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N-BOX対タント対スペーシア 最強スーパーハイト勢ガチ対決で一番いいのは…?

 2022年1月の軽乗用車の新車販売台数では、1位のホンダN-BOXをはじめ、2位ダイハツタント。そして5位にスズキスペーシアがランクインし、相変わらずスーパーハイトワゴンと呼ばれるカテゴリーのクルマが人気だ。

 この3モデルいずれも2021年秋~冬にかけて一部改良を行っていて、ようやく改良後のクルマに試乗することができた。

 そこで、ここでは軽自動車で人気のスーパーハイトワゴン3モデルの一部改良のポイントをおさらいしつつ、ベストバイのモデルを検証する。

文、写真/萩原文博

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1位のN-BOXをはじめベスト5に3台のスーパーハイトワゴンがランクイン

軽乗用車販売台数No.1のN-BOXの走行シーン

 インプレッションを紹介する前に、N-BOX、タント、スペーシア各モデルの一部改良のポイントを販売台数の多い順におさらいしておく。まずは、2021年暦年で軽自動車の販売台数NO.1に輝いたホンダN-BOXからだ。

 N-BOXは2021年12月16日に一部改良を実施。今回の改良では、日常の安心・快適さを向上させることを目指して、ユーザーからの要望が多かった「オートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキ」を全車に標準装備としている。

 また、同時にホンダ独自の運転支援システム「ホンダセンシング」の機能の一つである、アダプティブクルーズコントロール(ACC)は渋滞追従機能が追加され、高速道路における渋滞時の運転軽減を図っている。

 さらにNシリーズ10周年を機に、特別仕様車の「N STYLE+」を設定。これはNの様々な世界観を提案し、クルマ選びの楽しさを高めた新ブランド。

 第1弾となる「N-BOXカスタムSTYLE+BLACK」は、外観にブラックをアクセントカラーとしたフロントグリルやリアライセンスガーニッシュを採用。これにより、クールかつ一層の高級感を演出しているモデルだ。

 続いてはダイハツタント。2021年9月の一部改良で、「Xターボ」、「カスタムRS」、「カスタムRS“スタイルセレクション”」に電動パーキングブレーキやオートブレーキホールド機能。そして走行中カーブの差し掛かりでドライバーのブレーキをサポートし、安定した姿勢を保つコーナリングトレースアシストを標準装備し安全性をさせている。

 また「X」、「カスタムX」、「カスタムX“スタイルセレクション”」には、全車速追従機能付ACCをはじめ、電動パーキングブレーキ、オートブレーキホールド機能、コーナリングトレースアシストなどを含む「スマートクルーズパック」をオプションで設定し、装備を充実させている。

 同時にボディカラーを一部変更し、プラムブラウンクリスタルマイカやターコイズブルーマイカメタリックを追加している。

 そして最後のスズキスペーシアは2021年12月3日に一部改良を発表し、24日より販売開始した。今回の一部改良の注目は新サービスであるコネクテッドサービス「スズキコネクト」に対応したこと。

 この機能は様々なデータの送受信を可能とする車載通信機を搭載することで、万が一、エアバッグが展開するような事故にあっても、自動通報が作動してオペレーターがすぐに緊急車両の出動を要請。その他緊急事態が発生したときには、SOSボタン(手動通報)でもオペレーターにつながるスズキ緊急通報(ヘルプネット)をはじめ、トラブルサポート。

 さらに、専用のアプリをインストールしたスマートフォンによって、エアコン操作、ドアロック、ハザードランプの消灯。駐車位置の確認そして、急発進や急ブレーキの回数などを確認できる運転履歴など便利な機能を利用することができる。

 そしてスペーシア、スペーシアカスタムはフロントグリルの意匠を変更。スペーシアカスタムとギアはインパネカラーやシートなどのアクセント色を変更

 ギアはアルミホイールの意匠を変更した。ボディカラーもスペーシアはライトブロンズパールメタリック、スペーシアカスタムはインディゴメタリック2を新たに追加している。

 装備面でも、「スズキコネクト対応通信機」とセットで高画質・大型の9インチHDディスプレイのメモリーナビゲーションを「全方位モニター用カメラ」を設定。アダプティブクルーズコントロール装着車に車線逸脱抑制機能を追加。そしてハイブリッド GSを除くカスタムとギア全車にフロントガラス投影式ヘッドアップディスプレイを標準装備となった。

見た目は同じだが、走ると三車三様の個性を主張

一部改良した軽スーパーハイトワゴン御三家一気乗り
ダイハツタントの走行シーン

 今回試乗したのは、N-BOX L・ターボSTYLE+BLACK、車両本体価格205万7000円。タントカスタムRS“スタイルセレクション”、車両本体価格190万3000円。そして、スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ、車両本体価格188万3200円という3台で、すべてターボ・2WD車となっている。

 まず、3モデルの燃費性能は、WLTCモードでN-BOXカスタムは20.2km/L、タントカスタムが20.0km/L。そしてスペーシアカスタムは19.8km/Lとなっている。

 唯一、マイルドハイブリッドシステムを搭載しているスペーシアカスタムが最も低いという予想外の結果だ。自然吸気エンジンではN-BOXとスペーシアが21.2km/L、タントは21.0km/Lとなっている。

 車両重量は、N-BOXカスタムは930kg、タントカスタムも930kg。そしてスペーシアカスタムは900kgとスペーシアカスタムが30kg軽い。

 今回の試乗は街乗りを中心に行ったのだが、3モデルともに最高出力64psを発生するパワフルなターボエンジンを搭載しているので、車両重量の重さを感じることなくスムーズな加速をみせる。

 唯一、マイルドハイブリッドシステムを搭載しているスペーシアカスタムが、モーターのアシストで最もスムーズかと思っていると、加速時にインジケーターを見てもそれほどアシストしていない。

 エンジンパワーのみで加速していることが多く、逆にシステム用バッテリーの充電量がMAXになることもあるほどだ。マイルドハイブリッドの恩恵は自然吸気エンジンのほうが大きい。

スペーシアカスタムの走行シーン

 街乗りとはいえ、3モデル同時に乗ると、走りの味付けの差がハッキリと出る。一番人気のN-BOXは小型車や普通車をメインに作っているホンダらしく、最もしっかりとした走行性能を発揮する。

 背が高いクルマにも関わらず、3モデルの中で最も重心が低く感じられ、走行時のロール量も抑えられている。これだけしっかりと走れるのであれば、ファーストカーとして高速道路でロングドライブもラクラクこなせる。

 対して、スペーシアとタントは街乗り重視と思わせるソフトな味付けが特徴。リアシートにお子さんを乗せることを考えて、サスペンションの設定も柔らかめ。その結果、コーナリング時のロール量も大きく、速度域が上がると、リアサスペンションの落ち着きが物足りない。

 この両車では、スペーシアカスタムのほうがボディのしっかり感を感じる。タントは。助手席に採用したミラクルオープンドアの利便性の高さは魅力だが、走行性能ではN-BOXやスペーシアと比べると物足りない印象だ。

 N-BOXは小型車の代わりとしてファーストカーとして十分そのポジションを務められる一方で、スペーシアやタントは街乗りのセカンドカーというポジションに落ち着きそうだ。

 やはり新車販売台数No.1を続けるN-BOXの人気は、走行性能や利便性といったしっかりとした実力に裏打ちされたものであると言える。

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