もっと詳しく

チキンは米国だけでなく世界で最も多く消費されている食肉だ。しかしチキンを繁殖し、エサを与えて育てるシステムは、私たちの全体的な幸福にとって信じられないほど有害なものだ。というのも、トウモロコシと大豆を中心とする従来の農業の仕組みを支え、しかも消費者が手にいれるチキンの大半が必然的に近親交配され、遺伝的多様性を欠くシステムを助長している。

小規模だと味の薄い肉になることがあり、しかも、米国におけるチキンの供給がウイルスにやられることは防げない。

Blue Apronの共同創業者であるMatt Wadiak(マット・ワディアック)氏が立ち上げたCooks Ventureは、既存のシステムの段階的な解体を目指し、最初はチキンそのものからスタートした。

Cooks Ventureはまず、10年ほどニワトリの遺伝的性質を研究して、独自の品種系統「Pioneer(パイオニア)」にたどり着いた。同種は選択的育種により、ゆっくりと育ち、強力な免疫系と健康な消化器を持っている。ワディアック氏によると味も良いが、それはこの品種にとっての唯一、あるいは最も重要な長所ではない。

胃腸が強いのでこの品種は生涯一種類の配合飼料で育つ。通常のブロイラーは一生に3種類か5種類の配合飼料を必要とし、そのすべてがトウモロコシと大豆のミックスだ。そのため、雛の群れが生まれるたびに、運送業の大きな負荷が生じることになる。

さらに、Cooks Ventureのニワトリは非常に多様なエサを食べる。これにより全米の農地の97%を耕作している農家に、大豆とトウモロコシ以外の作物を育てる余力が生まれる。

Cooksには自家農場があって、独自のチキン加工工場もあり、少数の小売企業とパートナーしてそのチキンを消費者に販売している。Cooks Ventureのウェブサイトでも購入できる。

Cooksはいずれ、ニワトリの飼料を生産する農家に再生農業に関するIPをライセンスし、より生物多様性に富んだ作物の栽培を請け負い、最終的にCooks Ventureのニワトリのエサにしたいと考えている。一方、収益面では、Cooks Ventureの遺伝子系統の増殖に関心を持つ企業や農家と協力する機会があると考えている。

これらのニワトリは、より多様なエサに対応でき、より強い免疫システムを持ち暑さにも強いため、Cooksは暑い地域や食料不足の地域の農家と提携することができる。

関連記事:農業を根本から考え直すCooks Ventureが約13億円を調達

Cooksはこの度、成長中の技術系企業の知的財産を担保に債務を保証するPIUSから、5000万ドル(約57億8000万円)の債務融資を受けたことを発表した。

同社のチキンは多様な原料の食餌を受け入れるし、免疫系も強いから、熱帯や食糧不足の地域の農家ともパートナーできる。

画像クレジット:Cooks Venture

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)