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基本的に”イメージ”を意識した内容となっておりますので、基礎知識の無い方への入門向きです。
じっくり学んでいきましょう!

今回は、「はんだ付け仕方の違い」についての説明です。

初めに

リフロー炉という基板に電子部品を多数まとめて実装するための装置があります。
この装置のおかげでプリント基板の部品実装が容易になっています。

ですが、「リフロー」って何でしょうね?
また、あまり聞かないかもしれませんが、「フロー」という用語もあります。

今回はそんなフローとリフローの違いについてまとめてみました。

フローとは?

フローとは、フローはんだ付けを略した言い方です。

フローは、あらかじめ溶かしてあるはんだで満たしたはんだ槽を用意して、その上を基板に通過させることではんだ付けをします。
その為、DIPタイプの部品(基板の穴にリードを挿して裏側からはんだ付けすることで固定する部品)である電解コンデンサなどのはんだ付けに使用されます。
半田面のはんだ付けに用いられるということですね。

半田面のみが熱されるので部品に対する温度負荷は少ないというメリットはありますが、当然ながら半田面にSMTタイプの部品(表面実装する部品)を実装することはできないので、使いどころは限られます。

リフローとは?

リフローとは、リフローはんだ付けを略した言い方です。

リフローは、クリームはんだと呼ばれるペースト状(目で見てもわからないけど実際は数ミクロンの粒状)のはんだを部品を実装するパターンの銅箔露出部の上に塗り、その上に電子部品を配置した状態でリフロー炉を通すことではんだ付けをします。

具体的な工程を記述していきますね。

1.ガーバーデータを基にメタルマスクを作る。

ガーバーデータとは、基板に部品を実装する為のデータのことです。
簡単に言えば、部品面・半田面のどこに何を配置するかがわかるようになっているデータです。
このデータを基にメタルマスクを作ります。

『リフローは部品を実装するパターンにクリームはんだを塗る』と言いましたが、普通に考えてどうやってパターンだけにはんだを塗るのかが気になりますよね?
そこで出てくるのがメタルマスクです。
メタルマスクとは、部品を実装するパターンに当たる箇所のみ穴が開いた金属板のことです

2.クリームはんだを塗る。

基板の上に部品を実装するパターンが合うようにメタルマスクを重ねます。
この状態でスキージと呼ばれるヘラを用いてクリームはんだを塗ります。
こうすることで、不要な箇所にクリームはんだを塗らないようにしています。
ちなみに、慣れていないとメタルマスクは簡単にズレるので、結構難しいです。
ミスしたら拭き取れば良いだけの話ですけどね。

3.部品を配置する。

クリームはんだを塗った個所にマウンターという装置を使って部品を配置します。

4.リフロー炉を通す。

クリームはんだを熱して溶かして、部品をはんだ付けします。
はんだ付けした後は常温で風を当てて冷やして完成です。

ちなみに、半田面にも部品を実装する場合は基板をひっくり返してもう一度リフロー炉を通す…とも限りません
コネクタなどの重い部品以外、つまりチップ抵抗やセラミックコンデンサくらいなら半田面に配置して裏返してもクリームはんだでくっついた状態になります。
なので、そのままリフロー炉を通すと部品面も半田面も部品を一気に実装できます。

ちなみに、半田面にもコネクタなどを配置する場合は、特定の部品を専用のボンドでくっつけておく必要があります。
半田面を上側にしてリフロー炉を通したら部品面のはんだが融けて部品が落下しますからね。
リフロー炉内で基板がズレたり、何かに引っかかってコネクタが落ちるというトラウマが…。

以上、「はんだ付け仕方の違い」についての説明でした。


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