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電気自動車(SUV): アウディ、BMW、ジャガー、メルセデス、ポルシェ、テスラ。電気自動車のプレミアムSUV 6車種にできること、必要な費用。e-mobilityに豪華さと広いスペースを求めないのなら、これらのモデルが正解だ。アウディからテスラまで、6台のプレミアム電動SUVをチェック。

環境への配慮と高級志向は、決して相反するものではない。
電気自動車用のプレミアムSUVは、これからもまだ多くが市場投入されそうだ。
とはいえ、現時点でも興味深い候補がいくつかある。
例えば、アウディには「e-tron」、BMWには「iX」、メルセデスには「EQC」が用意されている。
「ポルシェ タイカン クロスツーリスモ」や「テスラ モデルX」は、SUVという言葉の定義を少し広げなければならないものの、ここではあまりディテールにはこだわりたくない。

我々は、バッテリー駆動のプレミアムSUVを6車種まとめ、それぞれの強みを簡単にまとめてみた。
これを最もベーシックなバージョンで比較してみるが、メーカーが複数のプレミアムSUVをラインナップしている場合は、最も高価なもの、あるいは最も大きなものを掲載している。
最後に、「キャデラック リリック」を紹介する。
マッスルボディのアメリカンプレミアムSUVは、2022年中に欧州(ドイツ)市場に投入される予定だ。

アウディe-tronが何よりも印象的なのは、日常的な使用に適したレンジであることだ。

アウディe-tron: 条件が整えば、アウディの航続距離は適正なものになる

アウディe-tronは、ドイツメーカーのSUVとして、初めて完全な電気自動車となった。
購入者はどんどん増えている。
これは、今回発売されたクーペバージョンに加え、日常的な使用に十分耐えうるレンジ(航続距離)を備えていることが主な理由だ。
95kWのバッテリーパックにより、バージョンによっては440km以上の連続走行が可能となっている。
そのため、休日にちょっとした旅に出かけることも可能だ。
最大出力300kW、最大トルク664Nmのアウディは、信号待ちの発進時に内燃機関のライバルたちの大半を置き去りにする。
しかし、69,100ユーロ(約900万円)というエントリー価格を持つ「アウディe-tron」は、決してお買い得とは言えないのも事実だ。

極めて速い: 2.6トンのiXは4.6秒で0から100km/hにまで到達する。そして200km/hで速度の上昇は止まる。

BMW iX: BMWは非常に繊細で、非常に速い

エレクトロモビリティを好むBMWファンが「iX」を見たら、きっと満足するはずだ。
ミュンヘン発の2.6トン級テクノロジーボンバーは、繊細なルックスで、事実上、道路を流れるように走ることができる。
BMWは、このパワーと巧みな回復ロジックを組み合わせている。
「iX xDrive 50」は、0から100km/hまで4.6秒で加速し、200km/hで止まる。
全体として、BMWプレミアム電動SUVの加速は、「ロールス・ロイス ファントム」の走りを彷彿とさせるものがある。
テストでは、約束された600kmの航続距離のうち、415kmしか可能ではなかった。
価格:77,300ユーロ(約1,012万円)より

ドライビングパフォーマンスは0-100km/h加速が4.8秒、最高速度200km/hだ。

ジャガー I-ペース: 英国人はプレミアムな仕上がりで輝いている

ジャガーは、「I-Pace」をブランド初のオール電動パフォーマンスSUVと呼んでいる。
英国人は、400馬力と696Nmのトルクで印象づけたいと考えている。
紙の上では、480kmの航続距離が約束されている。
3mのホイールベースは乗員にとって大きなメリットだ。
これにより、室内空間が広くなっている。
I-Paceの特徴: E-ジャガーは本当に速く走れる。
「ダイナミック」モードでは、動きを抑制することができるようになっている。
「ラウンドアバウト」モードでは、全輪駆動、重心位置、即座に使えるトルク、ホイールベースなどの組み合わせにより、路上を極めてダイナミックに走行することが可能となっている。
価格:77,300ユーロ(約1,012万円)より

メルセデスがEQCに与えたのは、ブランドの古典的な強みという部分だろう。快適な使い心地と仕上がり。

メルセデスEQC: ベンツの走りは快適で、インテリアも素晴らしい

メルセデスは、ブランドの特別な強みをバッテリーエレクトリックドライブ搭載車に移植することに成功している。
少なくとも、2021年10月に、AUTO BILDが10万キロの耐久テストを開始した「メルセデスEQC」の最初の1キロは、それを示唆していた。
E-ベンツは、渋滞の中を静かに、ゆったりと滑るように走る。
インテリアの調度品も上質なものばかりで、その出来栄えも、文句のつけようがない。
さらに、メルセデスはインフォテインメントでも多くのことを行っている。
音声コマンドなどは、素早くスムーズに実行される。
価格は66,069ユーロ(約860万円)からとなっている。

タイカン クロス トゥーリスモは、優れたドライビングプレジャーと十分な実用性を兼ね備えている。しかし、高価格ということには変わりない。

ポルシェ タイカン クロスツーリスモ: オフロードも思いのほかこなせるポルシェ

ポルシェは、e-コンビの「タイカン スポーツ トゥーリスモ」に全輪駆動、高い地上高、スタイリッシュなボディを与え、SUVというか、クロスオーバーの「ポルシェ タイカン クロスツーリスモ」を完成させた。
ベーシックバージョンでも476馬力を発揮し、スポーツカーメーカーらしいハンドリングでアスファルト上での疾走を印象づける術を心得ている。
つまり、「タイカン クロスツーリスモ」は、まるでエンジニアが道路にボルトで固定したかのように、正確に走ることができるのだ。
それでいて、ラフな道路でもいろいろなことができる。
ハンドルを握る人に勇気があれば、eスポーツマンは水たまりを華麗に突っ切ることもできるのだ。
しかし、少なくとも95,658ユーロ(約1,245万円)を投資する必要がある。

米国のSUVテスラ・モデルXは、その奇抜なドアと非常識な性能で購入希望者を惹きつける。

テスラ モデルX: 奇抜なドアと無茶苦茶なパワーを持つテスラ

確かに、「テスラ モデルX」もクラシックなSUVとはややかけ離れた存在である。
しかし、ガルウィングドアを持つアメリカ船は、7人乗りのスペースがあり、心地よい高さの座席位置で納得させ、少なくとも全輪駆動バージョンでは、悪路に屈する必要がない。
さらに、「モデルX」には、試行錯誤を重ねたテクノロジーが搭載されている。
姉妹車の「モデルS」に搭載されているテクノロジーで、購入者はオプションでとんでもないパワーを手に入れることができ、そのパワー数値は670~1020馬力の間で選択可能となっている。
価格は110,990ユーロ(約1,445万円)からとなっていてポルシェよりさらに高い。

写真はショーカーのものだが、キャデラック リリックは2022年に欧州市場へ投入される予定で、ドイツでも販売される予定だ。

キャデラック リリック: マッシブデザインと自律走行との出会い

最後に、「キャデラック リリック」を紹介しよう。
アメリカ人は2020年にE-SUVを発表した。
当時、発表されたショーカーでは、この写真のプロトタイプの85パーセントが市販車と同じだと言っていた。
2022年に市場に投入され、ドイツなどに輸出する予定だ。
コックピットに33(!!)インチのディスプレイを設置し、最大150kWの直流充電と「スーパークルーズ」システムを搭載する。
これにより、キャデラックはドライバーがハンドルから手を離しても走行できるようになるはずだ。
価格は未定だが、おそらく5万ユーロ(約650万円)くらいからのリーズナブルなものになると想定される。

BEVの普及は高価なモデルと、軽自動車のようなモデルの二つから成り立つものではないか、と思い続けている。理由は簡単で、高価格でもいいモデルに高度なBEV技術を導入し発展する足掛けにすることと、一日の走行距離がある程度決まっている簡易的な自動車から普及することが自然なのではないか、と考えるからである。
そんな観点から考えると、今回のようなプレミアムBEVのSUV(ややこしくて失礼!)には、どんどん新技術や高度な素材などを使って、どんどん発展していって欲しいし、それこそがプレミアム路線なのではないだろうか。
今回の6台はそれぞれが特色あるクルマたちだが、個人的には最後のキャデラック リリックが興味深い。一番エレガントで、予想価格も安いということだけではなく、本来アメリカ車の持っていたはずの、先進的で快適な自動車という分野で、もう一度アメリカ車がトップに立って欲しいという願いもあるからだ。
安楽で快適、そしてエレガントな自動車・・・。キャデラックとは本来そういう自動車だったはずで、それがBEVとなって復活するのであれば大いに応援したい。そんな可能性と期待をもてるのであれば、これからの自動車の世界は相変わらず楽しみである。

Text: Lars Hänsch-Petersen
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de