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財務省は17日、令和3年度(2021年度)の国民負担率を発表した。発表によると、前年度から0.1ポイント上昇し、48.0%で過去最大だった。

国民負担率は、国民の所得に占める税金や社会保険料の割合。1970年(昭和45年)に24.3%だった国民負担率は、少子高齢化による社会保障の負担増で年々上昇。2013年には初めて40%を突破した。その後も上昇は続き、ここ数年は44~46%を推移していた。2000年の国民負担率は35.6%で、この20年間で12ポイントも上昇していることになる。

一揆がおきてもおかしくない

このニュースに、ツイッターは国民の嘆きの声一色に染まった。

国民負担率高過ぎじゃないですか。五公五民かよ。失策の責任は誰も取らずに税金は搾り取る。自分達の経済政策の失敗を国民に押し付けないで欲しい。

変わらないのは国会議員のバカ高い議員報酬だけ。コロナで取り返しつかない感染爆発を引き起こしても政治責任は全然とらない。そして国民負担はどんどん跳ね上がる

国民負担率…48%。これで色々様々自助の国

端的に言えば稼ぎの半分をピンハネされてるってこと

五公五民なら一揆がおきてもおかしくない。民主主義の国なのにどうしてこうなった。

「五公五民」は、江戸時代に農民から収穫の半分を大名などの領主が徴収した言葉。今日も「重税感」をあらわす際にしばしば引用される。

財務省の数字の出し方は?

財務省
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それにしても疑問に思うのが、財務省の発表の仕方だ。財務省は、日本の国民負担率とともに欧米先進国とOECD加盟国の国民負担率をセットで発表しているが、この理由はなんだろうか。

日本の国民負担率は、アメリカよりは高いもののドイツやスウェーデン、フランスよりも低い。OECD35カ国の中で日本の国民負担率の大きさは25番目だが、財務省の発表の仕方はことさらにそれを強調しているように見える。

ただ、国民負担率が日本より大きいフランスは「お金がなくても子どもを産み、育て、教育を受けさせられる」と言われるほど、社会保障が手厚いことで知られている。18歳以下の子どもはもちろん、妊娠6カ月以上の妊婦の医療費は全面的に無料だ。

スウェーデンは「福祉大国」と言われているほど手厚い社会保障で有名だ。たとえば、18歳以下の医療費は無料で、18歳以上であっても医療費の自己負担額は年間で1万円程度と言われている。子供1人に対して夫婦合わせて最大480日の育児休暇を取得でき、その間の給与の80%が保証されている。確かにフランスもスウェーデンも国民負担率は日本より高いが、日本とは比べ物にならないほど保障も手厚い。

財務省が、社会保障の中身に一切触れずに国民負担率の多寡だけを発表して日本の国民負担率がOECD35カ国中25番目だと強調するのは、「世界の中では日本の公民負担率は低い」と国民をなだめる意味なのか。それとも「だから将来、まだまだ国民負担率を上げる余地がある」という意味なのだろうか。