米国時間2月16日、Spotify(スポティファイ)はポッドキャスト関連の買収を新たに2件発表した。今回は2つともビジネスの測定と分析に関わるもので、ポッドキャスト測定サービスのPodsights(ポッドサイツ)と分析プラットフォームのChartable(チャータブル)を買収する。買収金額は公表していない。
Spotifyの説明によれば、ポッドキャストの広告主にとって測定と属性はまだ明らかになっていない最大の問題で、これをPodsightsの買収によって解決したいという。まずはPodsightsのテクノロジーを利用して、Spotifyの広告主がポッドキャストの広告による影響と行動をもっと正確に測定できるようにする。ただし将来的には、音楽の間に流れるオーディオ広告、ビデオ広告、ディスプレイ広告といった他の広告フォーマットにも測定ツールを広げたい考えだ。
Podsightsに勤務する40人のフルタイムの従業員は全員、1つのユニットとして統合されてSpotifyにジョインする。Spotifyによれば、現時点でこのチームを再編する予定はないという。
もう一方のChartableはMegaphone(メガフォン)に追加される。ラジオ放送局が番組をポッドキャストに変換できるようにするWhooshkaa(ウーシャカア)の買収に続くものだ。Chartableは聴取者に関するインサイトとプロモーションのツールであるSmartLinksとSmartPromosをMegaphoneと統合し、ポッドキャスターがリスナーベースを詳しく知ってビジネスを成長させることに貢献する。
ChartableがMegaphoneと完全に統合されたら、SpotifyはスタンドアローンのChartableプラットフォームを終了する。ただしそれまでは、新規と既存の両方のパブリッシャーと広告主が引き続きクライアントとしてChartableプラットフォームを利用できる。
ChartableはPodsightsより小規模で従業員は11人だが、Spotifyはこちらもすぐに何らかの変更をする予定はないとしている。
これらの独立した企業がSpotifyの社内に取り込まれることに対する懸念があるかもしれない。しかしSpotifyは、ポッドキャストのブランドや代理店といったクライアントからの信用を維持するために、今後しばらくはPodsightsのチームはSpotify社内の他のサービス機能からは独立して運営するとしている。
Spotifyの名前はここ数週間、独占契約で配信しているJoe Rogan(ジョー・ローガン)氏のポッドキャストが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の誤情報を拡散しているとしてメディアに取り上げられている。これが反発を生み、Neil Young(ニール・ヤング)氏など複数のアーティストが抗議としてSpotifyから自分の音楽を引き上げた。しかし今のところこのような批判は、ポッドキャストおよびポッドキャストのテクノロジーに投資するというSpotifyの全般的な計画には影響していない。同社は、ポッドキャストには長期的に見て売上を加速する可能性があると考えているからだ。
Spotifyのコンテンツ&広告ビジネス最高責任者であるDawn Ostroff(ドーン・オストロフ)氏は発表の中で次のように述べている。「我々はまだデジタルオーディオの初期段階にいて、この分野における広告の可能性は計り知れないほど大きいと考えています。ポッドキャストテクノロジーのプレイヤーであるPodsightsとChartableの買収は、我々がデジタルオーディオを次のレベルへと進めるための重要なステップで、広告主とパブリッシャーのそれぞれに大きな影響があることは明らかです」。
Spotifyは比較的小規模なテック企業を買収する際の金額をすぐには公表しない傾向があるが、後になってSEC提出書類でわかることはしばしばある。例えば、2021年6月にポッドキャスト発見企業のPodz, Inc.(ポッズインク)を4500万ユーロ(約58億8600万円)で買収したことを明らかにした。買収後にSpotifyのライブオーディオプラットフォームであるGreenroom(グリーンルーム)になったBetty Labs(ベティ・ラボ)の買収金額は5700万ユーロ(約74億5600万円)だった。Megaphoneはポッドキャスト関連の買収としては最大規模で、1億9500万ユーロ(約255億600万円)だった。
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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)