独ビオンテックは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの製造施設をアフリカで立ち上げると発表した。コンテナ型の設備を組み合わせて運用する工場。ビオンテックの製造技術を移転しやすく、短時間で現地生産を開始できる。まずルワンダとセネガルに工場を立ち上げ、2023年にも稼働する。新型コロナウイルスや域内特有の感染症などに対応したワクチンの低コストな安定供給体制を構築する。
導入するのは、各製造工程の設備を配置したコンテナ6台を組み合わせて稼働するモジュール方式の工場「ビオンテイナー」。ビオンテックの独工場で各コンテナ内に製造設備を構築した後、トラックや船、飛行機などで運び、現地で組み立てて工場を完成させる。従来型の工場より短期間で稼働でき、技術移転の品質管理もしやすい。各コンテナはクリーンルーム環境でGMPに対応する。
プラスミドDNAをmRNAに転写し、精製・濃縮するまでの工程と、mRNA原薬を脂質ナノ粒子(LNP)などに封入する製剤化工程の2モジュールで立ち上げる。生産能力はコロナワクチン換算で年最大5000万回分。年央には建設を始め、下期には設備を格納したコンテナがアフリカに到着する予定。1年以内に工場として稼働させる。最初の拠点はセネガルとルワンダで、南アフリカにも展開する予定。製剤の充填・包装工程はガーナなどで現地企業に委託する。順調に運用できれば、ビオンテックが開発中のマラリア、結核などのワクチンの治験薬も製造する予定。