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Intel(インテル)のCEO、Pat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、2021年3月に同社のファウンドリ戦略を発表した際、これをIDM(Integrated Device Manufacturing、垂直統合型デバイスメーカー)2.0と名づけた。当時、同社はその第1弾として、200億ドル(約2兆3140億円)を投じてアリゾナ州に2つの新工場を建設することを発表した。また、他の半導体メーカーにファウンドリサービスを提供するプロバイダーになる計画も明らかにした。

その計画に沿って、同社は米国時間2月15日、カスタムファウンドリサービスを提供するTower Semiconductor(タワーセミコンダクター)を54億ドル(約6250億円)で買収すると発表した。

ゲルシンガー氏は、この動きが同社のビジョンに完璧に合致すると見ている。「Towerの専門技術ポートフォリオ、地理的リーチ、深い顧客関係、サービス第一の運営は、Intelのファウンドリサービスを拡大し、ファウンドリの世界的主要プロバイダーになるという当社の目標を前進させるのに役立ちます」と、同氏は声明で述べた。

IDM2.0は、半導体製造に対する3つのアプローチからなる。Intelのグローバルな工場ネットワーク、サードパーティの生産能力の活用、そしてIntelファウンドリサービスの構築だ。これにより、Intelは単に自社ブランドのチップを製造するだけではなく、カスタムチップに対するニーズの高まりに応えることができるようになる。

Moor Insight & Strategiesの創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムアヘッド)氏は、このカスタムチップこそが今回の取引の鍵だと話す。「Intelの買収は、これまで製造できなかったタイプのシリコンを製造できるようになることを意味します。具体的にはRF、センサー、シリコンフォトニクス、電源管理チップなどです」と述べた。

半導体産業を追跡するSemiAnalysisのチーフアナリスト、Dylan Patel(ディラン・パテル)氏も、Tower買収はIntelにとって賢い行動だと同意する。「Towerの買収は、Intelのファウンドリサービスにおいて、プロセスノードの種類によって必要とされるギャップを埋めるものです。買収により、複数の外部顧客とのインターフェースとなる特殊技術を成功裏に運営して利益を上げてきたチームを取り込みます」とパテル氏は語った。

また、Intelはこれまで、社内のニーズに合わせてカスタマイズしたフローをほとんど使っていたと同氏は付け加えた。Towerは、より標準化されたフローを提供する方法をもたらす。「Intelは業界標準のフローを採用しようとしているため、製品設計キット(PDK)機能は、彼らが多くの支援を必要とする分野です。Towerの特殊なニッチ技術における能力は、柔軟で拡張性のあるPDKを作成して提供する能力を大いに高めます」と同氏は述べた。

想像に難くないが、TowerのCEO、Russell Ellwanger(ラッセル・エルワンガー)氏は、2社の合併が大きな力になると考えている。「Intelと一緒に、我々は新しい有意義な成長機会を推進し、一連の技術ソリューションとノード、大幅に拡大したグローバルの製造拠点を通じて、顧客にさらに大きな価値を提供します」と、エルワンガー氏は声明で述べた。

両社の取締役会は買収を承認しているが、通常の規制当局による承認手続きとTowerの株主の審査を経る必要がある。プロセス完了には約12カ月かかる見通しだ。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Contributor / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi