1994年に当時の日本車にはほとんどなかった乗用車ベースのミニバンとして初代モデルが登場し、3代目と4代目モデルはステーションワゴンに近いミニバン、最終型となる5代目モデルはトヨタアルファード&ヴェルファイアほどは全高の高くないラージミニバンという歴史をたどったホンダオデッセイ。2022年現在は、日本での生産を終了し、在庫のみの販売となっている。
しかし、中国では今もオデッセイはその兄弟車となるエリシオンともに販売が継続され、それぞれ2021年末にはマイナーチェンジが行われた。
ここでは、日本では最終型5代目オデッセイの前身となるモデルとして一世代限りとなったものの、中国では継続されているエリシオンに焦点を絞り、日本導入の可能性などを考えてみた。
文/永田恵一、写真/HONDA
【画像ギャラリー】中国で生き残るホンダ「エリシオン」高級感ある内外装を画像でチェック!!(9枚)画像ギャラリー中国で販売されるエリシオンってどんなクルマ?
最終型5代目オデッセイは、日本での登場から約1年遅れとなる2014年から中国でも販売されており、オデッセイの兄弟車となるエリシオンも2015年に加わった。
中国でオデッセイとエリシオンという兄弟車がある最大の理由は、かつて中国では日本生産車など、中国からみた海外生産車に高額な関税が課せられていたことが大きい。というのも中国でクルマを販売する際に関税を避けるため現地生産をするには、中国のメーカーとパートナーを組み、合弁企業を作る必要があり、ホンダは中国で広州汽車と東風汽車がパートナーとなっている。
そのため中国には広州ホンダと東風ホンダがあり、それぞれはほぼ同じラインナップとする必要があるため、中国には広州ホンダのオデッセイと東風ホンダのエリシオンという兄弟車がある。これは現在ではほぼなくなったが、日本の自動車メーカーにディーラー系列があった時代のマークII三兄弟のようなものと思えば分かりやすい。
中国で販売されるオデッセイは、日本で最終型となったオデッセイにほぼ準じている。そのため、中国で販売されるエリシオンも日本の最終型オデッセイとの違いは少ない。
日本の最終型オデッセイとエリシオンの違いを挙げると、押し出しの強いフロントマスクを持つこと、日本の最終型オデッセイにあった2.4Lガソリンや2列目が3人掛けのベンチシートとなる8人乗り仕様はなく、2L2モーターシリーズハイブリッドのe:HEV+2列目がキャプテンシートとなる7人乗り仕様のみとなる点、派手な赤いインテリアカラーの設定があるくらいだ。
中国で販売されるエリシオンの価格は27万9800元(約507万8000円)から33万1800元(約602万1000円)と、意外にも日本の最終型オデッセイハイブリッド(428万6000円から458万円)よりずっと高い。
初代エリシオンはどんなクルマだった?
2004年に登場した初代エリシオンは、当時のアルファードやエルグランドのライバルというイメージが強いが、全高はアルファード&エルグランドより若干低く、エスティマとアルファード&エルグランドの中間的なポジションだった。
歴代アルファード同様にFFのプラットホームを使い、初期モデルは2.4L4気筒と3LV6、のちに3.5LV6を追加した初代エリシオンは、乗れば静かで乗り心地も良好で快適な点など、乗れば現在の基準でも「いいクルマ」といえるモデルだった。
しかし、初代エリシオンは特に初期モデルのフロントマスクが大人しく、ラージミニバンに求められる押し出しに欠けていたこと(そのため3.5LV6もあり、フロントマスクを押し出しの強いものとしたプレステージが追加された)、3列目が座り心地を重視したものだったため、収納する際には座面のチップアップしかできず、2列シート+広いラゲッジスペースという使い方ができないという欠点があった。
そのため、初代エリシオンはこの2つの欠点を主な理由に大成せず、初代エリシオン同様に低迷していた4代目オデッセイと初代エリシオンを、初代エリシオン寄りに統合した最終型5代目オデッセイを後継車に日本では姿を消した。
オデッセイの代わりに現行エリシオンが日本に導入される可能性はあるのか?
日本に、中国で販売継続されている現行エリシオンが導入される可能性はほぼゼロだろう。それは、もしオデッセイのようなモデルが復活するのであれば、日本で25年以上販売されていたオデッセイの方がずっとネームバリューが強いからだ。
また、最近は、2021年から中国生産のテスラモデル3やボルボS90、2022年に入って中国のレクサス的な存在となる紅旗の正規販売が始まるなど、中国生産車の日本導入が活発になっているという背景もある。
そのため状況によっては中国生産で右ハンドルのオデッセイが、次期モデルあたりから日本に導入されるということはあり得るのかもしれない。
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