こんにちは、ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタントの八木陽子です。2022年の中学受験シーズンがひと段落しました。
そう、我が家の中学受験も無事終了しました。始まる前は戦々恐々としていましたが、2月1日に第一希望の学校に合格したため、あっけなくも穏やかな終わりとなりました。中学受験は、1日に午前・午後と2校を受けたり、1週間以内に相当な数を受けたりして決着をつける受験なだけに、泥沼の1週間になることを避けられ、とにかくほっとしたというのが正直な感想です。
さて、合格の喜びをかみしめた後に、気になるのが、入学金やら入学後のお金です。
第一志望とのダブル払い…
受験や教育費の特集の取材で、時々聞かれるのが、ズバリ、「入学金を節約する方法はありますか?」というもの。私立中学受験の入学金は、1校につき30万円~60万円までかかります。スパッと第一志望校に合格できればいいのですが、そううまくスケジュールが組めるとは限りません。合格発表の翌日ぐらいに支払わなければならない高飛車な学校もあり、押さえの学校の入学金は「捨て金」になり、進学する先の入学金とダブルで支払うことになります。
高校受験や大学受験でも、やはり同じような問題が起こります。もしかすると、中学受験はほぼ1週間で決着がつく分、入学金の被害が一番少ないかもしれません。そもそも、義務教育である中学校をわざわざ私立にする時点で、入学金をダブルで払うことに抵抗がないご家庭もあるかもしれませんが。
大学受験は、国立が第一希望の人は、基本おさえの私立大学の入学金を支払わないわけにはいきませんし、高校受験も、受験期間が2か月ぐらいは続くため、入学金の問題が起こりやすいです。コロナ渦で、入学金の返還を求めていた大学生の署名運動を思い出す人もいらっしゃるでしょう。
節約は難しいが、近年は変化も
そして、これらの入学金納付を回避または節約する方法はあるのかというと……残念ながら、なかなか難しいというのがファイナンシャルプランナーとしての回答です。
思い出すのは、私がファイナンシャルプランナーになったばかりの頃、2006年に、消費者契約法が施行されました。それを受けて、学納金返還訴訟において画期的な変化が起こりました。学納金返還訴訟とは、学校に合格後に支払った学納金(入学金や授業料等)を入学辞退した場合に返還請求する訴訟のことです。消費者契約法の前は、学則などで「いったん納入された学納金は、いかなる理由であろうと返還しない」という趣旨のことが定められおり、ごく一部しか返還が認められませんでした。
ところが、施行後は、入学金は返還不要、授業料等は3月31日までに入学辞退を申し入れれば全額返還すべきという判決が出されるようになったのです。2006年以前は、受けもしない授業のお金を払っていたのだとつくづく恐ろしく思ったのを覚えています。
ただし、前述したように、授業料のみならず、入学金もかなりの負担であることには変わりません。しかもダブルで支払うとなると尚更です。どうすればいいのか、2つのポイントをお伝えします。
事前にできることはある!
一つが、早い段階で志望校のスケジュールを練ること。受験日が重ならないことも大切ですが、入学金のスケジュールもあわせて調べてみましょう。特にこだわりのない学校で、入学金の納付期限に間に合わない場合は、別の受験校に変更することを検討しましょう。納付期日をかなり先まで待ってくれる学校、入学金を割り引いて待ってくれる学校もあります。
そして、二つ目は、特待生制度がある学校を探すことです。特待生なら、入学金や授業料が一部もしくは全額免除ということがあります。学校選びの際に参考にしましょう。
長々とお金のことを述べてきましたが、ただでさえ、子供の受験に対する親の心配は計り知れないもの。我が家の中学受験も、コロナ禍でもあり、最後まで緊迫感がありました。また、娘の友人たちも、塾通いに加え、最後は、個別指導や家庭教師までつけて迫真のラストスパートをかけている家庭も多数見ました。
経験して言えるのは、受験を乗り越えるには、言うまでもなく学力アップが必要です。しかしそれに加え、経済力、体力、メンタル力も必要でした。子供の学力は、最終的にどれぐらい伸びるか、どの家庭も事前に予想するのは難しいはずです。しかし、お金や体力は、ある程度準備しやすい要素ではと思います。
できる限りお金のことは事前に予想して、保護者の方々の受験期の負担を減らすことができるようにと思います。