先日、街中を運転していたとき、信号待ちで大きなセダンが横に止まった。なだらかなルーフライン、大きなボディ、広そうなキャビンエリアを見て、レクサスLSかと思ったが、トヨタ「カムリ」だった。筆者のイメージにあるカムリより全然大きく、「カムリってこんなに立派になったんだな」と改めて気づかされた。
1980年に国内専用モデル「セリカ カムリ」(FRだった)として誕生したカムリ。1982年にはFFレイアウトを採用した「カムリ」として一新、グローバルで販売開始となった。歴代10代目にあたる現行カムリは、クラウンと並び、いまでも日本市場で売れ続けている、王道中の王道をゆくアッパーミドルセダンだ。今年初夏にも商品改良が計画されている現行型カムリ。その魅力を振り返ろう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
月間平均900台が売れ続けているFFラージセダン
現行カムリが日本導入されたのは、2017年7月のこと。キーンルックコンセプトを進化させた「攻撃的なフロントフェイス」を、一足早く採用して登場した。先日登場した新型ヴォクシーの衝撃的なフェイスは、このカムリのフェイスの進化版のようにも感じる。
現行カムリ最大の魅力は、何といってもエモーショナルで美しいデザインだ。スタイリッシュでのびのびとしたエクステリアは、日本車離れした優雅さを持っており、日本では非常に目立つ。
それもそのはず、カムリをここまで立派に育てあげたのは、北米のユーザーだ。カムリは北米市場で、年間約30万台売れ続けており、北米販売ラインキングでは上位10車種に必ずランクインをするメガヒットモデルなのだ。
国内はどうかというと、ライバルである日産ティアナ(北米名アルティマ)が2020年7月に国内販売を終了し、ホンダアコードも失速中。日本のFFラージセダン市場はカムリの独り勝ちとなっている状況だ。ちなみに2021年の新車登録台数は10,620台、月間平均900台が売れている。セダン不況とはいえ、これだけ売れてくれればトヨタの利益にも、十分貢献しているのだろう。
現行カムリ 国内市場の登録台数
2017年 18,854台
2018年 21,295台
2019年 19,221台
2020年 12,085台
2021年 10,620台
「静かで速い!!」ドライバーズカーとしていい選択肢
日本向けカムリは、全車が2.5L+モーターのハイブリッド仕様だ。2WD(FF)とE-Fourが選択でき(2WDと4WDは20万円差)、装備内容の違いで、車両価格は税込348万円~467万円と幅広いラインアップとなる。燃費はWLTCモードで24.3km/L(E-Fourは21.6km/L)と相当に良く、しかもレギュラーガソリン仕様なので、お財布にも優しい。室内は静粛性が非常に高く、パワフルな2.5LのTHS-IIのおかげもあり、快速ツアラーとしての素質も十分にある。
ボディサイズは、4885×1840×1445(全長×全幅×全高)mmと、全長5メートルに近い立派なサイズだ。ホイールベースは2825mmと、クラウン(2850mm)よりもやや短いが、エンジン横置きのラージFFパッケージなので、後席スペースはとても広い。ドライバーズカーとして使うのも良いし、運転してもらって後席でゆったりくつろぐのも、いいだろう。カムリの「いいクルマ」を運転している感覚は、所有欲を十分に満たしてくれる。
海外で売れたことで生き残ってきたカムリ
国内ではあまり注目されることのないカムリだが、ドメスティックなイメージが強いクラウンや、コンパクトなカローラとは違い、優雅でグローバライズされたFFラージセダンのカムリの「余裕のある乗り味と心地良さ」は、どなたでも実感できるはずだ。
気をつけたいのは、最小回転半径が5.7m(e-Fourは5.9m)と大きいこと。取り回しは正直よくはないので、Uターンの際や狭い駐車場では、苦労するかもしれないが、パノラミックビューモニターもオプション設定されているので、それらを活用すれば問題ない。
2020年、カムリは40周年を迎えた。カムリと同格車種だった後輪駆動のマークXは、2019年末に生産終了となっている。キャラクタは全く異なる2台だったが、マークXなき今、国内でもカムリが存在感を大きくしている。今後の活躍に注目だ。
【画像ギャラリー】現行モデルは攻撃的なフェイスと優雅なデザインが北米で大人気!! トヨタ「カムリ」の歴代モデル(47枚)画像ギャラリー投稿 地味だけどいいクルマを応援したい!! トヨタカムリは王道中の王道をゆく!! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。