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ホンダ「シンプル」強し!! 新型ステップワゴンの評価&厳選 歴代国産「四角い名車」 4選

 2022年1月7日、6代目新型ステップワゴンのティザー情報が公開された。公式には価格未公表だが、ベストカーWebが入手した情報によると、各グレードの価格帯は、エアー299万円、スパーダ325万円からとなる。最上級モデル「スパーダプレミアムライン」は385万円からの販売となる見込み。

 さらに、東京オートサロン2022では実車が公開され2022年春(4月~5月頃)の発売を待つばかりである。

 新型ステップワゴンは、いま流行りのオラオラ顔ではなく、初代・2代目モデルのようなシンプルなデザインになって登場した。清水草一氏曰く「エアコン顔」とのこと。シンプルな顔がお好きなユーザーにオススメなクルマになるだろう。

 そこで本稿では、原点回帰した新型ステップワゴンのデザインの魅力を解説しつつ、今後の展望を考察する。さらに、デザイン重視・歴代国産「四角い名車」を厳選したランキングもお届け。

文/清水草一、写真/HONDA、SUZUKI、奥隅圭之

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「原点回帰」された新型ステップワゴン デザインの魅力

機能を優先した四角いボディデザインで登場した初代ステップワゴン

 2022年1月7日、ホンダ新型ステップワゴンのティザー情報が公開された。まだスペックや価格は未公開だが、東京オートサロンには実物も展示され、エクステリアやインテリアは完全にオープンになっている。そのデザインは、一服の清涼剤。「原点回帰」と言われているように、初代ステップワゴンのシンプルな道具感がよみがえっている。

 初代ステップワゴンは、「5ナンバーサイズいっぱいの国内専用ミニバン」という、まったく新しいカテゴリーを切り開いた。当時はまだオラオラ顔なんていう発想すらなかったが、そのデザインは飾り気が一切なく、大人数がラクに乗って移動できる便利な道具に徹していた。

 それでいて、正面からよく見れば断面は台形であり、大地を踏ん張って走る自動車のカタチも保っていた。初代ステップワゴンは、「走る道具」としてのデザインを極めた存在だったのである。

 その後、ノアやセレナといった同種のライバルの登場に刺激され、ステップワゴンはあえて自ら切り開いた道を外れ、変則派へと変身。3代目は動物的な顔とサイドに走る無意味な斜めエッジで反逆し、それが不発に終わると、4代目は地味で大人しくなるもパンチ不足。

 5代目は新機軸のワクワクゲートで勝負に出たが、市場にはあまりアピールできず、逆に全幅が狭く見える平凡な顔付きが嫌われて、販売を大きく落とした。マイチェンでオラオラ顔を導入するも失地は回復できず、ズルズルと後退が続いた。

 その点、新型はいい意味での開き直りが見える。デザイン的には、「これでどうだ!」と言わんばかりのスッピンな「エアコン顔」。実にサワヤカである。

 現在、ミニバンの主流はオラオラ顔だ。ユーザーへの調査でも、7割はオラオラ顔支持だという。そんななか、ホンダがあえてエアコン顔で勝負に出たのは、もはやステップワゴンは挑戦者であるがゆえ、残りの3割を取れれば大勝利だからだろう。

新型ステップワゴンはシンプルデザイン路線に大転換したホンダの勝負車!?

シンプルでクリーンなデザインの新型ステップワゴン「エアー」

 新型ステップワゴンは、2グレード構成となる。ひとつはベーシックな「エアー」。こちらは文字通りのエアコン顔だ。もうひとつの「スパーダ」はややいかつい顔だが、近年のオラオラトレンドからすると、充分エアコンの一種に分類される。個人的には、よりシンプルな「エアー」に強く惹かれる。ここまでシンプルだと逆に、新型ヴォクシーの超獣顔とも互角のインパクトがある。

 新型ノア/ヴォクシーの受注をみると、ともに絶好調ながら、全体の6割を超獣顔のヴォクシーが占めているという。ミニバンユーザーの多くは、より強烈な存在感を求めていることが理解できる。

 そのつてで行くと、シンプルを極めたことでインパクトのあるステップワゴン・エアーは、いい勝負を展開できるのではないか……と期待が高まる。

 初代N-BOXが大ヒットしたように、シンプルデザイン志向のユーザーは絶滅したわけではないはずだ。フリードだって顔は控え目。むしろステップワゴン・エアーのデザインには、中間的なノアやセレナを圧倒する、強烈なサワヤカさがある。まさにエアコンの風である。エアコンなのは顔だけではない。横や後ろは冷蔵庫だ。

 まずサイド。余分なラインも装飾は一切なく、ウエストラインもほとんど一直線。まったくもって「何もしていない」に近い。もう少しリヤゲート寝かせれば、ぐっとスポーティでバランスがよく見えるのだが、あえてそういったこともせず、ほとんど直立させてスペース感を優先している。このあたりの手法は初代ステップワゴンそのままで、物置が走っているようなイメージが好感を呼ぶという計算と推測する。

 先代ステップワゴンで話題になったリヤのワクワクゲートも廃止され、通常の上開き型のゲートに戻された。ワクワクゲートは大きな話題になったが、結局後ろから乗り降りする使い方はあまりされなかった。シンプルかつ軽量に仕上げることを優先すれば、廃止は順当と見る。

 守旧派カーマニアのひとりとして、ヴォクシーの超獣顔には「すげえ! トヨタは攻め続けてるな!」と感嘆するが、新型ステップワゴンのデザインには、「いいなぁ」と素直に惹かれる。近年のホンダは、シンプルデザイン路線に大転換して突き進んでいるが、新型ステップワゴンはそれを代表する1台といえる。

1位はやはり…? デザイン重視・厳選歴代国産「四角い名車」4選

デザイン重視・歴代国産「四角い名車」ランキング1位の初代ワゴンR

 では、過去に発売された国産「四角い名車」を挙げると、どんなラインナップになるだろう。四角にちなんで4台厳選してみた。選考基準は「デザイン優先」ですので念のため。

 第1位 初代ワゴンR/機能を極めた箱型デザインとして、究極の名作。箱型でありながら、その微妙なRにぬくもりがあり、思わず頬ずりしたくなるような愛らしさも持っていた。

 第2位 初代N-BOX/特にノーマル系のデザインは、シンプルで飾り気がなく、実に秀逸。箱型ながら、フロントタイヤのフェンダーが前にくっきり浮き出ているところが、「自動車」を強く感じさせた。

 第3位 初代ステップワゴン/ミニバン界不朽の名作。小細工を排し、道具感に徹したデザインによって、逆に豊かな生活を予感させたところがスバラシイ。

 第4位 S-MX/ステップワゴンと同じ「箱」でありながら、より「走り」をイメージさせる台形フォルムで、自動車デザインとしてのバランスは素晴らしかった。初代エリシオン(前期型)もこの部類に属する傑作。

 このように、ベスト4のうち3台をホンダ車が占めた。ホンダはシンプルな箱型デザインの名門なのである。

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