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Black Angel Groupの設立メンバー。左からジャクソン・ジョージズ Jr.氏、キャンディス・モーガン氏、ジェイソン・スコット氏(画像クレジット:The Black Angel Group)

1年前、巨大企業であるAlphabet(アルファベット)の社内で、黒人のGoogler(グーグル社員)やAlphabet社員が、黒人歴史月間中にエンジェル投資に関する非公式なプログラムに招待された。これはスタートアップ企業への投資がどのように構成されているか、可能性のあるエグジットまでの一般的なタイムラインなどについて、興味のある人が学べるように社員が企画したものだ。

このアイデアは、暫定的なエンジェル投資スクールのようなもので、組織を作り上げるためのものではなかった。それは単に、講演者として参加したGVのゼネラルパートナーであるJessica Verrilli(ジェシカ・ヴェリリ)氏をはじめとする、知識豊富な社員の話を聞きたいと思っているスタッフのための機会だった。

「こんなアイデアがあるけど、一緒に投資しない?という感じでした」と、GVのパートナーであり、エクイティ、ダイバーシティ、インクルージョンに力を入れているCandice Morgan(キャンディス・モーガン)氏は語っている。

このアイデアを実現するために、2週間のうちに5人の参加者が集まった。それから、さらに多くの人が手を挙げて、どうしたら参加できるのかと尋ねるようになった。そして現在、このBlack Angel Group(ブラック・エンジェル・グループ)という組織には、Google(グーグル)、GV、CapitalG(キャピタルG)、YouTube(ユーチューブ)、Gradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)など、Alphabet社内から35人の黒人リーダーやオペレーターが参加している。

また、元YouTubeのVPで、最近ではPinterest(ピンタレスト)のチーフコンテンツオフィサーに就任したMalik Ducard(マリク・デュカード)氏のような、会社の卒業生もこのグループに参加している。

彼らは強力な個人であり、さらに強力なグループでもある。そのメンバーたちは、プロダクトマネジメント、ソフトウェアマネジメント、ユーザーエクスペリエンス、ピープルオペレーションなど、全員のさまざまな専門知識を駆使して、興味深い案件に参入を始めたところだ。2021年は、Bowery Farming(バワリー・ファーミング)、Polar Signals(ポーラー・シグナルズ)、Matter(マター)、Career Karma(キャリア・カーマ)など、約10社に50万ドル(約5800万円)以上の投資を行った。

いずれの場合も、より小規模な委員会が案件を持ち込み、メンバーはそれぞれ自分自身で決定するように依頼される。これまでのところ、出資した企業の半数は黒人の創業者であり、中にはGoogleの元社員である黒人の創業者もいたが、彼らの目的は黒人の創業者を支援することではなく、元同僚が創業した企業を探すことでもない。そうではなく、シードからシリーズAまでの「エシカル(道徳的)」な企業に焦点を当てていると、CapitalGのグロースパートナーで、この集まりのメンバーであるJackson Georges Jr.(ジャクソン・ジョージズ・ジュニア)氏はいう。

「私たちはブラックエンジェル(黒人エンジェル投資家)です。そしてブラックエンジェルのネットワークは、多くのエンジェル投資家のネットワークよりも、概して多様性に富んでいます」と、ジョージズ Jr.氏は語る。しかし、その最も重要な目的は、メンバーに世代間資産をもたらすための最良の投資先を見つけ出すことである。

だからこそ、Black Angel Groupは、その注目度を高め、より多くの案件に力を注ぐ準備を整えているのだ。

この成長の一部は、ドルという形でもたらされる。2022年のBlack Angel Groupの投資額は、これまでの投資額の「倍」になると、モーガン氏は予想している。

また、その成長の一部は、新しいメンバーからももたらされる。Googleでスタートアップ開発者エコシステムの責任者を務めるJason Scott(ジェイソン・スコット)氏はこう説明する。「2021年のエンジェルプログラムへの参加が、多くのメンバーの基盤となりました。しかし今は、他にも興味を持った黒人のGooglerやAlphabetの社員が参加を申し込めるようなプロセスを立ち上げています」。

全員がミリオネアである必要はない。この集まりを可能な限り包括的なものにするために、メンバーたちは、まだ認定投資家ではないが認定投資家になるための道を歩んでいる人たちにも、取引の流れへの参加を勧めることを計画している。

それは純粋な利他主義ではない。ジョージズ Jr.氏によれば、案件の調達や投資についてもっと知りたいと思っている出世途中の社員やOBを積極的に教育することは、グループにとってもメリットがあるという。数と、そしてネットワークには力があるからだ。

確かに、黒人投資家の世界を広げることは必要だ。現在、黒人投資家はベンチャー企業のパートナーの4%以下、エンジェル投資家の1%に過ぎない。このような数字を見れば、地球上で最も強力な企業の1つで道を切り開こうとしている黒人エンジェル投資家のネットワークが拡大していることは、特に注目に値するだろう。

実際、このグループは、メンバーの経験の蓄積や、より多くの出資を望んでいること、また、スタートアップの創業者たちが、より多様な投資家を資本政策表に加えることに関心を示していることを考えると、今後より多くの案件に登場することが予想される。

モーガン氏はその一例として、パフォーマンス分析を行うスタートアップ企業のPolar Signalsを挙げ、同社のCEO兼創業者であるFrederic Branczyk(フレデリック・ブランズィック)氏は「よく考えて非常に多様性に富んだ資本政策表を用意していた」と述べている。

他の多くの創業者も「かなり明確になっている」という同氏は、これを「すばらしいことだ」と語っている。

「私たちの価値提案で重要な部分は、私たちと価値観が一致する創業者と一緒に仕事をすることです」と、モーガン氏は言及している。多様性を重視することは「そのような創業者について多くのシグナルを与えてくれる」という。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)