オミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンの開発が、当初の見込みより遅れる可能性が高いことがわかった。米モデルナ、独ビオンテック両社の最高経営責任者(CEO)が海外メディアのインタビューに応じ、先月始めた臨床試験で有効性などを確認するのに時間がかかっていることを明らかにした。両社とも最短で3月中の実用化が可能との見通しを示していた。
モデルナのステファン・バンセルCEOによると、同社が開発中のオミクロン株に特化したワクチンは、サルを使った前臨床試験で既存ワクチンよりも予防効果が低い可能性が示された。ヒトに対する臨床試験は先月から米国で実施している。このワクチンを単味で実用化するか、既存ワクチンと合わせた2価ワクチンにするかは試験結果を見て決める。8月までには追加接種用ワクチンとして供給可能にしたい考え。1月時点では、3月中に試験結果が出て実用化できる可能性も示していた。インフルエンザや他の呼吸器系疾患にも対応したユニバーサルワクチンも開発中で、最短で来年8月の実用化を目指す。
ビオンテックも米ファイザーと共同でオミクロン株に特化したワクチンの臨床試験を先月から実施し、3月中にも実用化する目標を掲げている。だがビオンテックのウグル・サヒンCEOによると、当初の見込みより臨床試験のデータ収集に時間がかかっているため、「数週間」遅れる可能性が高い。オミクロン株の感染流行がピークを過ぎた地域も増えていることから、同株に特化したワクチンの必要性も踏まえて再検討する。