資源エネルギー庁は、2月14日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売り価格が、6週連続の値上がりで、先週に比べて20銭高い、1Lあたり171円40銭と発表した。
2月10日以降、1Lあたり5円の補助金(小売り価格の上昇を抑制する燃料油価格抑制制度。ガソリン、軽油、灯油、重油が対象)が石油元売り各社に投入されているが、補助金なしの予測175円20銭より3円80銭抑えられているという。
ウクライナ危機の影響でさらに値上がりが予想されるなか、2月18日、政府は上限5円を見直す方針を固め、25円前後まで引き上げる方向で調整している。
私たち消費者にとっては、いつガソリン価格が下がるのかとやきもきしている人が多いかと思うが、経済産業者では「直接補助金を支給する制度ではありません。また、小売価格の高騰を避けるための制度であり、価格を引き下げる制度ではありません」と注釈が書かれており、さらにガソリン小売価格はガソリンスタンドなどの小売り業者に経営判断になるため、効果は不透明という部分もある。
だったら、もう自分でガソリン代をなるべく浮かせるしかないか……ということで、どうすればガソリン代をなるべく消費せずにクルマに乗り続けることができるか、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(トビラ写真/Deemerwha studio@Adobe Stock)
■既にガソリン価格補助金制度はあてにならない
1Lあたりの補助金15円まで引き上げないとレギュラーガソリン170円は維持できないとも言われているが、この状況に際し、萩生田光一経済産業相は「現時点で5円の上限を引き上げることは考えていない」と発言したが、国民生活や経済活動への影響を最小化する観点から、不断の検討をしていきたい」とも語っている。今後どうなるかまだまだ不透明だ。
そもそもいつまで暫定税率を継続するのかと、ドライバーの怒りの声がネット上でも溢れている。結局、我々にできることは、クルマの重税ぶりを解消してくれそうな政党を選挙で選ぶか、自分で使う燃料を少しでも節約するか、といった涙ぐましい努力なのである。
だから今は、ホンのちょっとでも燃費を向上させられるのであれば、実行するべきだ。小さな積み重ねでも年間で考えれば燃料費の節約効果はけっこう大きなモノになる。
そのためにはまず、自分の愛車の通常時の燃費を正確に知る必要がある。そうでないと、どれくらい燃料を節約できたか実感できないので、達成感が希薄になる(それでも実質的に燃費が向上していれば、出費は抑えられるのだが)。
クルマのメーターパネルに表示される燃費計と、満タン法による燃費との差も把握しておきたい。クルマの燃費計は燃料噴射量と走行距離から算出されており、車種によってはかなり正確だが、実際の燃費は満タン法が確実だ。
もっとも満タン法も気温やどこまで入れるかによって微妙に燃費が上下する。つまり併用することで、より正確さが追求できることになる。その上で、燃費向上策をいろいろ試してみると、燃費節減効果に対する満足度も高まるハズだ。
政府が石油元売り各社に補助金支給を始めたのに なぜガソリン店頭価格の上昇は続くのか?
■タイヤの空気圧を定期的にチェックすることで燃費の悪化を抑え込む
タイヤの空気圧をチェックするのは、ドライバーの務めの一つといえる作業だ。特に気温が下がる1、2月は、タイヤの空気圧も下がりやすいので、燃料給油のついでにタイヤ空気圧を点検しよう。
最近、セルフスタンドが多いので、ガソリンスタンドの店員にお願いしづらいという状況はわかるのだが……。
タイヤの空気圧は概ね1ヵ月で5~10%(10~20kPa)低下していき、空気圧が50kpa不足の場合、市街地では2.5%、郊外では4.2%、高速道路では4.8%も悪化すると確認されている。
そして少しだけ高めに設定すると燃費対策の効果が高まる。次に測る時までに抜ける分と、転がり抵抗を減らすために高めにするのだ。高すぎると乗り心地が悪くなったり、クルマを傷める原因になるから、せいぜい標準の1割増し程度にしておこう。
■クルマを倉庫代わりにしない、使わない荷物はクルマには積まない
使わない荷物を積載していることは、収納代わりに使うことはラゲッジスペースの有効活用という見方もできるが、一般的には100kgの荷物を積んでいると3%の燃費悪化につながると言われている。
これは平均値であり、信号の多い都市部の一般道ならもっと影響は大きいハズだ。
100kgも無駄な荷物を積んでいないとしていても、ゴーストップの多い走り方であれば確実に燃費に悪影響を与える。1%の悪化でも月に500km走るとして燃費が10km/Lなら年間600L、6Lの悪化は1000円の出費と同じだ。
中身は入っていないからとルーフにジェットバッグやルーフキャリアをつけっぱなしにしているのは、空気抵抗をかなり増大させている。特に高速道路を走行する場合は、手間でも外して保管したほうが燃費は向上するハズだ。
■アイドリングストップも状況に合わせて使い分ける
無駄なアイドリングを止めることは、誰でも気を付けることでできる燃料削減策だ。荷物の積み下ろしや乗員を待っているちょっとした間、ついついアイドリングしたままにしているドライバーをみかけることも多い。
夜間であれば灯火類を点けて周囲に存在をアピールするなど、発電目的からアイドリングする必要もあるが、昼間であれば無駄なアイドリングは1秒でも早く停止すべきだ。
一般的に2000ccの乗用車で10分間アイドリングすると130ccのガソリンを消費するといわれている。これだけで22円(リッター170円として)程度の出費になる。
一度に10分アイドリングしなくても、1分間のアイドリングを1日5回、それを年間100日行っていれば、それだけで1000円分は燃料を無駄に使っている。軽自動車ならこの半分だと思っていればいいだろう。
さらにエアコンを使っているとアイドリング時の燃費が3割から4割悪化すると言われているが、これは冷房や除湿が必要な時には、アイドリングさせてエンジンでコンプレッサーを駆動させているのだから、それほど無駄な行為ではないのだ(もっとも意味もなくエアコンを入れっぱなしにしてアイドリングさせているのは、無駄以外の何者でもない)。
アイドリングストップ車であれば、デフォルトで積極的にアイドリングを停止するモードになっているが、一時停止や信号が青になる直前の停止などかえって燃費を悪化させるアイドリングストップもある。
キャンセラーを装着して、デフォルトがストップしないようにして、長い信号待ちなどの際に自分で作動させるようにするのも燃料節約になる。
アイドリングストップ機構は常時利用していると、燃費は良いかもしれないが、バッテリーの劣化を進めてしまう。それもアイドリングストップ車のバッテリーは4万~5万円する高いモノだから、頻繁なアイドリングストップはトータルで考えると節約にはなっていないこともあるので注意しよう。
また冬の時期の暖機運転も現在販売されているガソリン乗用車であれば原則必要ない。エンジンをかけたらすぐに発進し、ゆっくり走りながらクルマを温めるウォームアップ走行を行いとよい。
ただし、-20°程度の極寒冷地や1ヵ月以上、クルマを動かしていなかった場合は数十秒の暖機が必要。
■車間距離をキチンと取って先読み運転
車間距離をキチンととって走ることも燃費を悪化させないコツだ。車間距離が短いのは、自然渋滞が発生するメカニズムの一つでもあるが、前走車の加減速に対しシビアに反応しなくてはならなくなり、小刻みな加減速が要求されることになる。JAFによれば、車間距離が短いことによって市街地で2%、郊外では6%も燃費が悪化した、というデータもある。
なるべく一定速で巡航し、前走車の一時的な減速はアクセルを戻して車間距離が縮まる程度で吸収できれば、ブレーキによって減速して再び加速するという無駄を省ける。これは渋滞を吸収する運転でもあるが、燃費の良い(なおかつブレーキパッドを長持ちさせる)運転でもあるのだ。
ただし空け過ぎると、後続ドライバーがイライラしてあおり運転を誘発することになるので、ほどほどにすることだ。目安は距離ではなく、通過時間で測るといい。電柱や路面の継ぎ目など目印をつけて、前走車が通過して2秒~3秒後に自車が到達する程度の間隔が、安全面からもちょうどいい車間距離だ。
ふんわりアクセルという表現もある。これは発進時にいきなりアクセルを大きく踏み込まず、ジワリと踏み込む操作のことだ。クリープでタイヤが一転がりしてからジワッとアクセルを踏み、低速ギアでの加速を少なくして早めにシフトアップさせる。
スタート時はふんわりアクセルを5秒で20km/hに到達するのが目安。ただしゆっくり加速しすぎるのは、道路環境によっては燃費を悪化させる。
次の停止を見込んで、早めに加速を終えて巡航に入る、そして減速時には早くアクセルを戻すのが、街でも郊外でも好燃費を引き出すコツだ。
一定速度で走行していても、最新車のコンピュータ制御ではわずかな踏み込みで燃料噴射量が変わってくるのでアクセルの踏み込みを一定にすることも省燃費運転につながる。
■減速時は早めにアクセルを戻しエンジンブレーキを使う
数十m先など遠くの信号が赤になっているのを見たり、一時停止の標識を見たら、早めにアクセルから足を離してエンジンブレーキを使って減速しよう。
エンジンブレーキは燃料カットされるので、燃費運転にもつながるからだ。坂道の下りでも積極的に使うとよい。
ちなみに1日に25回、50m早くアクセルオフにし、1ヵ月30日運転した場合、1年間で450km分のガソリンが節約できる。燃費がリッター15kmとすると30L分、金額にすると年間4800円(リッター160円換算)節約できることになる。
■無意識のうちにやっている運転動作を改めよう
みなさんは普段、一般道でどんな運転をしているだろうか? 都内で平日の幹線道路を走っていると、よくみかけるのがせっかち運転。
渋滞の始まるのが見えるのにアクセルを踏んだり、目の前の信号が青になっても走り出しても、その先の信号が赤でも加速し続ける。つまり、ブレーキをかけるのがわかっていても、せっかちなのか、車間を開けないように走り、直前でブレーキをかける人が多い。
流れから少し早くせっかちな運転で走っていて、追い抜いたクルマから数十秒しか離れず、信号待ちで追いつかれていたという状況もたまに見る。
50m以上先の状況を見て、渋滞が始まっていたり、赤信号の場合、後続車がいなかった場合は加速をやめて速度を徐々に落とす。後続車がいた場合は速度を落とすと迷惑にもなるため、徐々にスピードを落とし、アクセルはなるべく踏まないようにしよう。
■高速道路ではクルーズコントロールを使う
高速道路の本線車道で速度指定のない区間に限り、普通乗用車の最高速度は100km/h、最低速度は50km/hと決められている。低い速度ほど燃費がいいのだが、一定走行ではなく、80~100km/hなど幅を持たせても燃費はよくない。最もバランスのよいのは、90km/hの一定走行とされている。
一定速度の走行というのもキモだ。とはいえ90km/hをキープする走りはなかなか至難の業。ここで登場するのはクルーズコントロールである。自分の右足ではなかなか90km/h一定の速度を長時間キープするのは厳しいからだ。
■冬場にエアコンのスイッチをONにしていないか?
意外に知らない人が多いのが冬場のエアコンの使い方。クルマの空調は家のエアコンとは違ってエンジンの熱を車内に取り込むことで暖めるため、冬場の暖房使用時にはエアコンのスイッチをONにする必要がない。冷房や除湿、曇り止め以外にはエアコンスイッチをこまめにオフにしよう。
エアコン使用時に早く冷暖房を効かせたい時は内気循環、秋や春先にはエアコンをOFFにしえ外気導入すると燃料の節約になる。
急がず、慌てずが基本だが、流れに乗らず周りに迷惑をかけるノロノロ運転をしないようにしたい。あおり運転のもとにもなるからだ。
やはりエコドライブを続けるコツは、給油ごとに燃費を割り出し、ノートなどに書き込んでいくことだろう。エコドライブをやはり継続していくことが大事。ダイエットと同じく、痩せていけば(燃費がよくなっていけば)、低燃費運転が楽しくなっていくと思う。
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投稿 6週連続値上がり レギュラーガソリン170円時代! こうなったらとことん「ガソリン代ケチケチ大作戦」をやるしかない! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。