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 三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)の株主構成が、2023年4月に三菱ガス化学がマジョリティーを取る体制へと切り替わる。それに先立ってMEPが扱っていたポリアセタール(POM)などのエンプラ素材は、三菱ガス化学の完全子会社に移管され、MEPはポリカーボネート(PC)の専業メーカーとなる。今回の再編は事業の成長に不可欠な決断だったといえる。

 耐熱性や機能性に優れるエンプラは、かつて、それ自体が付加価値素材の位置づけであり、また市場規模が小さく投資金額が大きいことから、さまざまな企業同士での合弁工場も多く設立されてきた。しかしPCに代表されるように、新興メーカーによる新増設ラッシュなどがあり、素材だけで利益を上げられる時代は過ぎ去った。より機能性を高めた樹脂グレードやコンパウンド開発、顧客向けのきめ細やかな技術サービスなどで付加価値を加えることが存在意義に直結している。

 そうしたなかで、時代の変化、要請に応じて速やかで、かつフレキシブルな対応が求められる。しかし、MEPは三菱ガス化学と三菱ケミカルの折半出資会社であり、大きな決断をするのに時間を要することが課題となっていた。しかも三菱ケミカルは部分バイオ由来のイソソルバイドPC「デュラビオ」の事業拡大を積極化しており、三菱ガス化学はCO2を原料とするPCの開発に取り組むなど独自の動きも強まっている。いま再編を決断したのは必然だったといえよう。

 POM業界も大きく変動している。20年にはダイセルがセラニーズから株式を買い取り、ポリプラスチックスを完全子会社化した。先んじて12年にポリプラスチックスとセラニーズが締結した包括契約を皮切りに、互いが世界で競い合う関係となっていた。一方、MEPは日本、中国、韓国、タイに生産拠点を持つものの、韓国拠点のKEP社は独自に製造販売を手がけていた。20年末には三菱ガス化学がセラニーズとの間

で、KEPから出資比率に応じて製品を引き取り販売することで合意した。今回の再編と併せてMEP、KEPの両ブランドを融合して展開し、成長市場のアジアでプレゼンスを大きく高めることを狙う。
 三菱ガス化学、MEP、他のグループ会社など、それぞれが別々に開発、提案していた炭素繊維強化熱可塑性プラスチックなども今後、より緊密に連携して市場開拓に臨めるようになるとみられる。長年の検討の末、ようやくたどり着いた資本関係の再編を今後の成長に存分に生かして欲しい。

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