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 ガソリンの価格上昇が止まらない。経産省資源エネルギー庁によると、2月14日時点でのレギュラーガソリンの全国平均価格は6週連続で値上がりし、171.4円となった。レギュラーガソリンの全国平均価格が13年ぶりに1Lあたり170円以上になったのを受け、政府は1月27日から石油元売り各社に補助金を出し始めているが、その補助金の上限5円を25円に引き上げるべく動き始めている。

 また、JAFでは2月7日、昨今のガソリン価格高騰を受け、「当分の間税率の廃止」および「Tax on Taxの解消」を求める声明を発表しているが、いったいこのガソリン価格上昇の見通しについてはどうなるのか、最新情報を国沢光宏氏がレポートする。

文/国沢光宏写真/Adobestock(トビラ写真/umaruchan4678@Adobestock)、ベストカー編集部

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■民主党時代に作られた「トリガー条項」は発令されないのか!?

2月14日現在、レギュラーガソリンの全国平均価格は171.4円。今年1月4日から6週連続の値上げが続いている(beeboys@Adobestock)

 何と! ガソリン高騰を受けて自民党は突如、「現在5円の補助金上限額を25円にする」と言い始めた。ちなみに後述するトリガー条項の値下げ額は25.1円のため、ほとんど同じだと思っていい。

 だったらトリガー条項を適用すればいいのに、と思うけれど、ここは意地やメンツの張り合い。ユーザーからすればガソリン価格さえ下がってくれたらいいです。果たしてどうなるか?  

 経産省の石油製品価格調査によれば、ガソリンの全国平均は1月4日の調査から6週連続で上昇しており、現時点での最新データとなる2月14日も171.4円と170円を超えている。民主党政権時代の2010年に「3カ月の平均価格が160円を超えたら25.1円分のガソリンに対する上乗せ税額を休止する」という、いわゆる『トリガー条項』を作った。

 2021年の10月4日から160円を超えているから、1月4日で3カ月です。当然ながらトリガー条項を適用しなければならないのだけれど、自民党は「オレが決めたワケじゃない!」と適用を拒否した。

「さすがにそれは酷いんじゃないか?」的な論議となったらしく、1月27日から石油元売り会社に対し、上限を5円とする補助金を出し始める。

■補助金投入後も上がり続けるガソリン価格

ガソリンスタンドでの末端価格を決めるのはあくまでスタンド自身。ユーザーとしては1円でも安いスタンドで給油したいのが心情(和久 澤田@Adobestock)

 ところが、ガソリンの全国平均価格は値下がりどころかジワジワ上がり続け、まったく効果を見せない。石油業によれば、「在庫が残っているから下げられない」とか「1月27日から5円以上値上がりしている」などともっともらしいコメントを出し、大手メディアも鵜呑みにしているけれど、デタラメです。

 もし、1月27日以前に仕入れたガソリンなら、少なくとも値上げすることなどおかしい。また、1月27日以後の仕入れ価格値上がり額も2~3円。値下がりするハズだ。

 なぜ5円の補助金を出しても値下がりしないかといえば、仕入れ価格が5円安くなっても「ガソリンスタンドの利益にしている」からだと考えます。

■ガソリンスタンドでの末端価格を決めるのはスタンド自身

 そもそもガソリンの末端価格はスタンドで決めている。近所にある同じ系列のスタンドでも最大8円くらいの価格差があるのを見ればわかるとおり、仕入れ価格が5円下がっても、スタンドが知らんぷりを決め込み、自分の利益にしちゃえば意味なし。

 では補助金を25円にしたらどうか? ガソリン価格には10%の消費税も上乗せされているため、経産省がガソリンスタンドをしっかり指導し、すべて反映させてくれたら27.5円下がる効果を持つ。現在170円なら142.5円ということ。

 私の家の近所のガソリンスタンドは165円だから、137.5円になるハズ。151円のコストコであれば123.5円! このくらい安くなったら嬉しい!

 参考までに書いておくと、軽油や灯油なども同じ補助額です。という意味からすれば、トリガー条項の対象はガソリンだけ。自民党案だと軽油を使う運送業界(排気ガスの浄化に使う尿素水も高騰している)にとっても朗報だと思う。

 トリガー条項でも自民党案の補助金25円でも何でもいいから、早いタイミングでガソリンや軽油価格を引き下げて欲しい。そもそも日本のガソリン、税金高過ぎです!

■ポイントは緊迫するウクライナ情勢とガソリンスタンドの経営姿勢

ウクライナではウクライナ軍と親ロシア派武装勢力との衝突が相次ぎ、緊迫した情勢が続いているが……(maksym@Adobestock)

  さて。素直に27.5円安くなるかといえば、これまた不透明。ひとつはウクライナ情勢。ロシアがウクライナに侵攻する可能性は依然として高い。ここでドンパチ始まったら、欧州が高い値で天然ガスや原油を買い始めるだろう。

 現状、ロシアから需要の25%程度の天然ガスを買っているからだ。原油価格も一段階上がるかもしれません(戦争の規模が限定的な値下がりする)。

 もうひとつは5円の補助金でも顕著だったスタンドの利幅稼ぎ。今の価格から20円安くなっただけで自動車ユーザーとしちゃ大満足だと思う。何の疑問も持たず給油すると思う。

 その間、スタンドは7.5円を利益に上乗せできる。まあ、スタンドの経営も厳しいだろうから理解はできます。スタンド減ると困るし。この点、ユーザー次第かもしれません。高いスタンドで売れなければいい。

 人間の不思議な習性で、多少高くても「いつものスタンド」を選びがち。できれば情報を『gogo.gs』などでリアルタイムの相場情報をしっかり入手し、1円でも安いところで入れるようにしたらいいと思う。

 売れゆきが落ちればスタンドの経営者だって価格を考えるようになる。大口需要者も価格の交渉担当を変えるなどして、スタンドとキッチリ交渉すべき。

 近所にコストコなどあれば、この機会に会員になるのもよい。平均して近隣のスタンドより15円/L以上安いと思う。4840円の年会費が必要ながら、20km/L走るハイブリッド車でも年間6000kmくらい走るのならモトが取れる(商品も安価だから燃料代以外だって得します)。

アクアなどハイブリッド車に乗っているオーナーならば、年間6000kmも走ればコストコの年会費4840円のモトは取れる

 近隣に複数のスタンドがないという人口密度の低い地域であれば、次のクルマに電気自動車を考えたらいかがか?

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