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毎度お馴染みの人気の高いクラシックカーが今どのくらいの価格で売りに出されているのか企画! 400台以上というヨーロッパ最大級のクラシックカー在庫を誇るディーラー、E&R Classicsのラインナップの中から人気の10台を選んでみた。理屈抜きでお楽しみあれ。

メルセデス・ベンツ280SLパゴダ(1968)
ハイライト:
・徹底的なレストア済み
・自動変速機
・ニューペイント
・ソフトトップ新品
・バロックホイール
1968年製の美しい「メルセデス・ベンツ280SLパゴダ」。このパゴダは、大規模なレストアが施されており、最高の状態だという。2800ccの6気筒エンジンに、人気の高いオートマチックギアボックスを搭載している。この美しいパゴダをツーリングしている自分の姿がすでに目に浮かぶ。このパゴダは美しいグレーのペイントで、バロックホイールやすべてのクロームのディテールと非常によく調和している。「メルセデス・ベンツ280SLのリニューアルされたインテリアは、バーガンディレッドで仕上げられ、グレーのペイントと幻想的に融合している。
価格: 129,950ポンド(約2,050万円)
大林晃平: 「SL」といえばまさにこのパゴダルーフの「SL」、という人も多い。パゴダルーフとは、真ん中がへこんだ形状のルーフを由来とするネーミングだが、へこんでいる理由は空気抵抗軽減のためとされる。メルセデス・ベンツ流の開発コードネームは、「W113」。現在の「SL」が持っている“R”ではないのは、セダンモデルの「W111」をベースとして開発したからである。日本で一番有名なW113オーナー(おそらく)は、故坂本 九さんで、まだ奥様の柏木由紀子さんは、大切にメンテナンスを続けながら白い「W113」を所有しているという。自動車好きの心に響くいい話だ。

ポルシェ911T(1971)
ハイライト:
・完全なレストア
・写真多数、過去の書類すべてあり
・2195cc 6気筒エンジン
マニュアル5速ギアボックス
1971年に米国で新車納車された「ポルシェ911T」。2015年から2018年にかけてフルレストアされたドイツの名車。「911T」は2195CCの6気筒エンジンと5速マニュアルギアボックスを搭載している。美しいグリーンの塗装は、美しいブラックのインテリアとよく合っている。トップコンディションの「ポルシェ911T」だ。
価格: 129,950ポンド(約2,050万円)
大林晃平: 911の中で最も美しいナローポルシェ。その中でもホイールベースが伸ばされ、2.4リッターエンジンになった「911T」は人気も高く、価格も2,000万円台は当たり前、の時代となった。今回の一台はUSものということもあり、若干バンパー形状・リフレクターなどはおおげさだが、それでもグリーンのボディカラーは控えめで美しい。本当にこの大きさと、このさりげない雰囲気を持つクルマをポルシェが出してくれたら・・・、というのは世界中のエンスージャストの想いではないだろうか。

ボルボP1800(1965)
ハイライト:
・レストア済み
・オーバーホール済みエンジン
・新しいインテリア
素敵な「ボルボP1800」は1965年に製造され、美しい赤のペイントはボルボカラーコード46番で仕上げられている。このペイントは、このクラシックカーの美しいラインを再び強調し、クロームアクセサリーを際立たせている。このボルボのクラシックカーは、外観的にも技術的にも良好な状態にある。このボルボP1800は過去に大規模なレストアを行い、エンジンとステンレス製エキゾーストシステムを改良した。インテリアは、新品の内張り、新品のカーペット、新品のルーフカバーが装備されている。オーバードライブ付きのマニュアルギアボックスは、非常に快適なドライビングを提供する。つまり、多くの美しいツアーに完全に対応できる素晴らしい「ボルボP1800」だ。
価格: 59,950ポンド(約950万円)
大林晃平: ボルボの中でも異端ともいえるクーペの「1800」。そのデザインはピエトロ フルアというのが知られているが、実際にはペレ ペッターソン(ボルボの開発者だったヘルメル ペッターソンの息子)も関係しているというのが事実らしい(ペレはヨット愛好家だったため、P1800のディテール処理にはヨットへのオマージュが多く使用されていると思われる部分も多い)。著名人では、故ロジャー ムーアのプライベートカーとして有名。飾らず気さくだったロジャー ムーアにぴったりのチョイスではないか。

原始時代のコックピット。もちろんベンチシートです。

フォルクスワーゲンT1バス(1962)
ハイライト:
・T1サンバルック
・最近レストア
・1962年の希少な初期型
・サンルーフ付き
1962年に製造された美しい「フォルクスワーゲンT1バス」。この一台は最近ブラジルでレストアされたサンバルックの「T1バス」で、美しいクラシックなルックスを持つ1962年製の希少な初期型だ。「サンバルック バス」は、1300ccの4気筒エンジンとマニュアルギアボックスを搭載している。このクラシックなフォルクスワーゲンは、ビジュアル的、技術的に良好な状態にあり、すぐにでも走らせることが可能となっている。
フォルクスワーゲンT1バス サンバルックは、美しいミントグリーン/ホワイトのカラーリングだ。1960年代のT1バスに完全にマッチするツートンカラーで、クロームワークとの組み合わせがとても綺麗だ。9名まで乗車可能なインテリアも、ホワイトにグレーの張地が施され、とてもきれいな状態だ。そして、このサンバルックのT1バスが本当に素晴らしいのは、全長に渡ってスライド式の屋根が装備されていることだ。そのため、ツーリング中もアウトドアを楽しむことができるようになっている。
価格: 59,950ユーロ(約950万円)
大林晃平: いい感じの色とたたずまいの「T1」じゃないですかぁ。こんなので高原にオヤジバーベキューキャンプに行ったら楽しいだろうなぁ、と思ってプライスを見たら、1,000万円をちょっと切るぐらい・・・って、そりゃ無理ってもんだ。これからもますます「T1」の相場は上昇するばかりなのだろうか? これを見ると、下記の記事に掲載された「EV T1」は割安というか、とってもいいじゃん、と思ってしまうのだが・・・。内燃機関にこだわらない人はぜひこちらをどうぞ。

シトロエンHYテオ(1964)
ハイライト:
・大規模なレストア
・オリジナルホーストレーラー
・整備履歴あり
・シトロエンの委託により、車体メーカーのテオが改造を担当
・非常にレアな個体
・1911cc 4気筒
「シトロエンHY(アッシュトラック)」といえば、すでに特別な佇まいだが、今回紹介するこの「Hトラック」は、完全に唯一無二の存在とのこと。1964年、陽光降り注ぐフランスで、新車で納車された「シトロエンHYテオ」のオリジナルだ。この「HY」は、シトロエンのオーダーにより、コーチビルダーであるテオが特別なコンバージョンを施して納車したものだ。この「HY」は大型馬の輸送に適したコンバージョンである。まさに、なかなかお目にかかれないユニークな姿である。このフレンチクラシックカーのようなコンディションは、そうそうないだろう。レストアには約10年の歳月を要し、一切の費用を惜しまずトップコンディションに仕上げてある。「シトロエンHY」は、赤と白のペイントが美しく、ウッドパーツととてもよくマッチしている。インテリアはきちんとした状態で、ダークブラウンの張地と後部座席のエクストラシートが装備されている。テールゲートを開けると、2頭分のスペースがある。
価格: 49,950(約790万円)
大林晃平: 馬のマークも輝かしい、10年を費やしたとされるウッドボディは、白・赤の鉄板部分とあいまってなかなかお洒落。こういうクルマで運んでもらったら、馬もさぞ満足だろう、と思ったものの・・・。ここまでレストアして800万円の値札をつけるのなら、今にも穴が開きそうなラジエーターや、錆びて朽ち果てそうなバンパー下部などはきちんと仕上げるべきだろう! そういう意味ではなんだかアンバランスなレストアを受けた「Hトラック」である。

シトロエン 2CV(1959)
ハイライト:
・ボディフルレストア
・コンディションは非常に良好
・旧タイプのリブ付きボンネット
・グレー塗装
・ボルドーレッドロールルーフ
1959年製の美しい「シトロエン2CV」。このシトロエンは最近ボディとエンジンを分解した状態でレストアされ、外観も技術的にも非常に良い状態だ。この車をトップカーにするために費用は惜しまれておらず、それが表れている。そのレストアはフォトレポートに記録されている。「シトロエン2CV」は、425ccの2気筒エンジンとマニュアルギアボックスを搭載している。このフレンチクラシックに完全にマッチした美しいグレーのペイントが施され、バーガンディレッドのロールルーフとのコントラストが美しい。インテリアもとてもきれいな状態で、グレーペイントと美しく調和するオレンジ色のシートベルトが装備されている。旧いタイプの「シトロエン2CV」なので、よく知られているリブ付きのボンネットが装備されており、このクラシックな車の特徴となっている。
価格: 29,950(約475万円)
大林晃平: 2CV6(6ライトウインドウになったので、2CV6というネーミングになった)になる前の、普通の2CVと呼ばれるオリジナル前期モデル。当然パワーは最低限で(最高速は90㎞/h出るかどうか。風向きによって大きく違う)、ワイパーの駆動はスピードメーターケーブルから、とシンプルの極み。シートとキャンバストップはもちろん張り替え済みだが、シート生地がやや惜しい(オリジナルはこんなに明るく、つるんとした素材ではない)。なんだかんだで、500万円・・・。これを購入できるあなたは、第一級エンスージャスト資格、無条件入手です。

はい、その通り、ポルシェのエンジンです。

フォルクスワーゲン ビートル(1968)
ハイライト:
・レストア済み
・オリジナルスライディングルーフ
・純正エンジン
・オランダ車
・1300cc 4気筒
この美しい「フォルクスワーゲン ビートル」は、オリジナルのスライディングルーフを備えており、1968年にオランダへ新車で納車され、過去にレストアが施されており、ビジュアル的にも技術的にも、このクラシックカーは良好な状態にある。この「フォルクスワーゲン ビートル」は、1300cc 4気筒エンジンを搭載しており、素晴らしいドライビングエクスペリエンスを提供する。これは、すべてのオリジナルブックレット(書類)が保存されている、真のエンスージアストカーだ。今でこそ当たり前のサンルーフも、60年代にはそうそうお目にかかれない希少なオプションだった。この「ビートル」、ルックスも素晴らしい。ライトグレーのペイントが施されており、すべてのクロームアクセサリーと美しく調和し、赤いインテリアとのコントラストが美しい。つまり、とても充実した装備のVWビートルで、すぐにでも旅に出ることができるようになっている。
価格: 19,950ポンド(約315万円)
大林晃平: このビートルはカブトムシのビートルであることは言うまでもない。サンルーフもつき、控えめでやさしいボディカラーと相まってなかなかお洒落な一台。カブトムシが315万円というと、一瞬「うっ!」と思ってしまうが、今やフォルクスワーゲン ゴルフの普通のモデル(TSI)もそれくらいからスタートの時代というのが現実なのだ・・・。

ランチア フルビア1.3Sクーペ(1976)
ハイライト:
・レストア済み
・オーバーホール済みエンジン
・5速マニュアルギアボックス
・ロッソコルサ塗装
・木製ダッシュボード
・1298cc V型4気筒エンジン
1976年製の美しい「ランチア フルビア1.3Sクーペ」。このクラシックな車は、晴天のイタリアで、新車で納車され、過去にレストアが施されていて、非常に良好な状態にある。このイタリアのクラシックは、技術的にも完全にリフレッシュされている。エンジンはオーバーホール済みで、オーバーホール後50kmしか走行していない。この「ランチア フルビア1.3Sクーペ」のもう一つの大きな特徴は、5速マニュアルギアボックスが装備されていることだ。1298ccのV4エンジンと5速MTの組み合わせは、忘れられないドライビングエクスペリエンスを提供する。そしてこの「フルビア」はイタリアのクラシックカーにぴったりの美しい色、ロッソコルサで仕上げられている。インテリアもとてもきれいな状態で、ブラックのシートベルトとレッドカーペットが装備されている。そして、仕上げに、美しい木製のダッシュボードが選ばれている。
価格: 19,950ポンド(約315万円)
大林晃平: フルレストアされたフルビア(洒落ではありません)が、たったの300万円。そのプロフィールの美しいこと。ランチアの中でも美しさではピカイチ。クーペとはこういうモデルのことを指すのだろう。そんな普遍的なデザインを描いたのはピエロ カスタニェロ(ランチア社内のデザイナー)。ラムダを由来とする、V4エンジンともども、まごうかたなきランチアの一台。木目パネルとシートの程度もよく、価格はかなりお買い得だと断定できる。

ミニ1000バン(1976年)
ハイライト:
・セカンドオーナーより
・総走行距離46,889 km
・2019年にフル塗装
・オランダからのオリジナル車
クラシックの定番、今や高い人気を誇るオリジナルミニ。1976年製の「ミニ1000バン」。このミニは1976年にオランダへ新車で納車され、現在までわずか2人のオーナーが所有していた。最初のオーナーは、このクラシックを親友に売却し、二人で合計46,889kmだけ走行した。この車は、常に愛情を持って維持されてきた本物のエンスージアストカーで、非常に良好な状態にある。2019年には、新しく、1970年代のクラシックに完全にマッチするダークグリーンのフル塗装が施された。クロームはとても端正で、ダークグリーンのペイントとうまく調和している。インテリアも端正な状態で、ブラックの張り地が装備されている。
価格: 22,950ポンド(約365万円)
大林晃平: かまやつひろしも乗っていた木枠のついたカントリーマンと違い、あくまでも働く車として乗られてきた「ミニ1000バン」。メーターも一つ目小僧のようにひとつしかないが、これまたシンプルでよろしい。左ハンドルなのはオランダモノだからで、距離も少なく、程度も実に上等(ダッシュボード上の灰皿さえ綺麗なのは珍しい。まずはここが錆びたり、汚れるはず)。現行の(でかい)ミニが、なんだかんだで、500万円近い昨今、この価格は納得のいく水準かもしれない。

★やっぱり最後の1台はこれ。ガチ定番のEタイプ。

ジャガーEタイプ シリーズ2カブリオレ(1969)
ハイライト:
・大規模なレストア
・エンジン&シャシーナンバーのマッチング
・キャブレター3基
・ボディ赤色塗装
・ブラックレザーインテリア
1969年に製造された美しい「ジャガーEタイプ シリーズ2カブリオレ」。この「Eタイプ」は最近大規模なレストアが行われ、ビジュアル的にも技術的にも非常に良好な状態となっている。このクラシックカーは、いつも愛情を持ってメンテナンスをし続けてきたオーナーの持ち物だった。「Eタイプ カブリオレ」は、4235ccの6気筒エンジン(3キャブレター)を搭載し、素晴らしいドライビングエクスペリエンスを提供する。このクラシックカーは美しい赤のペイントが、美しいメッキの輝きを持つワイヤーホイールやすべてのクロームアクセサリーと非常によく調和している。インテリアはブラックレザーで、美しいウッドステアリングを備えている。仕上げに、ブラックのソフトトップが選ばれ、怪しい天候でもツーリングを楽しむことができる。
価格: 119,500ポンド(約1,900万円)
大林晃平: ジャガーのスポーツカーといえばやっぱりこれ。エレガントでありながらスポーティ、そして美しいデザイン。「フェアレディZ」だって、「トヨタ2000GT」だって、この「ジャガーEタイプ」から必ずどこかに影響を受けているに違いない。オードリー ヘップバーンの「おしゃれ泥棒」に出てきた薄いイエローの「Eタイプ」に、ヘップバーンがドアも開けずに歩道から飛び乗るシーンに打ちのめされた人も多いはず。そんな「Eタイプ」のデザイナーは、マルコム セイヤー。創始者のウイリアム ライオンズとセットで覚えておきましょう。この一台は価格も高いが、前出の「シトロエンHトラック」と違い、エンジンルームまで徹底的に綺麗です。

★おまけ(笑)

シボレー コルベットC1(1958)
ハイライト:
・最も人気の高い58年モデル
・2トーンカラーのパナマイエロー
・希少なルーバー付きボンネット
・デュアルヘッドライト
・トランクの上のクロームストライプ
・4637cc V8
価格: 94,950ポンド(約1,500万円)
大林晃平: これぞ説明不要のコルベット。この心の中のどこかが「キュン」とする色、この宇宙船のようなメーターパネル、そしてなによりこの形! ルート66の思い出フルムーン旅行に行くのには最高だし、現行「コルベット」が同じような価格をしていることを思えば、なかなか魅了的な値札をぶら下げている。テレビ映画「サンセット77」で私立探偵スチュアートが乗っていたのはこういうの、と言っても通じる人はすっかり少なくなりましたなぁ・・・。パナマイエロー、リー・トンプソン(バックトゥザフューチャーのママ役)でも、デートに誘えば成功間違いなし!

Text: AUTO BILD JAPAN
Photo: E&R Classics