ロシアのプーチン大統領は21日、国民向けの演説で親ロシア派が占拠するウクライナ・ドネツク州やルガンスク州の一部地域の独立を認める大統領令に署名し、平和維持のためにロシア軍を派遣するよう指示した。
“事実上の開戦”ともいえる動きだが、これを受けて、日経平均株価は続落している。
前日終値で2万6910円だった日経平均株価は、前日比395円安の2万6515円で、22日の取り引きがスタート。午前9時に取り引きが開始されると続落し、9時15分には前日比529円安の2万6381円に下落した。トヨタやソニー、NTTといった主要銘柄も軒並み下落。業界別に見ると、ブリヂストンなどのゴム製品株やオリンパスなどの精密機器株、日本郵船などの海運株の下落が目立った。
このまま下落が続いていくかと見られたが、その後は、2万6400円~6500円を推移。午前中の終値は2万6327円だった。
ツイッターで日経平均がトレンド入りするほどの高い注目を集めているが、日経平均株価が数百円下落するケースは決して珍しいことではない。ニューヨーク株式市場で史上最大規模の株価暴落、いわゆる「ブラックマンデー」が起きた翌日の日経平均株価は前日比で約3836円下落している。イギリスがEUを離脱したことを受けて、2016年6月24日に前日比で1286円ほど下落した。
直近でも、2020年3月9日に新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響を懸念して、前日比で1050円ほど下落した。これらに比べると今回の下落幅はまだ小さい。しかし、ウクライナ情勢がどこまで悪化するか先が見えないことはもとより、金利上昇に端を発した米国株式市場の低迷や原油高を背景に、昨年来、日経平均株価は下落が続いている。
岸田首相が就任する前の昨年9月には3万円の大台を突破する日も少なくなかった日経平均株価は10月以降、下落局面に入り、わずか半年足らずで4000円以上値を下げている。そこに来ての今日の下落だ。ツイッターでは「この下落は長引く」「2万6000円を割り込んだら2万3000円だ」「ウクライナ情勢が安定しないと2万円割れもある」など悲観的なコメントが多数を占めている。投資家たちのこうした予想があたらないよう祈るほかないが、岸田首相は何か対応策を考えているだろうか。
折しも昨日、衆院予算委員会で国民民主党の前原誠司氏に、昨年来の株価低迷を投資家の間で「岸田ショック」と呼ばれていることが指摘された。岸田首相には、そんな不名誉な言葉を投資家たちに撤回させるくらいの手腕を示してほしいものだが果たして……。