長いので日産ディーゼル車も多く走ってはいる。

顔を作るのはボディーメーカー

 一方で、ボディーメーカーはもっと減ってしまい、現在では特別な改造を手掛けたり、特装車と呼ばれる特殊な車両を製造するほかは、三菱ふそう系の三菱ふそうバス製造、日野自動車といすゞ自動車が共同で製造するジェイ・バスの2社だけだ。

日産ディーゼル・西日本車体工業(亀の井バス)

 以前は多くの車体メーカーがあり、同じシャシーメーカーでも車体メーカーによりまったく違う姿や、違うメーカーのバスでも車体メーカーが同じだとパッと見は同じバスというように、見分けるのにそれなりの知識とコツが必要だった。

 バスマニアは細かい外観や事業者等で見分けていたが、現在では以前ほど多様ではなくなった。それを見分けてどうするんだ? と指摘されると趣味の世界なのでごめんなさいとしか言いようがない。

 しかし普段バス停で待っていて、やってきたバスがどこのメーカーなのかが分かれば、ほんの少しは楽しいだろうし、あわよくばバスファンになっていただけるかもしれないという本誌のよこしまな考えでもある。

エンブレムが手っ取り早い

 マニアの方には叱られるかもしれないが、最も簡単に見分けられるポイントは顔についているシャシーメーカーのエンブレムだろうか。FUSOやHINOあるいはISUZUと書いてあればそのままなので判断ができる。

 マニアの方はシャシーメーカーだけではなく型式や製造年代まで研究の範疇に入るのだろうが本稿ではそこまでは言及しないのでご勘弁いただきたい。

三菱ふそう・西日本車体工業(西鉄バス北九州)

 観光バスや高速バスのようなハイデッカー(車高が高く客室位置も高いバス)トップドア車(前にしか乗降用ドアがないバス)の場合はシャシーメーカーエンブレムのほかに、車種シリーズエンブレムが前面や側面に貼られている場合があるのでそちらでも判断ができる。

顔は多くあるが基本は少ない

 バスにも乗用車と同様に車種名がある。大型路線バスでは例えば、三菱ふそうではエアロスター、日野はブルーリボンII、いすゞはエルガといったような名称がある。

 観光バスや高速バスに使用される大型バスでは、三菱ふそうがエアロエースやエアロクイーン、日野がセレガ、いすゞがガーラなどである。画像ギャラリーにはシャシーメーカー・車体メーカーまたはシャシーメーカー純正ボディーの場合は名称を記載しているので参考にしていただきたい。

三菱ふそう・エアロエース(東京空港交通)

 ただしバス事業者によりこれらのメーカーエンブレムを外している場合があるので、その際はいよいよ顔で見分けることになる。画像ギャラリーに収録の「顔」をご覧いただければ一度は目にしたことがある顔があるはずだ。

 ただし日野といすゞはジェイバスが製造しているのでほぼ同じ顔。よってメーカーエンブレムがないと見分けは困難だ。細かいことを言えばキリがないし、バス全体から見分ける方法はあるにはある。

 ただしこれ以上踏み込んでしまうとマニアの世界に入り込んでしまい、一般向けではなくなるので本稿で述べないが、興味のある方はお時間のある時の研究対象にしていただきたい。

めんどうであればハンドルを見よ!

 ここまでは現在、新車画導入されるバスについて述べてきたが、少し古いバスになると日産ディーゼルのバスやボディーも富士重工や西日本車体工業なども登場し、さらににぎやかになる。メーカーロゴがまったくない事業者だと普通の方にはお手上げだが、乗れば一発でわかる見分け方も紹介しておく。

日産ディーゼル・西日本車体工業(関東バス)

 「前ドア付近にある銘板」が一番確実だが、低い位置で小さいので見にくいし、しゃがんでじっと見るわけにもいかない。そこで運転席のハンドルを見れば簡単だ。バスのハンドルにはメーカーのロゴマークが入っているのでこれでわかる。これはボディメーカーがどこであっても変わらない。

輸入車も多くなった

 最近では輸入車が導入されるケースも目立ってきたが、これらについての詳細は別の機会に譲るとして、人気の二階建てバス(ダブルデッカー車)はもう日本では製造していないので、今のところ新車で導入されることはない。

メルセデスベンツ・シターロG連接車(西鉄バス北九州)

 現在走っている国産のダブルデッカー車は三菱ふそうのエアロキングで、すでに稀少車になっているばかりか車齢がかなり経過しているので、高速車運用よりも、改造してオープントップバスやレストランバスとして活躍しているケースが多い。

 高速車や貸切車には輸入車のスカニア・ボルグレンのアストロメガ(InterCityDD)がほとんどだ。二階建てバスに乗車する機会があれば確認していただきたい。

バスも鉄道も航空機も見分けると楽しい!

 近づいてくるバスの車種を特定するなどは確かにマニアでしかないが、たとえば自動車に興味のない方でも有名どころはご存じだろう。鉄道でも新幹線であれば500系電車やE4系電車は子供にも人気があり認知度は高かった。

旧・日本国政府専用機(航空自衛隊)

 航空機でも日本では旅客機としては退役しているが、ジャンボの愛称で知られたボーイング747型機シリーズは万人が知る機材だった。

普段の何気ない移動から…

 バスも基本的にはそれと同じで、しかも道路に出ればいつでもどこでも誰でも見ることができる乗り物だ。日野だ、ふそうだ、いすゞだと心の中で叫んでみて、答え合わせをしてみてはいかがだろうか。普段の何気ない移動にも興味を持っていただければ幸いだ。

トヨタ・ジェイバスのSORA燃料電池車(都営バス)

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