ベストセラー『日本人の勝算』などで日本経済の復活に向けた提言を続けているデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長)が14日、ツイッターに連続投稿。本業の文化財修理業界での合意形成が難しい現状を引き合いにしながら、持論である日本の生産性の問題を指摘した。
この日、栃木県日光市に日帰り出張だったというアトキンソン氏。会長を務める団体で立ち上げている職人の認定制度について、事業者を説得するのが目的だという。少し前までの業界では「文化財修理をするために、資格は要らない」のが実情だったようで、「どの企業に何人の何部門の職人がいて、その技術レベルを開示する仕組みを作っています。残念ながら、最初は賛同してくれる企業が少なかったですが、次第に増えてきました。今年、職人全員に資格を与えることを目指しています」という。
話の「枕」に業界の事情説明に持ってきた上で、アトキンソン氏は「ある意味で関係ない話かも知れませんが、ここに日本の労働生産性の低さを感じます」と指摘。具体的には、認定制度を作り上げていく合意形成が容易ではなかったようで、「最初からなんでも反対されて、散々根回しをしても、途中にまた協力をやめる人が増えて、1からまた説得をしないといけない。また、仕組みを作っても、また参加しないと言われて、また説得しないといけません」と、苦労を振り返った。
「業界団体だから、強制はできないことはないが、強制はしようとしない、あくまでも、お願いベースです」とアトキンソン氏。「余計に時間がかかりますし、無駄に終わることも多いです。 この文化の良さはありますが、皆で決めたことをたった一人が破壊できるマイナスも否定できません」と、日本独特の根回し文化の“欠点”を指摘していた。