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 スタッドレスタイヤの最高峰に君臨する横浜ゴムのアイスガード7。深田恭子さんのCMにメロメロになって思わず購入したユーザーも多いはず。セブン、セブン、セブーンということで今回は少し毛色を変えてFRスポーツに履かせてみました。

 雪道だけでなく凍結路でどんどん振り回してたのしも……、いやインプレッションをしてきました。会場は長野県の女神湖。冬期は凍結しており、スケートリンクのような低ミュー路でタイヤの性能が丸裸。

 クルマは新型BRZ!! 最新国産スポーツカーとのアイスガード7の相性を徹底的に深堀りチェックします。

文:鈴木直也/写真:池之平昌信【PR】

【画像ギャラリー】氷上でも超ド級の制動力!! BRZがヒラヒラと舞う姿を見逃すな(6枚)画像ギャラリー

■「史上最高の氷上性能」ってマジにすごいのよ!!

高性能のスタッドレスタイヤ+FR車+氷上となればもはや取材そっちのけで楽しんでしまう……

 4年ぶりにモデルチェンジしたヨコハマタイヤの新型スタッドレスは、その名も“アイスガード7”。20年の歴史を刻んできたアイスガードシリーズの最新作で、ヨコハマスタッドレス史上最高の氷上性能を誇る最新作だ。

 開発のテーマとなったのは、まず氷上性能のさらなる進化だが、氷上だけではなく圧雪路でも高いグリップ性能を両立させ、しかもそれをライフ長期にわたって維持することを目指したという。なんともはや、じつに欲張りな目標を掲げた野心作なのだ。

 ここ10年以上にわたって、スタッドレスタイヤの競争領域は何といっても氷上性能だったから、各メーカーともアイスバーンでいかにきっちりグリップさせるかについては、熱心な研究開発が行われている。

 しかし、氷上性能だけにリソースを振り向けると、耐久性やオンロード性能にしわ寄せがくる。アイスグリップをさらに高めながら、両立の難しい他の性能要件もハイレベルでまとめること。これが、“アイスガード7″に課された高いハードルだった。そのために投入された技術として重要なのが、コンパウンド、タイヤ構造、ブロックデザインの3要素だ。

スノー性能もしっかりと追い求めたアイスガード7。相反する要素を両立させる開発陣をほめたたえたい!!

 アイス路面を掴むコンパウンドは、アイスガード7専用に開発した「ウルトラ吸水ゴム」。新マイクロ吸水バルーンと吸水スーパーゲルが氷の表面にある水分を吸収し、シリカとオレンジオイルSを添加したソフトなゴムが路面に密着する。

 タイヤ構造としては、ブロック剛性の強化と接地面積の拡大が重要なテーマだ。トレッドパターンの基調デザインは、イン側に幅広リブの“パワーコンタクトリブEX”、センター部に縦長ベルトブロックの“マルチベルトブロックEX”、アウト側にはブロックの倒れ込みを抑制する“コレクティブビッグブロックEX”を配置。

 また、ブロック全域にわたって溝エッジ量を大幅に増やし、圧雪路ではエッジ効果によるグリップが威力を発揮する。これら新技術の積み重ねによって、氷上性能で14%、雪上性能で3%の向上を実現しているというから恐れ入る。

■冬の高速道路もワインディングも安心感タップリ

女神湖のコンディションはかなり極端だが凍結路面でのスタッドレスタイヤの性能はまさに事故やトラブルに直結する。ベストカー編集部ではアイスガード7激推しです

 今回の企画は、この“アイスガード7″を新型BRZに装着し、氷上ドライビングのメッカ女神湖に持ち込んでその真価を確かめようというのが趣旨。まずは音羽のベストカー編集部をスタートして、関越道佐久ICを経由して女神湖に向かうこととなった。

 出発したのが夜8時過ぎだったから、関越道は交通量も少なく走りやすい状況。用意されたBRZはAT仕様でアイサイト装備。ACCを制限速度にセットしてお気楽なクルージングで距離を稼いでゆく。

 こういうごく日常的なシチュエーションでは、いわゆる「冬タイヤ」に共通するマイルドな乗り味が支配的となる。もともとBRZが装着していたタイヤはミシュランPILOT SPORT 4で、けっこうハイグリップなスポーツ系タイヤ。シャシーは当然このタイヤを前提にセッティングされている。

 こういうスポーツカーに平均的な「冬タイヤ」を履くと、シャシー側の速い動きにタイヤの反応が遅れがち。これが違和感につながるケースがままある。
その点、“アイスガード7″はかなり優等生といっていい。もちろん、ガツンと速いステア操作をすれば遅れは出る。

 しかし、「後からドーン」と揺り返しが来るのではなく、反応がゆっくりになるだけで位相ズレが少ないのが好ましいのだ。高速を降りて信州の山道に入ると、走りっぷりはさらに「イイ感じ」になってくる。

 夜も更けてきて外気温はマイナス2度くらい。ところどころに残雪があり、昼間溶けた雪が凍結したアイスパッチも存在するというシチュエーション。いよいよ、“アイスガード7″が本領を発揮する条件が整ってきた。

 こういう路面をいわゆる「夏タイヤ」で飛ばすと、突然足元をすくわれるように姿勢を乱すことがあるが、“アイスガード7″はコントロール性が抜群。もちろん、アイスパッチに乗ればズルッとくるが、トランジェント領域がスムーズなので修正舵も余裕。何より、心理的な安心感が絶大なのがいい。

 深夜のワインディングをエンジョイしつつ宿泊場所に到着したのは深夜11時。今夜は早く寝て、明日の氷上走行に備えることといたしました。

■氷上でもクリッピングポイントにつける超性能

氷上でFR車のリアを出すことは簡単。いかにクリッピングまでフロントタイヤを向けるかがスタッドレスタイヤのマッチングで重要だ。アイスガード7はその性能も心配なし!!!

 明ければドピーカンの快晴。気温はマイナス5度ほどにキリッと冷えて、早朝の女神湖は最高の氷上走行日和でわれわれを迎えてくれた。ただでさえ、走りが楽しいFRのBRZ。そこに、いま手に入る最高レベルのアイスグリップを誇る“アイスガード7″の組み合わせだ。

 これが面白くないはずがない。まずは、VSC、TRCなど、すべてのスタビリティ制御デバイスをオフ。滑りまくる後輪との格闘をひたすらエンジョイする。

 本当を言うと、真面目にスタッドレスタイヤの限界性能を評価するなら、ABS作動時くらいの低いスリップ率で大人しくテストすべきなのだが、女神湖にFRスポーツを持ち込んでおいてソレは野暮というもの(編注:一度走り始めるともう楽しくてたまらないんです)。

氷上の制動風景。しっかりと水を吸水してグリップを生み出している(タイヤが止まり地面が流れているのがわかるだろうか)

 BRZの後輪は常に滑りっぱなしで、女神湖のコースを横向きに滑ってゆく。正直に言って、これがめちゃめちゃ楽しい。ただ、こんな走らせ方をしていても、他車と乗り比べれば“アイスガード7″の実力が見えてくる。

 FRだからテールを滑らせて向きを変えるのは容易だけれど、クリッピングポイントに着けるか否かは前輪のグリップ如何。リアが暴れていても、“アイスガード7″を履いたBRZは明らかにアンダーが少なく、アクセルワークに気をつけさえすれば確実にクリッピングポイントを捉えることができるのだ。

 こういう氷上グリップの実力をブレーキング側に振り向ければ、ミラーバーンの交差点でもきっちり停止できるし、それが安心感につながる。普通のファミリードライバーにとって、“アイスガード7″は楽しいというより頼りになるタイヤなのだ。

 つまり、優れたスタッドレスタイヤは、ガンガン滑らせてもヨシ、安全を優先して慎重に走ってもヨシ、ということ。BRZを滑らせてただ遊んでいただけではなく、“アイスガード7″の進化と真価について、われわれもちゃんと考えていたのでございますよ、ほんと。

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