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熱いスポーツカーにこそ先進安全装備を… 新型BRZのアイサイトがすばらしい!!

 2021年に登場した新型車の中で最も意義深いモデルだと確信しているのが、トヨタGR86/スバルBRZだ。今後電動化が進む中、ピュア内燃機関の最後のスポーツカーと言える存在だからだ。

 このGR86/スバルBRZがこれからどれくらい新車の販売が続くのかはわからないが、中古車となってからも手頃な価格で買えるピュア内燃機関のスポーツカーとして色褪せないと考えている。

 スポーツカーのGR86/スバルBRZだが、6速AT車には運転支援システムの“アイサイト”が装着されている。50歳を超えるとスポーツカーのハンドルを握ってもアドレナリン全開で走れる時間は短く、高速ぐらいはノンビリと走りたくなるもの。

 そこで、今回はBRZ Sの6速AT車に試乗し、搭載されたアイサイトの実力を、アイサイトver.2を搭載した初代スバルXVオーナーだった筆者が検証してみた。

文、写真/萩原文博

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変速スピードを速めた6速AT車にはアイサイトが標準装備

BRZ6速AT車の走行シーン

 現行型BRZの注目ポイントは盛りだくさん。排気量が2.4Lへとアップした水平対向4気筒エンジンは、最高出力235ps、最大トルク250Nmへと出力向上を実現。さらに徹底した吸排気性能の強化とフリクション低減によって、レスポンスも素早くなり、滑らかに高回転まで吹け上がるフィーリングとともに、力強い加速を実現した。

 プラットフォームは先代のキャリーオーバーだが、スバルグローバルプラットフォームの開発から得たノウハウを採用。さらにインナーフレーム構造や構造用接着剤などによりボディを再構築している。

 その結果、先代モデルに対してフロント横曲げ剛性約60%、ねじり剛性を約50%向上、ハンドル操作への応答性を高めて、より軽快な動きを実現させると同時に旋回時のトラクション性能を向上させている。

 そして6速ATはトルクコンバーターを改良し、高出力化に対応しつつ、トップクラスの変速スピードを実現。さらにアダプティブ制御を進化させ、よりドライバーの感覚に合った自然な変速制御を実現しているのだ。

 そのうえ、運転支援システム「アイサイト」を標準装備となった。レヴォーグやアウトバックなどには最新鋭のアイサイトXを搭載しているが、BRZのシステムはアイサイトver.3がベースとなっている。

ペダル操作はシステム任せだが、ハンドル操作はドライバーが行う

筐体が小型化されたステレオカメラを採用

 システムは、フロントウィンドウ内に設置された小型化を実現したステレオカメラをはじめ、後側方レーダーそしてリアソナーによって構成されている。

 搭載している機能はアイサイトコアテクノロジーとして、プリクラッシュセーフティをはじめ、後退時ブレーキアシスト、全車速追従機能付クルーズコントロール。AT誤発進・誤後進抑制制御、車線逸脱警報/ふらつき警報/先行車発進お知らせ機能。

 さらにアイサイトセイフティプラス(運転支援)として、スバルリアビークルディテクション(後側方警戒支援システム)、ハイビームアシストの9つの運転支援機能を採用。

 アイサイトver.3ながら、ステレオカメラで走行車線両側の区画線を認識し、高速道路などで約60km/h以上で走行している際に、車線からはみ出しそうになるとステアリング操作のアシストを行い車線からの逸脱を抑制する車線逸脱抑制機能は装備されていない。

 つまり、アクセルとブレーキのアシストはするが、ステアリング操作はドライバーが行ってください。というシステムなのだ。

 そして、ほかのスバル車とは異なるのが、全車速追従クルーズコントロールの操作方法だ。BRZは、トヨタ車で採用されているステアリング下部に取り付けられたクルーズコントロールスイッチで操作を行い、ステアリングに装着されたスイッチで前走車との車間距離を変更する。

 操作方法は異なるが、機能面ではかつて乗っていた初代XVのアイサイトver.2に非常に近いものとなっている。

 ボディ剛性が向上したボディはパワーアップしたエンジンを搭載しても、安定感抜群の走行性能を発揮する。シフトチェンジの速度やダイレクト感が向上した6速ATは、ステアリングに装着されたパドルシフトでのシフトチェンジが可能で、ハンドル操作に集中できスポーツドライビングを味わうことができる。

 アダプティブクルーズコントロールを使用して走行すると、各メーカーの個性が出る。スバルはいち早くアイサイトを搭載し、精度そしてフィーリングもトップレベルだ。

 特にブレーキの掛け方とアクセルの再加速のフィーリングは抜群で、自分ならこの辺でブレーキを掛けるなというタイミングバッチリで制御する。このドライバーの感性とシステムの制御の乖離が大きいほど、ストレスを感じて使いたくなくなるのだ。

 注目のアイサイトだが、ステアリング操作はしないが、高速道路の追従走行の制御で車間距離を最も狭くすると、先行車との車間が詰まった時のブレーキ操作はかなり遅めの制御となっている。

 もっと遠い位置からダラダラとブレーキを掛けるメーカーもあるが、アイサイトはココ!というタイミングを見計らったかのようにブレーキを掛けてくれる。これまでの豊富な知見による効果だろうが、なかなか攻めたブレーキング。しかし、恐怖感はまったくなく、安心してシステムに任せられる。

 そのうえ、フロント16インチ、リア15インチのベンチレーテッドディスクブレーキを採用していることも、制御の信頼性アップに寄与している。

 サーキットなどで熱い走りを楽しんだ帰り道の高速道路でのクールダウンにはもってこいの時間だ。ステアリング操作はドライバーが行うというのはスポーツカーのBRZらしい操縦を楽しめる部分を残しておく。というメーカーの粋な計らいと言えるだろう。

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