もっと詳しく

JRA(日本中央競馬会)は11日から、競馬を楽しむ女性たち「UMAJO(ウマジョ)」を描いた新テレビCM「♪UMAJOのうた」を全国で放送を開始した。2022年のJRA年間プロモーションキャラクターの長澤まさみさん、見上愛さんが競馬場での楽しみ方を歌や踊りで表現するという内容。

撮影を終えた感想を長澤さんは、「あっという間に終わってしまって、すごく楽しい撮影でした。歌ったり、ちょっと踊ったりして、可愛いCMになったんじゃないかなと思います」とコメント。三上さんは、「ちょっと踊りは難しくて、何度かやり直しさせていただいたんですけど、そこも可愛いんじゃないかなと思います」。

『UMAJO(ウマジョ)』新CMに出演する長澤まさみさん(右)と見上愛さん(日本中央競馬会プレスリリース)

2012年「UMAJOプロジェクト」発足

新CMは女性受けを強く意識したかわいらしい雰囲気のものだが、JRAは近年、女性ファン獲得に特に力を注いできた。2012年、女性ファンを獲得するための取り組み「UMAJOプロジェクト」を発足。若手女性職員の手によるプロジェクトで、発足に至ったのは馬券総売り上げが1997年をピークに14年連続の減少、来場者も1990年代半ばから半減以下という現状への危機感からだった。

全国の競馬場に、無料ドリンクのサービスやオリジナルスイーツの販売を行う「UMAJO SPOT(女性専用の無料リラックススペース)」を設置。馬券の買い方が分からない女性のために女性コンシェルジュを常駐させたり、女性ファン向けのオリジナルグッズを開発したりと、女性に向けて新しい競馬の楽しみ方を提案する試みを行っている。

その結果、プロジェクトが発足した2012年以来、女性客は年々増え続けている。2011年の女性の年間来場者数は約83万人で全入場者数の13.5%だったが、2015年は99万9113人、割合は15.8%に増加している。2018年の年間総観客数は620万人ほどだが、そのうち女性は約109万人だった。女性客の割合は18%近くに上る。

※画像はイメージです(SolStock /iStock)

ベテラン競馬記者「JRAは大正解」

ベテラン競馬記者はSAKISIRUの取材に、競馬場の光景も大きく変わったと話す。

「私が競馬記者になった30年ほど前は、オグリキャップの出現などによる、いわゆる『第二次競馬ブーム』でした。1984年の年間総観客数は800万人ほどでしたが、1992年には1300万人を超えています。ただ、観客の人数は増えましたが女性は本当に少なかった。当時の競馬場の雰囲気はまさに“鉄火場”という感じで、少なくとも今のように女性が一人で楽しんだり、デートで訪れたりといった場所ではありませんでしたね。今のところ、JRAの方針は大正解と言って良いでしょう」

さらに、JRAにはある幸運ももたらされた。2021年に年間売上げが1,000億円を突破した大人気アプリゲーム「ウマ娘」の存在だ。JRAの後藤正幸理事長は、競馬雑誌「週刊Gallop」のインタビューで感謝の言葉を述べていた。

「ゲームなどを通じて、今まで競馬と縁がなかった人たちが結果的に競馬に興味を持っていただけるのは本当にありがたいことだと思っています。~中略~なかなか新しいファン層を開拓するのは難しく、今回のウマ娘という『ゲーム』によって競馬を身近に感じられるチャンスがあったというのは、私たちだけでは気が付かない点でした。」

競馬場は今や女性が一人でふらりと訪れることができる場所で、格好のインスタ映えスポットとなっている。インスタグラムには、女性ユーザーが競馬場で撮影した写真が数えきれないほど投稿されている。前出の競馬記者によると、馬券を買わず馬を見たり撮影したりといった目的だけで訪れる女性客も多いのだという。