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 今回の乗りバスレポートは1つのバス路線を追うのではなく、プチ旅記事だ。首都圏から電車でちょっと出掛けて路線バスで美味しいものや立ち寄り観光をする。多くの食べ物や名産品、立ち寄りスポットの写真は画像ギャラリーに掲載しているので合わせてご覧いただきたい。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:相模原市総合メディア戦略室


行ってもバス路線がよくわからない?

 そこで今回は将来リニア停車駅になる予定の「相模原市」を行き先にし、市内のほとんどを網羅する神奈川中央交通(神奈中)の路線バスで巡る。しかし都心から電車で気軽に行けるのに、何があるのかが分からないので行き詰ってしまった。

スイーツ情報も盛りだくさん!

 そこで市役所の観光関連部署に尋ねて計画を練ることにしたのだが、名乗るときにバスマガジン編集部としてしまったので、観光課ではなく総合メディア戦略室が対応に出て話が大きくなってしまった。しかし観光課に尋ねても回答は同じで、おススメの場所を教えてくれるので特段の問題はない。

地元推奨スポットを中心に回る!

 市全体の観光の魅力を紹介するガイドブック「相模原の栞」やお土産スイーツを投票で決める「推し土産スイーツ総選挙」が紹介されたスイーツ冊子を市役所が用意してくれたので、これをもとに相模原市の代表的なターミナルを選びバス旅に出ることにした。

「相模原の栞」等のパンフレットは相模原市の施設等で配布されている

 気になる場所があればお好みに合わせて選択していただきたい。昨今の世情からワイワイガヤガヤではなく、お一人様でも楽しめる場所にした。

選んだ発駅は3つ!

 今回選択した相模原市内のターミナルは3か所だ。京王相模原線・JR横浜線と相模線が発着する橋本駅は、将来はリニア停車駅になる。そしてJR横浜線の淵野辺駅。最後に今回の発着地である小田急小田原線と江ノ島線が発着する相模大野駅だ。

本物の大福の弾力はすさまじい!

 相模原市は昭和29年に市制を施行し、平成22年に政令指定都市に移行した人口726,000人余の東京都や山梨県と境界を接する神奈川県の都市だ。政令市20都市のうち統計によると、人口は18位、面積は14位、人口密度は10位。人口増加数、人口増加率ともに微増でこれから人気が出そうな都市のうちの一つだ。

最初は1区間だけ乗車

 さて、相模大野駅北口のバスターミナルに降り立った。神奈中のバスが次から次へと発着する中で、最初の目的地停留所は「相模女子大前」だ。別に女子大に用があるわけではないが、最寄りのバス停がそうなっているだけなので乗車。大60系統(女子美術大学行き)と大59系統(北里大学行き)のどちらでもよい。

相模大野駅の神奈中バス

 大学なので郊外のキャンパスまで連れていかれるのかと思えば、次の停留所が相模女子大前だった。乗車時間は2分程度だ。

女子大生にはクロワッサンが人気?

 相模女子大学の門の前にある「ベーカリーHIMUKA」は、自店でパンを焼いているのでタイミングにより焼きたてのパンに出会うことができる。店主に聞いてみるとHIMUKAとは旧国名の日向(ひゅうが)、つまり現在の宮崎県のことを指し、先代からのゆかりがあるのだという、日に向かって明るく元気よくという意味もあるようだ。

HIMUKAの「そのまんまかぼちゃパン」

 店の前にある相模女子大学の学生もパンを求めるようで、クリームたっぷりのクロワッサンが一番人気だそうだ。記者が食べたのは「そのまんまかぼちゃパン」。カボチャをあんにしてパンで包んだもので、カボチャの鮮やかで明るい色はそのままに、自然の甘味をいっぱい含んだ優しい甘さのパンだ。

地元民が通う本物の大福

 相模女子大前から順方向で同じ系統(どちらでもよい)に乗車して、4停目のみゆき台団地停留所で下車。乗車時間は約4分。ここにあるのは「盛光堂」という和菓子屋だ。昔の和菓子屋さんはもち米を使うので、おこわ等のお弁当も売っていたものだが、同店も昔ながらのスタイルで赤飯やいなり寿司を売っている。

盛光堂の大福

 名物は豆大福で、国産のもち米と北海道産の小豆を使用した大福が人気だ。季節商品としてはいちご大福があり、ジューシーなイチゴがこしあんをまとい、大福に収まっている。また市内にJAXAがあることから「はやぶさ」が到達した小惑星をイメージしたコラボスイーツもある。

 黒い色は黒ゴマを使用して、食べるとゴマの風味が広がる。たまたま記者がいるときに買いに来た近所のおばちゃんに話を聞いてみると、「美味しいのよ~、その日に食べる分をほぼ毎日買いにくるよ~」と気さくに応じてくれた。地元民に愛される、ここでしか買えない大福だ。

新鮮な卵でTKGを堪能

 みゆき台団地停留所からまた順方向に同じ系統で5停目の麻溝台で下車。目の前にSweet eggsという卵屋さんがある。イートインスペースではTKG(卵かけご飯)を堪能することができる。

「Sweet eggs」のオムライス・カルボナーラ・TKGどれも新鮮な卵なのでヘビになれ!

 この辺りはたまご街道と名付けられ、養鶏場やスイーツ、料理店が並ぶ。同店ではTKGをはじめカルボナーラやオムライスを食べることができ、卵はおかわり自由だ。しかしデフォルトで付く2つの卵で十分だった。

お土産は帰りの電車に乗る直前に!

 今回の相模原市のバス旅はこれで終了なので、麻溝台停留所から逆方向のバスで相模大野駅北口に戻る。駅ビル隣接のボーノ相模大野2階にあるsagamix(さがみっくす)は相模原市のアンテナショップだ。

 アンテナショップが市内にあるのは妙だが、そのおかげで相模原市のお土産はここでそろう。よって電車で帰る直前に買い物を済ませればバス旅中は現地で購入したものだけを持てばよい。

お土産品は相模大野駅にあるので最後に買う!

 相模原市は特に有名な観光地があるわけでもなく、特に有名な名産品があるわけでもない。しかし、それゆえにそれぞれの地域の特長を生かしたここでしか手に入らない「有名ではない」名産が多くあるので、「相模原に来たらコレ!」という観念にとらわれず、自分好みの買い物ができるのが最大のメリットだ。

個人の好みに合うものがきっと見つかる!

 いくつか選んでみたので紹介すると、写真左から「梅ほ乃香」は梅果汁の手作りジュース。水や炭酸で割って梅ドリンクとして、お酒に入れて梅チューハイにとマルチに使える。「藤野ゆずワイン」は特産のゆずでできた白ワインで、西洋のものとは一味違う日本人好みのさわやかさが自慢だ。

sagamixのお土産のごくごく一部を紹介!

 「さがスパ」はスパゲッティ消費量日本一を誇る相模原市で生まれたご当地スパで、ソースにからみやすい。「津久井大豆のふく豆」は相模原市で栽培されている大豆の在来種で、煎った豆や納豆も人気で加工品も多く取り揃えているのでお好みのものが見つかる。

 はやぶさ煎餅は、ちょっと大きめのせんべいにJAXAの宇宙機はやぶさが描かれたものだ。JAXA関係でいうと同店で民生用の宇宙食も購入可能だ。

新宿から最速30分で相模大野に行ける!

 今回は相模原市のバス旅を相模大野駅から行ってみた。新宿から小田急で特急なら約30分、快速急行なら40分弱で到着できる。バスファン的にとことんバスにこだわるのであれば、少々値は張るが羽田や成田からリムジンバスが乗り入れているので、完全にバスだけで行くことも可能だ。

空港バスを乗り継げばバスだけで行くことも可能?

 この行程通りに行く必要はなく、好みのスポットを選択的につないで自分だけのプチ旅を楽しんでいただきたい。詳細なパンフレットは相模原市の観光案内所や市の施設で無料配布されているので、参考にしていただきたい。

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