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クルマは見た目が10割!? 長く乗るなら知っておきたい! ボディカラーの色褪せの原因と防ぎ方

 常に風雨にさらされている塗装面はエンジンや足回りなどよりもずっと劣化しやすい。特に、塗装面が劣化して色褪せしたクルマは見た目が悪いだけではなく、下取り価格も大幅ダウンしてしまう……。とにかく、色褪せは最小限にとどめたいところだ。

 そこで今回は、色褪せを食い止めるうえで知っておきたい基礎知識と、メンテナンス法をご紹介しよう。

文/入江凱、写真/トヨタ、ホンダ、マツダ、写真AC

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クリア層へのダメージが色褪せの原因

クルマは見た目が10割!? 長く乗るなら知っておきたい! ボディカラーの色褪せの原因と防ぎ方
塗装の劣化が進行すれば、単に見栄えの問題だけでなく素地となるフレームやボディ本体にまでダメージが及ぶ可能性がある

 クルマの塗装に悪影響を与えるのは、酸性雨に太陽光(紫外線)、雪、鳥の糞や塩分を含んだ水などさまざま。そして、各メーカーともどんな過酷な環境下でも鮮やかなカラーが長持ちするような工夫を施している。

 一般的にクルマには、素地となる金属面の上に、1.防錆効果のある下塗り、2.発色を良くし、耐衝撃性を持つ中塗り、3.色みを付ける上塗り(ベースコート)、4.光沢感や艶を与え、外部の環境から塗装を保護するクリア層という順で塗装が施されている。

 色褪せは、表層部にあたるクリア層の劣化が原因だ。クリア層が紫外線などにさらされることで、色がくすんだり、白ボケしたようになり、最終的にはクリア層は剥がれてしまう。すると、無防備な上塗り以下の深層にまでダメージが広がり、色褪せへとつながっていく。素地が見えるレベルの重度な塗装の剥がれや大規模な色褪せになると、再塗装や補修が必要となるため、費用も高額になってしまう。

色褪せしやすいカラーは、黒系と赤系の色!

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4代目プリウスには温度が上昇しにくく、くすみや色褪せしづらいという世界初の遮熱機能を持つサーモテクトライムグリーンというカラーが用意されたが、現在はラインナップから外れてしまった

 塗料の進化、塗装技術の向上によって年々色褪せは起きにくくなっているものの、それでも色褪せが発生しやすいと言われているカラーがある。それが黒と赤の系統だ。どちらの色も塗装に対して大きなダメージを与える紫外線の吸収率が高いためだ。

 特に黒系の色は太陽光を吸収しやすいため塗装の表面温度の上昇が他の色よりも顕著となってしまう。急激な温度変化も塗装に悪影響を与えてる大きな原因となる。また、塗装表面の温度が高くなると塗装表面の汚れと塗装面との化学反応が激しくなるため、劣化を進行させてしまうのだ。

 もうひとつの赤系の色は、色を構成する化合物の結合が弱いものが多いうえに、紫外線を吸収しやすいため、最も色褪せしやすい色とされている。本来真っ赤な郵便配達の車両が、色褪せして白っぽくなってしまっているのを見かけた記憶がある人も多いだろう。

 一方、ベーシックなカラーとして人気のある白や青系、紫系の色は紫外線を吸収しにくいため、比較的色褪せや劣化が起きにくい色とされている。

 現在は塗装技術の進歩もあり、以前よりは色褪せしにくくなっているものの、赤や黒以外のソリッドカラーと言われるメタリックやパールが含まれない色はメタリック系の色よりは色褪せしやすい傾向にある。特に、ひと昔前はソリッドカラーの車種の場合、上塗りを保護するクリア塗装がされていないことも多かった。

 メタリックやパールは光を反射する細かい物質を塗料に含むため、そのままでは耐久性が低い。そのためクリア塗装をすることが前提となっており、ソリッドカラーのような心配はない。

愛車を守れ! 塗装の劣化を防ぐ日常メンテナンス

 塗装が傷んでしまえば、最終的にはフレームやボディの金属部分の腐食にも繋がる。劣化を完全に止めることは不可能だが、こまめなメンテナンスで塗装の劣化を食い止めることはできる。ここからは塗装を保護し、ボディカラーの劣化を防ぐためのメンテナンス法をご紹介していこう。

対策1 色褪せ防止の基本はこまめな洗車

 紫外線だけでなく、酸性を帯びた鳥の糞や酸性雨を放置すると化学反応を起こしクリア層を傷めることになり、くすみや色褪せにつながってしまう。こまめな洗車は色褪せを防ぐためには必須だ。

 また、普段から洗車をすることで、気づかなかった小傷を発見できるというメリットもある。小傷を放置しておくと塗装面に水分などが入り込み、錆が発生して塗装が剥げたりすることもあるので、小傷を発見したら放置せず、補修材などを使用して水の侵入を防ぐようにしたい。

 注意してほしいのは、最初に水で細かい汚れを流さないままスポンジで擦り始めないこと。逆に塗装を傷めることになってしまうからだ。

 洗車後の水滴を拭き取らずに放置することも厳禁だ。ボディに残った水滴がレンズとなって日光を集め、塗装面が焼けてしまうウォータースポットができてしまう。また、水分が蒸発して残ったミネラル分が堆積して発生するイオンデポジットと呼ばれる現象も塗装を侵してしまう。

 ちなみに、夏の炎天下などに洗車を行うと、強い日差しの影響で、ウォータースポットやイオンデポジットになりやすいので、できれば気温のあまり高くない曇りの日に行うのがいいだろう。

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まずは水だけで落とせる砂埃や汚れを洗い流すこと。いきなりカーシャンプーを使用したり汚れが落ちないからと強い力で磨くのは塗装を傷めてしまうのでNG

対策2 コーティングでクリア層を保護する

 紫外線や汚れなどによる劣化からクリア層を保護するためにボディコーティングを行うことも有効な対策のひとつ。コーティング剤は市販されているが、本格的なものになると硬化するまでにそれなりの時間を要するタイプのものが多い。屋外保管の場合は硬化するまでの間、雨に降られないようにしなければいけないので施工のタイミングが難しいということが難点だ。

 また、事前に汚れや油分をしっかり除去しておかないとうまく被膜が形成されなかったり、ムラになるといったトラブル発生のリスクもある。

 こういったことから、それなりの費用が発生するが、長期間の効果やクオリティを望むのであれば、専門店やプロに任せることでそうした手間やリスクを省くことも選択肢に入れることをお薦めする。

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コーティング剤を選ぶ時は、紫外線防御効果が高いものを。また、コーティングをすることで汚れを付きにくく、落ちやすくすることもできる

対策3 ボディカバーで紫外線を防ぐ

 コーティングで保護したとしても、紫外線や風雨にさらされればコーティングの効果も落ちてきてしまうもの。やはり色褪せ対策で最も有効なのは、塗装をそういった要因から物理的に守ることだ。ベストは、ガレージで屋内保管したり、カーポートで日差しを遮ることだが、それが難しい環境であれば、ボディカバーを使用することをお薦めする。

 ただしサイズや形状が合っていないと風などが吹いた時にボディカバーが動いて、塗装面と擦れて傷が付いたりして、色褪せを進行させてしまうので注意してほしい。また、車体やカバー自体に砂などの汚れが付いたまま使用するのも、塗装に傷が付いてしまうので厳禁だ。

 また、カバーをかけたまま長く放置すると内部に湿気がこもって逆効果になることもある。特に、年式が古く、塗装が脆くなってしまっている場合、塗装の剥がれやひび割れなど、色褪せよりも深刻な事態を引き起こす可能性がある。いずれにせよ、ボディカバーは定期的に外してボディカバー内部に湿気を溜めないことを心がけよう。

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屋外の駐車で色褪せの原因となる紫外線を防ぐ方法は限られている。ボディカバーは有効な対策と言えるだろう。ただし、掛けっ放しにすると逆に塗装にダメージを与えてしまうことも

対策4 カラーワックスで応急処置をする

 愛車が色褪せてきたように見えても、クリア表層レベルの軽度な段階であればワックスを塗り込み、艶出しすることである程度復活する可能性はある。

 カラー顔料が含まれたカラーワックスというアイテムもあり、通常のワックスのように使用するだけで顔料が細かい傷の隙間を埋めてくれる。カラーナンバーを合わせなくても同系統の顔料であれば使用することができるため、手軽に使用できる。

 コンパウンド(研磨剤)を使用して劣化した塗装面を取り除くというのも手だが、やりすぎてしまうと傷を付けてしまうので、初心者にはあまりお薦めできない方法だ。

 ただし、これはあくまでも応急処置だ、色褪せてしまった塗装を本当の意味で復活させるのは難しい。ということで、何よりも予防が重要となる。人間にもスキンケアが必要なように、お気に入りの愛車の美しさを保つために日々のケアを心がけよう。

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