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 バスを走らせるには燃料が必要だ。燃料電池車ならば水素だが、電気車でも充電は必要だし、内燃機関で走るディーゼルバスには軽油が必要だ。日本の多くのバスでディーゼルエンジンが主流だが、長距離バスではどれくらいの燃料を消費するのだろうか。百科事典ではないので、すべての事例を網羅することはできないが一般論として話のタネとしてお読みいただきたい。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


エンジンはディーゼル!

 バスのエンジンはディーゼルだ。ガソリンエンジンと違いスパークプラグはない。空気の圧縮だけで高温を作り出し、そこに燃料を噴射することにより爆発させる。ディーゼルエンジンの強烈なトルクが重いバスの車体を動かす。燃費はエンジンにより、または用途により著しく異なるが、ざっくり2-4km/lといったところだろうか。

燃料電池車の燃料は水素

 街中を走る路線バスタイプのバスでも、高速道路を100km/hで巡行しようと思えばできる。しかし元の用途が街中の路線用なので高速ギアを装備しておらず、低速ギアで高速道路を走れば当然ながら燃費は悪くなる。

 逆に高速道路を巡行する用途の高速車が、街中で一般路線車のような走行をしていてはやはり燃費は悪くなる。要するにバスは用途により最適なセッティングにされているということだ。

燃料タンクは?

 ディーゼルエンジンの燃料は軽油だ。バスの燃料タンクも用途に応じて積まれているので一概には言えないが200-400リットルといったところだろうか。これに燃費を掛け合わせると航続距離は高速車で1000km弱といったところだ。

用途や車種により燃料タンク容量は異なる

 路線車は何度も営業所に入庫するので、その都度給油しようと思えばできる。しかし長距離の高速車ではどうしているのだろうか。短距離の都市間高速バスでは50-100km程度、中距離でも200-300km程度なので出発時に満タンにしておけば、到着先の営業所で給油することができ何の問題もない。

 長距離でも500kmで燃料が底をつくことはないので、これも大丈夫だ。しかし1000kmとなるとバスを選んでしまう。燃料タンクが複数または大型のものを積める車種でないと巡行距離が足らないことは起こりうる。

はかた号は営業中に給油していた!

 東京・新宿と北九州・福岡を結ぶ西日本鉄道の「はかた号」は、以前は営業運転中に途中のサービスエリアで給油していた。現在では大型の燃料タンクを積むことができるバスで、燃費も改善したことで無給油で走ることができるが、1000kmとなると途中給油は不可欠だった。

西日本鉄道の「はかた号」

 まだ京王電鉄(当時)との共同運行で中央道経由だったころに、上り西鉄便に乗車したことがあるが、乗客が寝ている時間帯に途中のサービスエリアで運転士の交代と休息、車両点検を行った後にガソリンスタンドに入り給油していた。

燃料と高速だけで推定7万円?

 軽油はガソリンよりも安いが使用量がハンパでないので、たとえば「はかた号」のような高速車で燃費が3.5km/lだとすると、約285リットルの燃料を消費することになる。軽油の値段を135円/lだと仮定すると3万8500円くらいが燃料費だ。

燃費は燃料代に直結するだけに事業者も気になるところ?

 高速料金が初台南(首都高速)から北九州市の冨野(北九州高速)まで走って、大型車ETC割引で2万5910円。さらにあと2回の北九州高速と、九州自動車道に福岡高速の通行料金がかかる。これだけの経費ですでに7万円程度になる。

 運転士2名の人件費や車両の償却、さまざま諸経費を加えると、個室を合わせた座席数22で3列シートの最安運賃9000円、個室の最高運賃23000円は決して高いとはいえず、燃費が運行効率にストレートに影響するのがイメージできるのではないだろうか。

 今やLCCが並行して飛ぶ区間では、最も早くて安い移動手段が航空機になっているので、そういう区間では選択はしにくいかもしれないが、目的地や運行ダイヤによっては高速バスが便利なこともあるので検討してみてはいかがだろうか。

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